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ホームするのに数ヶ月を要した「ダンケルク」

2020.11.11に公開したブログです。


今から約3年前、2017年、秋。

「ダンケルク」という映画に出会ってしまったあの瞬間から数ヶ月間、マジで頭がおかしくなっていた。

何かに取り憑かれていると考える方が自然というレベルで脳内が「ダンケルク」に支配され、何度も繰り返し映画館に通っては「最高かよ」と頭を抱えていたあの日々のことを、今でも鮮明に覚えています。

いやぁ、時が経つのは早いですね。

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とりあえず、ざっくりあらすじのようなもの。

第二次世界大戦時、ドイツ軍によって、フランスの港町ダンケルクに追い詰められた約40万人のイギリス軍とフランス軍の兵士たちを撤退させるという実際にあった史上最大の救出作戦を、陸、海、空、3つの視点から描いた作品。もっと難しいアンド詳しい話は公式かダイナモ作戦でググれば出るよ。

映画自体は案外「生きて帰る」というシンプルなものなんじゃ?と思ってるけどどうなん?ノーラン監督の考えることは分からん。

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6人の若い兵士たちが閑散とした市街を歩く静かなシーンからこの物語ははじまった。「この子たちを中心にストーリーが進んでいくのかな?」なんて呑気に思っていましたよ。

突如、鳴り響いた一発の銃声。いや、本当すぐ死んだ。え?嘘やろ。凡人の予想など2秒で裏切ってくれるわ!そして次々と仲間を失いながら銃撃の中を命からがら逃れ、ひとり運良く生き延びる事が出来たトミー(君が主人公か!)は他の兵が集まるダンケルクのビーチへ辿り着く。

防波堤 : 1週間

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ダンケルクのビーチには救助の船を待つ40万人もの兵士たちによって、すでに長い列が出来ていた。

ドイツ軍の銃撃から逃れビーチで用を足していたトミーは、そこでギブソンという兵士に最悪のタイミングで出会い仲間であるイギリス兵の死体の埋葬を手伝うのだった。

その後、ビーチにもドイツ軍の空爆がありまだ息のある負傷兵を担架に乗せ船に運ぶことで長い救助の列を飛び越え、自分たちも一緒に船に乗りダンケルクからの脱出を試みようとするも「おめぇら、降りろ!」と一喝されてしまい、しぶしぶ船を降りる振りをした演技派のトミギブ(略すな!)

ひとまず防波堤の下に身を潜めていると、小将とボルトン海軍中佐ら、何やら偉い人たちの「首相の救出想定人数は3万人くらい、イギリス軍のみ救う」という不穏な会話を聞いてしまう。

たしか全部で40万人いましたよね?

What do you mean?

海 : 1日

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ダンケルクに取り残された40万人もの兵士を撤退させるには、軍の船だけでは間に合わず民間船に召集をかけたイギリス海軍。

その中の1人であるムーンストーン号の船長ドーソンさんは乗り込もうとする海軍の兵士たちに対し「この船の船長は俺」と男前すぎるフル無視をかまし、赤いセーターがお似合いの息子ピーターと「役に立ちます」と乗り込んできた息子の友達で見るからに良いやつそうなジョージを乗せ、たった3人でイギリスからフランスの戦地ダンケルクへと向かうのだった。

その道中、沈没した船の上でうずくまっている謎のイギリス兵を発見したムーンストーン号のみなさん。ピーターが海にロープを投げ無事に兵士を救助し、先を急ごうとした矢先、砲弾ショック状態の彼に「あそこには、戻らないぞ!」と激しく抵抗され悲しい事故へと発展し.....

空 : 1時間

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撤退を空から支援するため、イギリス空軍フォーティス隊のスピットファイア3機がダンケルクに向かっていた。

「交戦になっても帰りの燃料は残しておけ」と隊長。

その後、ドイツ空軍の戦闘機が現れ交戦になり、ファリア(フォーティス1)が一機撃墜し報告するとコリンズ(フォーティス2)からの応答はあったものの隊長がダンマリなのであたりを探すと、海には隊長機と思われるスピットファイアが……まじかーい。それに加え、敵からの攻撃によりファリアのスピットファイアの燃料計も故障してしまうという事態に。コリンズから「一旦、戻るか?」と問われるも「燃料計だけなら大丈夫だ、逐一教えてくれ」と男気を炸裂させ任務続行を決意したファリアだったが......

