雪国だからといってファッションを諦めたくない。
裏日本の冬はファッションの大敵である。
足場は悪く、雨雪が吹き荒ぶ気候。
憂鬱この上ない。
そのため道行く人々の格好は、防寒重視でデザイン性ゼロなものが大半だ。
正直言って、野暮ったくダサい。
確かに、丈の長いコートは雨雪に濡れてしまうし、スノーブーツでなければ雪道を歩くのは大変である。
だが、僕はそうはなりたくない。
同じ頃太平洋側の皆さんが青空の下、ロングコートをはためかせてブーツの音を響かせていると考えると悔しい。もちろん太平洋側の皆さんは、そんな裏日本の僕たちの存在など気にも留めていないのだろうが。
こんな嫉妬を書いたところで得るものはなく、自分に対するやるせなさと虚しさしか残らないのは分かっている。
それでも僕は、例え雪道だろうと悪天候だろうと自分の望む冬ファッションを楽しみたい。
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昔は、少し派手で特徴的な服装の人を見かけると「こんな田舎街で目立ったファッションをするなんて虚しいことをしているなぁ。」と思っていた。
だが今では彼らの気持ちが理解できる。
気候に左右されず自分の着たい服を着たい。
見た目や心まで環境に影響されたくない。
洗練された人でありたい。
だから僕は、雪国だからといってファッションを諦めたくない。