帰ってきた!昭和シンセオタクが選ぶ無料ビンテージシンセ・エミュ(その3)
デジタルシンセ界の黒船「Ensoniq SQ-80」
80年代後半になると、従来のアナログシンセと仕様が異なった「デジタルシンセ」が主流になりました。先駆けのプロご用達モデル「PPG Wave」「Prophet-VS」以上の機能を持ち、かつ低価格のモデルが国内メーカーから多数リリースしていた中、米国「エンソニック」から「SQ-80」が登場しました。エンソニックといえば低価格サンプラーの先駆けで、後にライバル老舗「E-Mu社」と合併したメーカー。その優れたデジタル技術を武器にしたデジタルシンセが「SQ-80」なのです。仕様は様々な波形を用意したデジタルオシレーターが3基、VCFを含めそれらを自由に割り当て変調・調整できるEGが3基、VCA専用EG1基とゴージャスそのもの。エフェクターは未搭載でしたが最大モノフォニック8パートマルチテンバー対応シーケンサー内蔵と、正にデジタルシンセ界の黒船だったのです。
「SQ-80」の無料エミュ「K Brown Synth Plugins KrossWave」
今回ご紹介する「KrossWave」は同じく「SQ-80」の仕様をモチーフにした無料シンセを提供している「Quilcom」と共同開発されたもので、実機の仕様再現に加え「ADSR」方式のEG切り替えや「Prophet-VS」ライクなベクトル調整など、実機以上の機能を備えたドリームタッグシンセソフトなのです。残念な事に予め用意されたプリセットがほぼありません。仕様が複雑なデジタルシンセともあり、自力でゼロから作成は困難の極み。超玄人向けのシンセソフトとなります。音色作成が苦手な方は、見た目がまったく「SQ-80」ではないのですが、プリセットサウンドを多少装備した「Quilcom RazorBlade」のご利用をお勧めします。