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ダンケルクの台詞が少なく、またドイツ軍の敵兵が人間としてこちらが認識できる形で表に一切出てこないところや、むごたらしい死体、血が大量に噴き出したりというような残酷な描写がほとんど無いというところも、戦争映画ということで「ブラックホーク・ダウン」ばりのバチバチの戦闘を期待していたわたしの目にはとても新鮮に映った。(クリストファー・ノーラン監督曰く、時間との戦いを描くサスペンスだそうです。)

脱出しようと乗り込んだ船がドイツ軍からの容赦ない攻撃によって沈没し、沢山の兵士が海へ投げ出され、また別の船へ運良く乗り込むも、沈没。
どこに行けばいいのか、いつ誰が命を落とすかもわからない緊迫した状況が続く。

その光景を見るたびに「あの時、こうしていれば、あの人はもしかしたら」と何度も考えてしまう。戦場でも、戦場でなくても、人の生死を分けるのは最後はもう運でしかないとつくずく思わされる。
ダンケルクを生き延びたからといって終わりではなく、また次の戦場が待っている。この先も続く戦争を思うとやるせない気持ちになった。

防波堤の1週間、海の1日、空の1時間。

3つの場所で全く異なる時間軸を進んでいた出来事が終盤に向かうにつれひとつの物語として繋がっていくところなんかめちゃくちゃ興奮したし、民間船大集合は泣いてまうやつ。

ただ理解力が無いので1回だけでは正直分からないところもあったけど、ノーラン監督の映画では個人的によくある現象なので特に驚きはしない。

回数を重ねるごとに「ここ!あのシーンと繋がってた!」など新たな発見もあり何度でも楽しめてしまうスルメ映画なのでいつのまにか気がついた時には、ダンケルク依存という状態になっていた。

そしてダンケルクの中には登場人物の過去の回想や「待っている恋人や家族がいる」などといった死亡フラグが半端ない要素など、誰かの個人的な物語はほとんど語られることはない。今、目の前で起きていることこそが全てであり、ただそこから生きて帰るため、仲間を帰すために最後まで戦った名も無き兵士たちの姿が描かれている。

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魅力的な登場人物


「目で語る男 ファリア」

みんなー!トム・ハーディだよー!集合ーー!トム・ハーディ演じる空軍パイロット(フォーティス1)ファリアがとにかくやばい。

ファリアは最初と最後以外、ほぼ酸素マスクを着けている状態なのですが目だけで全てを物語っている感がえぐい。酸素マスクとかめっちゃ好き。あと、声が良いんですよね。

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「このまま敵機を追うと、燃料が底をついてしまう」場面で一旦帰るという選択肢があるにもかかわらず、この男…...追う…...。

でもそこは、ファリアもやっぱりただのひとりの人間なので「燃料なんて、知るかー!追うぞー!」とすんなり状況を受け入れたわけではない。
このまま敵を追えば確実に燃料が底をつく。そうなった時の事を考えるとだいぶキツイ。自分は帰れなくなるかもしれない、生きていたとしても捕虜になる可能性だってある。でも下に広がる海を見れば逃げ惑う仲間の兵士たち、狙われる掃海艇、その迷いや葛藤を目と眉毛、荒くなる息遣いだけで表現するトム・ハーディ。一生ついていきます!だいすき!!!「追う」と決めた時、 なかなか出来るものではないその覚悟に涙が溢れたよね。

寡黙で近寄りがたそうな厳つめフェイスだけど、海に不時着し返事のないコリンズを心配して無事が確認できるまで見ていたりするし、実は心優しき先輩で中の人同様、ファリアも多分犬とかに優しい。きっと、捨て犬とか拾って基地に連れて帰ってきちゃうタイプだろう。わかってる。だいすき!!!

