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外出禁止中のアルゼンチン、僕達の救世主は小麦粉だ

アルゼンチンはコロナウイルスの影響で3月20日から外出禁止となった。当初は3月31日までの予定だったが、4月13日まで、そしてとうとう4月26日まで延びることが決定した。

僕の住むネウケン州は自営業者、特に大工さんが多い。義父アネルや親戚のゴンサルオ、リーゴ、ファビアン、レオ、ホルヘなどもそうだ。叔父エルネストは大工ではないが、ガスと水道設置の自営業者だ。

そういったリモートワークできない人たちは、外出禁止中は働けない。当然、収入が失われることになる。ほぼ失業者状態だ。

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僕は同じ敷地内でゴンサルオたちと共に暮らしている。

「外出禁止期間が延びちゃったね」、僕はゴンサルオに話しかけた。彼は外出禁止中、自宅改装工事や家具作りに励んでいる。あっという間に、キッチンが増築され、見事な勉強机が完成したことからも、彼の腕前が素晴らしいことが分かる。

「今はしょうがないけど、やっぱり厳しいな。ほら、ネウケン州は自営業の大工が多いだろ。俺もそうだけど、仕事しないと収入がなくなるから」

外出禁止中、収入が減ることから、政府は多くの家庭に1万ペソの支給をしたが、それでも生活するには足りない。普通の生活を送るためには、最低でも月4万ペソは必要だと思う。

「幸いなことに、俺は緊急用の貯金をしていたから、今のところ大丈夫。でも、仲間たちは貯金習慣ないから、苦しい日々を過ごしているみたいだ」

「そもそも、ここの人たちは貯金習慣ないよね。アネル(義父)も全くしないし」

インフレ率の高いアルゼンチンでは、自国通貨を貯金する人は少ない。だって、今100ペソで牛乳を買えたとしても、3か月後には100ペソじゃ足りなくなる可能性が十分にあるから。

理想はアメリカドルで貯金すること。でも、この国でドルを買うのは難しい。だから多くの人は、ある程度のお金を貯めたら、主に車を購入するのだ。経済的に苦しくなると、車を売って現金に変える。

そもそも、経済が悪化しているから、貯金できるほど余裕ある人は少ないのだ。だから極論を言えば、その日暮らしの人が多い。

「正直なところ、いつまでこの状況が続くか分からないから、今はパンを買う金さえ惜しいよ」

つい最近ニュースで見たが、外出禁止中は小麦粉の売り上げが増加しているよう。というのも、外出禁止中は料理が一つの楽しみになるから。小麦粉があると、ケーキやパン、麺さえ作れる。料理は暇つぶしになれば、ゴンサルオの言うように節約にもなる。

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僕の妻アントネラとゴンサルオの妻エヴェは、外出禁止になってから子供たちと自家製パンやニョッキを頻繁に作るようになった。

自家製パンは意外と家計を救う。僕達はあんまりパンを食べないが、大人2人と食べ盛りの子供2人いるゴンサルオ家族は、毎日1㎏のパンを消費するようだ。

正確な値段は分からないが、パン1㎏90ペソとすると、1か月で2,700ペソも節約できることになる。

小麦粉の他、卵とジャガイモも安くて腹持ちが良いから、最近は大活躍だ。最近よく食べるメニューが、フライドポテトと目玉焼き、そして自家製パンである。

おそらくだが、外出禁止明けは多くの人が体重増加していると思う。だって炭水化物は安くて腹持ちが良いし、食後のシエスタ(昼寝)は欠かせないから。

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外出禁止がいつまで続くのか分からない。5月以降も続く可能性は十分ある。

今は外に出ないで、人との接触を避けるべき時期だ。そんなことは重々承知である。でも、このまま外出禁止が続くと、収入を失った人々はどうやって生きていけばいいのだろうか。

と、ここまで書いたものの、なかなか良いまとめが思い浮かばずに数日たってしまった。今日もまた僕は、相も変わらず家の改築に励むゴンサルオと話す日々。

「買い物に行くけど、何かいる?」、エヴェがゴンサルオに話しかけた。一瞬、彼は何か言おうとしたものの、首を横に振った。

「何かいるんじゃなかったの?」

「いや、トルタフリータ(揚げパン)を頼もうと思ったけど、自分で作ればいいしな」

ゴンサルオがトルタフリータを作る間、僕はマテ茶を準備。僕達は、岩のような形のトルタフリータをお供にマテ茶を楽しんだ。

今は小麦粉が僕達の救世主だ。

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奥川駿平🇦🇷
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