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カスイチ達成!最高の夏休みのエンディング!

あまりに素晴らしい人生初カスイチだったので、気張って物語風に描き上げてみます。語り口は格好付けていますが、酷い脚色はしていません。最後までお付き合いして頂ければ幸いです。


神のお告げ

10月2日、実際には学期が始まっているが、夏休みに連続した週末。この日は前々から計画していたカスイチの日だった。とある出版物の原稿を何とか前日に書き上げ、この日を丸一日空けておいたのだ。実は原稿の締め切りは7日だったのだが、2日だと勘違いして見なくていい地獄を見たのは忘れよう。

カスイチ最大の問題の一つ、それは右から行くか左から行くかである。まるで打ち上げ花火のようだ。
どっちが良いか決めあぐねたまま土浦駅に近づいていた時、信号待ちで声を掛けられた。
「どこまで行くんだ?」
骨伝導イヤホンじゃなきゃ聞き逃しちゃうね。
「今日はカスイチしようかなと思ってるんですよ。」
答えながら振り向くと、結構ご年配のお爺さんがいた。年は70ちょっとくらいか?
「おお!何回かやったことあるよ。」
「え!本当ですか!」

話は少し変わるが、私は釣りも趣味である。海で遊んでいると、お爺さんに話しかけられることが多々ある。そのため、これくらいのお爺さんとお話をするのは結構好きで、なおかつ得意なのだ。こういう方とお話しする際は、まず元気がよくチャキチャキした若者風にいくのが良い。そして、お話ししてもらった内容をどんどん膨らませながら、少しずつ自分の聞きたい内容に近付けていくのだ。

そうしてお話ししていると、カスイチの思い出話になった。
「怖いポイントが2か所くらいあってなあ。」
そうして、霞ケ浦大橋が8時くらいに激混みとなることと、朝方は霞ケ浦高校前の道路がとにかく危ないことを力説してくださった。
「ちなみに、右回りと左回りってどちらがお勧めですか?」
「いや~、風向きによるから何とも言えないな。でも、今日は風がないからどちらでも結構良いかもしれないね。」

なるほど、総合するとこうだ。
・今日は風が弱いから右回りでも左回りでも関係ない
・朝8時くらいの霞ケ浦大橋はヤバい
・朝方の霞ケ浦高校前は超ヤバい
・今から右回りで行くと朝方の霞ケ浦高校前に突っ込むことになる
じゃあ左回りじゃん!

そうして、私のカスイチのルートが決定したのだ。

様子がおかしい

事前に調べておいたカスイチの距離は約140 km。爆風の湖畔を走るのだから、平均20 km/hとして約7時間は掛かるだろう。そんな予想を立てて走っていたのだが、思いのほか早く進んでいた。
カスイチの一大拠点であるかすみがうら市交流センターに着いた時点で、平均が約29 km/h。何とずっと追い風なのだ。ちょっと飛ばしすぎである。ここからは意識してゆっくりペースにすることとした。

かすみがうら市交流センター前。

上の写真はOLYMPUS XZ-1で撮影したものだ。カメラ本体のホワイトバランスなどは多少いじったが、撮って出しのJPEG画像。これがOLYMPUSブルーの美しさか。かなり前のコンデジにも拘らず、朝の涼やかな空気感が良く切り取られている。素晴らしい。


秋来ぬと 目にはさやかに 見えるやんけ

東浦に入ってすぐは向かい風だったが、しばらくするとまた追い風となった。恋瀬川を超えたあたりで、何とも素晴らしい花が咲いているのが目に入った。秋桜である。秋の桜である。
もう10月ともなれば、本格的な秋が来たということであろうか。今シーズンで最初に秋を実感した出来事であった。藤原野敏行もビックリである。

東浦沿いの秋桜。誰かがボランティアで整備してくれているのだろうか。

ところで、恋瀬川を渡るとセブンイレブンがある。あの辺りでは唯一とも言えるコンビニなので、カスイチの際にはスルー出来ない。しかし、入店する時にマスクを持って来ていないことに気付いた。仕方がないのでタオルで顔を覆って入店すると、レジのおばちゃんが
「お気遣いありがとうございます。」
と声を掛けてくれた。少し話をしたところによると、マスクをせずに堂々と入ってくるチャリンカスも多いらしい。残念な話である。
退店する際には
「気を付けて行ってらっしゃい。」
と声を掛けてもらった。何とも心地の良いやり取りであった。