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「君の名は?若きパイロット コリンズ」

ダンケルクではじめて存在を知った俳優ジャック・ロウデンが演じるのは、空軍の若きパイロット(フォーティス2)コリンズ。

シンプルに顔が可愛いな。もうめちゃくちゃ可愛い。初見サイモン・ペッグと、トム・ヒドルストン足して2で割ったみたいな顔だなと思ったらちょろいので一瞬で好きになっていた。

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ドイツ軍の戦闘機を一機撃墜し「やったぞ!」と子どものように喜んでいたのも束の間、別の敵機から受けた銃撃で自身の機体スピットファイアから煙が、ファリアから「脱出しろ」と言われるも不時着を選択。

何故、脱出を選択しなかったのか気になって調べてみたらパラシュートでの脱出は上手く開かないことがあったり、風に流され地雷源につっこんでしまったりする可能性があったらしいということです。知らんけど(便利ワード)

海に無事着水することが出来たコリンズがマスクを脱ぎ顔面がフルオープンになるのだが、もうね「君の名は?(食い気味)」と問わずにはいられなかったですね。

凄い脱線したけど、海に無事着水させたけどキャノピーが開かず結構やばみー。銃でガンガンぶっ叩いても割れる様子はない。その間にもどんどん水が侵入してきて、最終水中でもがきまくる。でも諦めない。それが一番大事。すると誰かがキャノピーを叩き割ってくれ無事海面へ。見上げるとそこには天使が……いや、ピーターくんですね。ピーターくんの話は、長くなるから自制します。

あれだけ水中でもがき苦しみ死にかけていたコリンズなのに、救出されて一発目の言葉が「ありがとう」でも「助かったよ」でもなく「afternoon.(やぁ、どうも)」ってどない?どこから出てきたその余裕。格好良すぎでは?愛した。空軍の制服もずるい。

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「多分既婚者 謎のイギリス兵」

クリストファー・ノーラン監督の映画に必ずといっていいほど登場するキリアン・マーフィが演じるのは、最後まで名前も素性も一切謎のままのムーンストーン号に救出された砲弾ショック状態のイギリス兵。

ダンケルクに向かう船長のドーソンさんに「行けば、全員死ぬぞ」と忠告したけれど「ちょっと、ポイント確認するわ」と若干はぐらかされた後、息子のピーターによって船室に軽く閉じ込められてしまう。自力で脱出するも、船は予定通りダンケルクに向かっていた。

多分、その時の謎の英国兵の心は「どうしてなんだよぉぉお!」と発狂する藤原竜也並みに荒れていたに違いない。「なぜ戻らない?」と、ドーソンさんに問うも「務めを果たす」とめちゃくちゃ男前な顔で言われ、その結果、もうダンケルクには絶対に戻りたくない、早くホームに帰りたい一択の謎の英国兵は強引に舵を奪おうとし悲しい事故を引き起こしてしまう。

ただそんなショック状態にあり正気とは思えないような彼の指には結婚指輪らしきものが光っている。これを見つけた時は「まじかー」と。

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沈没した船にひとりでうずくまっていた彼に何があったのか、名前も言えないような状態で救助された今、家族の元へ無事に帰れるかどうかもわからない。もし再会出来たとしても家族の知るような以前の彼ではなくなっているかもしれない。

戦場で傷ついた心と故意ではないものの船上で引き起こしてしまった悲しい事故、これらを背負うことになった謎のイギリス兵の今後を想像するととても辛いものがある。指に光る指輪は、彼がどうしても生きて帰りたい理由なのかもしれない。

数日前までは、冷静な判断を下し複数の兵士に指示を出しているような描写もあった彼が、救出された頃にはすでに差し出された少年の手にさえ脅え、船に捕まり震えている様子を見ていると、人の心をいとも簡単に壊してしまう戦争というものの恐ろしさについて改めて考えさせられる。

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紹介したほかにも、どんな状況に置かれても帰ることを決して諦めない眼差しが印象的な主人公トミー。

そんなトミーを何度も救ってくれた憂いを帯びた瞳のギブソン。

良い意味でも悪い意味でも人間み溢れるアレックスなどなど、素晴らしく魅力的な人物が盛りだくさん。本当に最高な映画なんですよ。まじでぇ。

そしてなにより、ダンケルクのビーチに取り残された40万人の兵士たちが、いったいどうなったのか気になりません?

「気になる!!!」という方は是非みて!!以上!!解散!!

あ、あと、テネットみてくれ!!!!ニールすごいんよ……(遺言)


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