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今この時代、医師として地域に貢献できることに感謝

この1年、色々なことが世界で、日本で、僕の住む沖縄のこの島で、僕自身の中で変わった。時間外労働が増え、毎日のように強いストレスを抱え、一方で大切な家族と会う機会が減り、自分自身をメンテする余裕がなくなった時期もあった。


たいへん、きつい、しんどい、つい口に漏らすことが何度もあった。離島で働くことを放棄して、好き放題に生きれたらどんなに楽だろうと何度も思った。インスタグラムを見て、自由気ままに生きている人たちが羨ましかった。


とあるコミュニティを通して、1年を振り返って気づいたことは、この1年は僕の人生の中でベスト3に入るくらいしんどい1年だったけど、その分、僕の今後の人生を変えるんじゃないかというくらい、得られることも多かったということ。そして今一番思う最大の気づきは、「今この時代に、医師として地域に貢献できるチャンスを与えらていることに感謝」ということ。


思えば医師になりたいと思ったのは、もともとは人が好きで、人の役に立つことが好きだったから。そして今僕は、医師として、1人の人間として、沖縄の小さな離島の、地域の健康を守るという役割を与えられている。


僕にできて他の医師にはできない、特別な能力やスキルなんてこれっぽっちもないけど、今いるこの島を「専門」とする「家庭医」は、僕以外の他にはいない。家庭医として身につけた知識やセンスと、これまでの人生で培った僕という人間性を発揮して、地域の安心や健康に貢献できる、他にはない立場に今いる。そういう自分の「価値」に気づくことができた。今この状況で、しんどさに負けて気づかなかったけど、僕は人生で一番やりたいことができている。


昨日たまたま見た映画で印象的だった一言が、「今いるこの状況は偶然でもなければ、運命でもない、僕たちが自らの意思で日々選択して起きていること」だった。大学生の時から僕は「義務年限」というおんぶにだっこで敷かれた線路に乗っかって、大学卒業後の勤務先なんで自分で選択したことは一度もなかった。この島を選んだのも他に希望者がいなかったからという半分は消極的な理由だったけど、たぶん小さいころからもっていた純粋な動悸を今も持ち合わせていて、どこかで積み重ねてきた小さな選択の結果、今この小さな離島に家庭医としているんだと思う。


COVID19はたくさんの人を不幸にしているし、呪術廻戦でいう怨念がたまりにまたってたくさんの呪霊が生まれそうな今この世の中だけど(最近「呪術廻戦」にハマってるのでつい)、僕はこんな時だからこそ思う、多くの気づきや仲間を与えてくれたこと、家族の大切さを教えてくれたこと、僕に僕の価値や、今ここで生きることの意味を気づかせてくれたことに感謝。


写真は、島の老人ホームで最近撮ったもの。沖縄はここ最近ずっと雨が降ったり、どんよりした曇り空が続いているけど、この日ちょうど往診でホームに顔を出した時に、空が一瞬晴れて美しい虹がかかった。入所者が昼食に集まる時間を見計らうようなベストタイミングで、どこからでも見えるようなベストアングルに。思わず職員に次々と声をかけて、入所者と自然のサプライズショーを楽しんだ。

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