1500円のラーメン

 私は地元を「ネオ東京スラム」と呼んでいる。ネオ東京スラムでは駅前と商店街の衝突により、かつて栄えていた都市部も今やボロボロである。戦いの結果は駅側に軍配があがったようで、戦いの末にボロボロになった駅前の再開発をおこなっているようだ。
 と言っても、駅前にはまだ沢山の家を失ったと思われる浮浪者やボロボロの建物が建っていて、メイン通りは立ちんぼやら、よくわからないカードをむけてくる外国人やらが沢山居る。
 そんなネオ東京スラムだが、安い蕎麦屋の跡地に1500円のラーメン屋ができたので行ってみた。比較的高級な価格のラーメンなのだが、ラブホテルの隣に店を構えているのがまた土地柄なのだろう。
 食べたところ、あまり1500円の価値があるとは思えなかった。独特の塩ラーメンではあったのであの店でしか食べられない味なのかもしれないが、私の好みではなかった。スラムの味に慣れてしまったせいか、それとも単純に美味しくなかったのだろうか。
 駅近くにある大きな鍋を使ったラーメン屋の方が美味しそうな香りを放っている。そちらのラーメン屋は子供の頃に行ってからもう20年くらい行ってないだろうか。店の前を通るたびに良い香りがするのでまた行ってみたいと思っている。リニューアル後は行っていないので。
 とある有名な事件で鍋で遺体を溶かして処理したので道具を全て取り替えたと言われているが事実がどうかはわからない。
 こんな土地から明日は仕事で渋谷に向かうのだが、夜遅くになると怖いので早く帰りたいと今から思っている。

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