コミュ力は技術。「アッアッ」しか言えなかった人間が70人規模のEDHイベントを開くコミュ力を身につけるまでの話
Twitter(X)でこんなポストを見かけた。
ガチカジュ論争の一番の根っこ、「陽キャには『遊びは全員が楽しめるように配慮するもの』という前提があるけど、陰キャにはそれがない」、なんじゃなかろうか。
— たるもたるもの (@cream_puff_love) June 29, 2024
EDHガチカジュ論争の話。確かにと膝を打った。この論考にはとても納得感があった。
陽キャ=自分も相手も楽しい空気でワイワイしたい、笑顔で自分からアイスブレイクしていく
陰キャ=自分の楽しみだけ積み上げたい、表情は固く喋りも一方的
という解釈で読むとものすごく納得したのだ
これに関連して、意識付けと練習・実践の量でコミュ力は作れる話をしていこうと思う。
僕自身、周りからコミュ力あるよねとか話しやすいと言っていただける事が多い。しかしそこに至るまでは様々な苦難があり、課題をクリアしてきたのだ。
自分が得た気づきと改善したポイントの話、会話についての話を、参考になると嬉しいと思い書いていく
■なぜコミュ力の話をしたいか
MtGをするに際し、コミュ力はあった方がいい。だが「なぜ」あった方がいいか、大事なので書いておく。
僕は元々ゴリゴリの陰キャで、目は泳ぐし「アッアッ」しか言えなかった。今も内向的でコミュニケーションは苦手な人間だ。
会話に入りたくても、考えて発言する頃には次の話に進んでいたり、人と会話するたび変な空気を作り、いつしか「人と会話する行為は自分には一生出来ない行動だ。1人でいる方が楽だ」と考えるに至り、1人の時間を何より大切にし、1人で生きていた。
しかし社会に出て、MtGを遊んでいて気づいた。人間社会は「相手ありき」、MtGも「対戦相手がいてくれて」初めて成立する遊びだ。
自分で1人気持ちよくなってるだけではダメだ。相手を不快にさせたら相手は翌日以降遊んでくれないか、嫌そうな顔をするかどちらかになるだろう。
自分が楽しくMtGで遊ぶためには、その時間は相手にとってもできるだけ楽しい時間の方がいい。
そもそも自分だけでは遊べない遊びなので、対戦相手がいることに感謝することも大事だ。
ではその相手と楽しい時間を作るには何が必要か?そこで必要になってくるものが、「コミュ力」だ
■「コミュ力」のからくり
いわゆるコミュ強や陽キャ、取っ付きやすいと思われる人は特徴がある。それはざっくり書くと以下のとおりだ
・声の出し方が上手い
・話し言葉がちょうどいい
・話の距離感がバグってない
・タイミングよく相槌をうつ
・反射的に反応してくれる
・自分の事を話しすぎない
それぞれどういうことか、書いていく。
・声の出し方が上手い
コミュ力ある人は、声が大きすぎず、こもらない。
声が大きいと威圧的だったり、うるさかったり、不快である。マイナス感情を与えることが多い
聞き取れる大きさの声でよい。声がでかいと語気も強く聞こえてしまうしそんな得がない
逆に声がこもっていてもダメだ。もごもご喋っても相手に届かない。僕はこっちのタイプのコミュ障だったので、こもった喋りを直す発声練習から始めた。
これは発声の話になるが、鼻先30センチくらいの空間に声をぶつけるイメージで声を出すと、大きい声を出さなくても聞こえる声になる。
「誰かに話しかけるイメージで、今このnoteを読みながら声を出してみてほしい。」👈これを口に出して読んで欲しい。
声の出し方を意識して読んでみた時、普段と感覚が違った人もいたと思う。普段から意識付けをして少しずつ変えていくと、相手に聞きやすい声を届けられるようになる。
これが「通る声」というやつ。身につけると飲食店で店員を呼ぶ時にも便利です
・話し言葉がちょうどいい
話し言葉が丁寧すぎず、砕けすぎない感じだと好感を持たれる。具体的には、タメ口でいきなり話さない、とかそういうことである。
「普段はどのフォーマットよく遊んでるんですか?」
初対面の人に、会話のきっかけとしてよく使う切り出しだが、例えば「普段はどちらのフォーマットでよく遊ばれるんですか?」まで丁寧にすると丁寧すぎて身構えるし、「普段どのフォーマット遊ぶ?」とかだとカジュアルすぎてヤベー奴になる。
この動画の5:10〜あたりにいい話があって、ポジティブポライトネスとネガティブポライトネスという言語学の用語がある。
これはざっくり言うと、相手と仲良くなりたい気持ちでタメ口でいくと距離感近すぎて身構える、というような話だ。
コミュニケーションを成立させるために、「その人との関係値」「会話の距離感」をふまえて話し言葉を選ぶのは重要だ。
無難に丁寧語を使うのがいいだろうと思い僕はそうしている
・話の距離感がバグってない
これも会話の距離感の話で、↑のトピックと密接に関連する話。
例えば親しくなる前に「そのデッキのこのカード弱いんで抜いた方がいいよ」って言う人。カードオタクあるあるとして書かれるが、相手はきみと同じ価値観でやってないからその発言は抑えた方がいいよ(タメ口)。
この例は会話の距離感もダメだし、大抵タメ口だから話し言葉も距離感ダメで、ダメダメである。
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細かい会話の距離感の例として、「どこの店舗によくいらっしゃるんですか?」を会話の初手にすると個人情報とりにきてるヤベー奴になりかねない、みたいなのもある。
