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AKB48「愛する人」考察

前から書こうかどうしようか迷ってこんな時期になってしまったのですが、久しぶりに映像を見たらやっぱり書いておきたいなと思ったので書きます。

今回はAKB48の「愛する人」という楽曲の素晴らしさを書いていきたいと思います。

まずこの楽曲の説明から。
「愛する人」は「失恋、ありがとう」の劇場盤に収録されているカップリング曲ですが、元はというと、去年の11月27日の「ベストアーティスト2019」の"一回披露"のためだけに秋元さんが書き下ろした楽曲です。
ベストアーティストのみの披露の予定でしたが、今年の頭に開催されたリクエストアワーの2公演ともアンコールで披露されています。

私も実際ベストアーティストは見ていましたが、根がアケカスなのでAKBっぽい曲が好きな私は"バラード系"の楽曲には身構えてしまう癖があり...(?)
少なくともベストアーティストの時点では特になんとも思ってなかったのです。ところが、リクアワ50~26位に参戦して生で聴いてからというものの完全にハマってしまいました。なんでこのタイミングなのかは分かりません。
そこで、「愛する人」について曲の雰囲気と歌詞と振り付けの大きく3つに分けて考えていきたいと思います。

1.曲の雰囲気

この曲はバラードなのでしっとりとした雰囲気なのは聴いてすぐにわかると思いますが、全体的に「生きる意味とは」「愛するということ」この二つをテーマに切なさを盛り込みながら展開されていきます。
ここでいう切なさとは"失恋した"とか、そういうはっきりとしたものではなく"誰もが抱える漠然とした切なさ"です。
例えば、日が沈んで夜に近づく時の切なさや、夜中に感じる孤独感がまるで自分だけなんじゃないかと感じるような、そういう具現化しにくいぼんやりとした切なさ、不安感、焦りなどなど。
そんな時に考える「生きる意味とは」「愛するということ」についてこの曲は歌っています。

2.歌詞

1で「生きる意味とは」「愛するということ」「漠然とした切なさ」というワードを出しましたが、それをここで歌詞と合わせて見ていきたいと思います。

なぜ僕は生きているのか 立ち止まって考えた
生まれた意味が誰にもあるとずっと信じている

Aメロ冒頭から生きる意味について自問自答するような言葉で始まります。この時点では何か生まれた意味があるのだろうけどその意味はまだ分からないまま、ただ何となく生きているという歌詞です。つまりこの曲の最初にこの疑問から入るということは、曲の大きなテーマがこの「生きる意味、生まれた意味」を模索するということを表しています。

暮れなずむ空に 自分だけ置いて行かれる気がして
今日という日が無駄ではなかった
大切な一日だったと帰りたい

Bメロのこの歌詞。
1で言った「漠然とした切なさ」というのはこのことです。
物事問わず周りの進んでいく早さに置いて行かれる気がして、どうか自分の今日一日が意味のあるものだったと、自分を肯定したいという誰もが感じた事のあるような「切なさ」が出ています。

愛する人 今いますか?
その人の笑顔 見ているだけで
なぜかいつでも しあわせになる
世界中で たった一人
その誰かと巡り逢うため
こんな孤独を 
抱きしめ生きているんだ

ついにサビ来ました...!私がこの曲の中で一番心に来た歌詞がこの太字になっている部分です。声に出して読みたいやすすの歌詞ランキングトップ10には入ります。(今作りました)
今まで生きる意味について自問自答をし、漠然とした切なさに包まれていた主人公。つい「愛する人今いますか?」と聞かれると、"いるかいないか" で二つに分かれてしまって、愛する人がいる人より孤独感を感じますが、いなくてもいいんだよと回収してくれるのがこの太字の部分です。
「その誰かと巡り逢うため こんな孤独を抱きしめ生きているんだ」
今孤独を抱きしめているのはいつか出会うその誰かと巡り逢うためであって、その孤独感にもちゃんと意味があるのだと肯定してくれます。

夜空の片隅 輝いた星をようやく見つけて
暗闇でさえほっとするように
僕だけが寂しいんじゃないと呟いた

2番のBメロ。
1番では漠然とした不安を抱えて、自分自身を肯定したいけど...くらいで終わっていましたが、ここではこの寂しさが僕だけじゃないと少し前向きになっています。

