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喪失感中毒

喪失感は中毒性を帯び僕らを捉え病みつきにさせる。
ただ「別れ」があるだけで、生活は甘美な雰囲気をまとい、いつまで経っても切なく美しいと思う。

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僕が精力的に執筆活動をしていた頃。いつでも非日常を求め歩いていた。結構な無茶もした。人を傷つけたりもしたと思う。

だから同じ渇望感を抱いた人々と出会うことができた。普通に生きていたらすれ違うはずもないのに何故か僕らは似ていると思うことができた。

彼ら/彼女らは自分の生活や居場所を見つけ、いつの間にか消えていた。
彼ら/彼女らの生きた痕跡は「2020年5月23日」などで終わっている。その最終更新日がとてもリアルで、肌に絡みつくようなねっとりとした感情を思い起こさせる。

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当の僕も、今では社会にもまれ、言葉にしなくてはならなくなるほどの強い渇望感を抱くことはなくなり、今では社会的ストレスや不安の方が大きい。

色々なものをいつか失うのだと思うと、とてつもなく遣る瀬無くなる。けれども、今まで失ったもののことを想うと、なぜだかうっとりとしてしまう自分がいる。

余談だが、この間日本橋のスナックで同僚と飲んでいたら、スナックのママが僕らにゆで卵を出してくれた。僕がそれを食べる様子を見た同僚は「ゆで卵、めっちゃ似合うね。すごく哀愁が漂っているよ」などということを口にした。これが喪失感にとらわれた者の末路である。

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井出崎・イン・ザ・スープ
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