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24歳、夏。

帰省という行為に憧れがある。

地元に帰ることの意味は人によって様々だけれど、その行為自体が自身に所縁のある土地が複数箇所あることの証明みたいで素敵。

普段過ごしている土地に現実を置いてきて、帰省先でひたすらに思い出を浴びるような夏を過ごしてみたい。

別に年末年始でもいいけれど、夏のほうが感情の振れ幅が大きそう。

どちらにしても、僕は帰省をしたことがない、というかする余地がない。

なぜなら、一浪したにも関わらず実力不足とお豆腐メンタルが影響して、目標としていた医学部合格は果たせたものの、地元大学に進学する道を選んだからだ。

僕の地元は北陸の地方都市で、”盆と正月は田舎でのんびり”が叶う、絵に描いたような帰省先である。

今夏は大学生として6度目の夏。大学の同期や中高時代の同級生が帰省をエンジョイしている様子を、年末年始も含めるとこれで11回眺めてきたことになる。

生活圏内に家族がいることは幸せなことなのかもしれないが、僕はどちらかといえばある程度の距離を置きたいタイプだし、そもそも地元に居続けることは僕の本意ではない。

思い出補正によって地元を無条件(無責任)に愛することができる人々が羨ましい。

こんなくだらない思考を今まで何度も繰り返してきた。

けれど、”地元に残った親孝行者”、”地元の未来を担う若者”と勝手に認識されるような年齢に僕もなってきた。

さすがに医学部6年生になってまで、自分の感情を喚き散らすような振る舞いは子供じみているから、外面は平静を装っている。

感情ベースの主張ではなく、客観的事実と理性をベースに主張を如何にして組み立てるかが、ここ最近のテーマかもしれない。

24歳、理性的な人と知ったかぶりの残念な人との分岐点にいる気がする。

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