東西、左右の定義の微妙な食い違い

右岸に渡り、振り返って北利根橋を臨む。

上は北利根橋を渡って撮影した写真である。つまり、左岸から右岸に渡ってからの撮影ということだ。この左岸、右岸というのは水系の上流から見て決まる。しかし、霞ケ浦は地図上での右側が東浦、左側が西浦である。個人的には、左岸、右岸の定義は水系の下流から見ているように感じる。左岸、右岸、東浦、西浦の定義は根本から食い違ってはいないだろうか。いつもややこしくて間違えてしまう。
まあ、こんな話はカスイチをするうえで全く関係ないのだが。

ファンキーな冒険狂おじさんとの出会い

カスイチ開始前に土浦駅近くで出会ったお爺さんが最も警戒していた、霞ケ浦高校前を抜けた。ここまで来ると、カスイチ終了まで10 kmくらいである。
トイレ&水分補給のために霞ケ浦平和記念公園に寄ると、ここでもオジサンに声を掛けられた。
「どこまで行くんですか?」
「いや、もうほとんどカスイチして来たところなんですよ。」
「おお!それはすごい。昔トライして、断念したんですよ。」
私みたいな若造に丁寧な言葉遣いをしてくれるオジサン、好きになってしまう。

話を聞くと、日本中どころか世界中を冒険してきたオジサンらしい。剣岳を登って足の爪を剥がした話や、シベリア鉄道に乗ってロシア人に絡まれた話など、普段は聞けない刺激的な話を沢山してくださった。どうやら割と近くに住んでいらっしゃるようなので、いつかまた会えるかもしれない。一緒に飲んだら最高に楽しそうなオジサンであった。恋してるし。
「色々な経験をしてきて、どれももう二度としたくないですけどね。でも、あの時じゃないとできなかったことばっかりだから、良かったとは思ってます。」
そう言うオジサンの目は、全くもって嘘を言っている目ではなかった。
「どんなタイミングでそういう冒険するんですか?」
私だって行きたいこと、やりたいことは沢山ある。でも、なかなかそれを実行に移すのが大変なのだ。学生だからお金も無いし。
「やりたいと思ったときにやらないとダメなんですよ。若い時じゃないと体も動かないですよ。」
出来ない言い訳を考えていた私のことを、「分かりますよ」と言わんばかりの表情で諭してくれるオジサン。確かに、お金も無いし時間も無いのは皆同じだろう。その中で行動に移すか、移さないかの差しか無いのかもしれない。


カスイチ達成@新川の水神宮

ハンドルを止めるボルトが緩んでおり、普段よりも前傾していたという残念なオチ。

とても良い出会いに恵まれた人生初カスイチであった。神のお告げによるほぼ追い風状態、ホスピタリティMAXのコンビニ、痺れる冒険譚を持っているオジサン。こんなに素晴らしい体験をして、どうしてもう二度とカスイチをしないと言えるだろうか。
冬が来てヒルクライムが危なくなってきたら、またチャレンジするとしよう。修論との兼ね合いだが…

最後に

今回のまとめを載せておこう。記録は自宅周辺までのルートが含まれているので正確ではないが、平均は26.9 km/hであった。ひとえに、この記録は朝に出会ったお爺さんのおかげでほぼ追い風だったからである。もう会うことは無いかもしれないが、ここで感謝しておきたい。

数値は自宅周辺までが含まれているので、純粋なカスイチではないことに注意してほしい。

「終わり良ければ全て良し」とは良く言ったもので、今年の夏休みが素晴らしいものとして締めくくられたと思う。例の流行病のせいで夏キャンプも出来ず、少し寂しい思いをしていたのだが。

また是非カスイチにチャレンジしてみよう。その時は向かい風に襲われて辛い思いをするかもしれないが、それも一つの良い思い出になるかもしれない。
今回はソロでカスイチをしたが、次回は別の仲間が増えていることだろう。(どうやら来月あたりに来る留学生の趣味がサイクリングらしい)付いていけなかったらどうしようか。東浦に行くまでもなく太ももがパンパンになっているかもしれない。

それでも、やってみないと色々と分からないものだ。今回のカスイチで出会ったオジサンを見習って、当たって砕けろ精神を養っていくこととしよう。

ではまた!

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