しかしこれ、「普段どのフォーマットで遊んでますか?」からの2手目ならいい。
こういった話の順序も大事なので、初手で使えるやつ、相手のアクションに対して使えるやつ、とMtGで手札見ながらアクション考える感覚で「会話カード」を用意してそいつらにインスタントなのかソーサリーなのか、カードタイプまでつけておくといいと思う
・タイミングよく相槌をうつ
相槌は音ゲーである。
この動画の13:44〜15:00あたりが分かりやすくてめちゃくちゃ面白い。
再びゆる言語学ラジオさんを引用しているが、相槌の回を見ると分かるのは「適切なタイミングで」「相手が話したくなる適切な相槌を」打つ、という2つの要素が大事ということである。
日本人は相槌のバリエーションが豊富という話を小耳に挟んだことがある。
「ふんふん」「うん」「はい」「はいはい」「確かに」「なるほど」「はーー(納得)」など。
文字にしても全て印象が違うと思う。
身の回りの陽キャの皆さんを観察すると分かると思うが、「マジ〜!?」と大げさにリアクションしていたりする。あれは聞き手の行動的に非常に正しいコミュニケーションなのだ。
話している人は相槌があると、自分の話をちゃんと聞いてくれてるんだなという嬉しさがあるし、話しやすい。
そしてリアクションまであるとより楽しい。
会話は相槌が大事である。
・反射的に反応してくれる
これが最も難しい。コミュ障には身につけづらいスキルナンバーワンである。
内向的な人間は、色んな選択肢を慎重に考え選び取り話をしたい(僕がそう)ため、言われたことに対して何も考えず1手目の発言をしたくない。
しかし会話は鮮度が大事である。2秒、空くだけで鮮度が落ちるのだ。理不尽極まりない。
こうなったらごちゃごちゃ考えず、一度考えることをやめて、反射でやってみることも大事だ。
初めは失敗してもいい、死ぬわけじゃないし。ミスったなと思ったら自分でフォロー入れりゃいいし相手は察してくれるから大丈夫。人間を信用しましょう
-『その思考、反射でやってみ?』(ブルーロック102話より)
・自分の事を話しすぎない
相手が話を引き出してくれて、こっちが喋る、ならいいが、それでも人間は基本的に自分が気持ちよく喋りたい生き物だ。
自分が話をしたら「○○さんはどうですか?」「私はこう思ってますけど、どう思います?」とどこかで切り返して相手の話を聞いたり、
「○○ってニュースありましたけど、怖いですよね〜」とか話を振って相手に話してもらい、相槌コンボをキメると会話になってよい。
あ、いま自分ばっか喋ってるな、と思ったら相手にも振ろう。
■総括
会話スキルの話をしてきたが、一気に全部やるのは無理。
少しずつ慣れていくことが大事だ。
まずLv.1は声の出し方、2は相槌を打つこと、次は自分から話を振ってみて、その次は相手に切り返して話してもらう…と、徐々に出来ることを増やしていこう。
仕事でどうしても部署内や同僚、上司、部下とコミュニケーションを取るタイミングは出てくる。
学生の皆さんは今のうち練習して、社会人の同胞は上手くできないなぁと思うところをお互い補完し合ってうまくやりましょう。
■話したくないやつとは話さない
これは裏テーマ。
ここまでコミュ力を作るための話をしてきたが、実はこれが一番大事な気がする。
すんごい自分語りしてくるとか、求めてないのにアドバイスしてくるとか、この記事で書いたことを何一つ出来てないコミュ障とは申し訳ないが話している場合ではない。会話の練習にもならんし。
口を動かすエネルギーが無駄。人生の損失である。
なぜそこまで言うかというと、コミュ力をつけるのは、「自分も相手も楽しく遊ぶため」だから。
相手に楽しい気持ちになってもらうためのコミュ力育成の話は、自分が楽しむのは前提にあるのだ。
自分が不快になる相手とは、会話する必要はない。楽しませる義理がない。
自分が楽しくないんだから。
うまく自分の心を守りながら、楽しく会話するために自分のダメなところに気づいた時修正しながら話していく。
これを1-2年も続ければマシになり、5-6年続ければ人間になれる。
僕は自分自身で実験してちゃんと会話スキルを会得してきた自負がある。その結果コミュニティを立ち上げたりイベントを主催するに至っている。
EDHでもなんでも、コミュニケーションの不和が起きた時にまずはお気持ちをやめて、なぜ自分が/相手が怒りを覚えたのか分析し、修正していくこと。
建設的にコミュ力を育て、自分の中の陽キャを作っていくこと。
それが大事なのではと思う。
余談
正直かなり炎上しそうだなーーーーと思うトピックだが、この記事は僕が内向的であるがゆえ積極的にコミュ力を身につけようと思ったという話なので、世のコミュ障に少しでも参考にしてもらえれば僥倖です。
僕自身がもう少し言語学に明るい人間であればアカデミックにコミュ力を分析して書くとか出来そうで、読み物として深みのあるものになったのになぁと浅学を恥じています。
なので!ぜひゆる言語学ラジオも見てください。面白いです(宣伝)(ただの視聴者です)
皆さんのMtGライフがより良くなりますよう祈っております。草々
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