愛する人 まだいなくても
未来の笑顔を夢に見てれば
悲しみだって 乗り越えられる
いつの日にか 運命の人
その隣に辿り着くため
愛とは何か
問いかけ続けるのだろう

2番のサビです。
ここでも1番のサビと同じように、愛する人がまだいなくてもそれは悪いことではなくて、運命の人の隣に辿り着くために愛とは何か問い続ける、と。
つまり生きる意味というのは、いつか愛する人に巡り合うためであって、巡り合うためにこの孤独があるし、愛とは何かは巡り逢うまで問い続けるものだ、ということになります。

愛する人 今いますか?
愛する人 こんなそばに
愛する人 もういたのに
愛する人 気づかなくて

そして最後。
今まで愛する人に出会うために生きているんだ、と言ってきましたが、いや、会えない場合もあるでしょ?という疑問に対して、この最後のフレーズで後引くような切なさを残して終わっています。

私がこの歌詞で感じたのは、この歌詞の主人公は「僕」ですが、「愛する人」というのが恋愛感情的な「愛する人」だけではなくて、ひとりひとりが愛せる何かに巡り合うことを表現している気がしました。

3.振り付け

歌詞について考えてきましたが、それを表現しているのがこの曲の振り付けです!

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まず最初に、この曲の振り付けにおいて注目するのはこの真ん中の岡田さんと柏木さんのペアです。周りのメンバーは二人を取り巻く環境や人と考えると分かりやすいです。

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メロディーを歌う岡田さんに続くように後ろから柏木さんが「生まれた意味が誰にもあると~」の部分を上ハモで重ね、二人とも目を合わせることなくパートが終わります。
そして2番のBメロ(披露される時は削られる部分)の「夜空の片隅~」の部分では、冒頭と反対になり、柏木さんメロディーの岡田さんハモリになります。しかも冒頭で上ハモだったのが今度は下ハモになっています。
これは振り付けというより構成の話ですが、どちらもメロディーを担うことで、まだ交わらない二人がどちらも主人公で、お互いが愛する人に出会うために孤独や切なさを抱えているというのを表現しているのでは?と考えました。(自分が主語だけど、自分の出逢う相手もまた主人公として生きているという意味です)

次に2番サビの「愛とは何か 問いかけ続けるのだろう」のところ。ここの振り付けが速くてスクショが撮れなかったので文で説明するという伝わりづらいアレでいきますが、握った右手を頭(1回)→胸(2回)と当て、人差し指を立てた後にまた胸の前できゅっと手のひらを握る仕草をします。これは「問いかけ続ける」という部分の、一人で愛とは何か自分の心の中で考えるという自問自答のような意味をあらわしているように感じました。(確実に映像を見た方が早いので見ましょう)

そして最後、アウトロの部分

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岡田さんが後ろ、柏木さんが前に立ち、周りと同じようにゆっくりと柏木さんがしゃがみます。そして今の瞬間まで柏木さんが立っていた空間を後から岡田さんがそっと抱きしめて曲が終わります。
初めてちゃんと見た時、いやこの振り付け良すぎるでしょ、となったのですが、つまりこれは、岡田さんの愛する人というのが曲の最初からずっと近くにシンメのように立っていた柏木さんだったということ。
そして「愛する人こんなそばに 愛する人もういたのに 愛する人気づかなくて」この歌詞を表すかのように、岡田さんがもう"愛する人"のいなくなった何もない空間をそっと抱きしめて終わります。

は~~~.....
1曲に対してこんな長い感想を長々と書いておきながら改めてこの曲の良さを実感しているのですが.....

私的ポイントは、この曲はマイナスな意味を持つ”孤独”というワードを肯定している部分だなあと思います。
「孤独を抱えている」でもなく「抱きしめている」という言葉を選んでいるのも素敵だなと思いました。

ぜひこれを読んで気になった方は映像と音源で確かめてみてください....!


p.s.劇場盤にしか収録されてないの、勿体なさすぎませんか?


終わり


#AKB48 #愛する人






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