新規事業を海外で!? リアルな課題と可能性を探そう
Hello, people.
今回のテーマは「新規事業を海外で!? リアルな課題と可能性を探そう」です。国内経済が長期低迷する中、活路を海外に求める企業が増えています。しかし、海外新規事業は人材確保や市場分析、カントリーリスクなどさまざまな点を考慮する必要があり、ハードルが高いと感じる方も多いと思います。そこで実践的ビジネスコミュニティ GDA(Good Days Association)では事例を交えながら、海外新規事業のリアルについて紹介するウェビナーを開催。『アローサル・テクノロジー』の佐藤拓哉さんと『at B』の岩井和希さんに登壇いただきましたので、その内容をお届けします!
バングラ市場の現状
佐藤 国内のITエンジニアが不足する中、盛んに行われているのが海外で一部の開発業務を請け負う「オフショア開発」です。これまで中国やインドなどが委託先の代表格でしたが、人件費の高騰に伴い、近年はベトナムへと移ってきました。現在ベトナムのIT産業の市場規模は13兆円、ITエンジニアは30万人いると言われています。ただ、ここ数年はベトナムでもエンジニアが不足しつつあり、人件費は徐々に上昇しています。
そこで、ポスト・ベトナムとして注目されているのがバングラディッシュです。IT産業の市場規模は現在3300億円と言われており、ベトナムの10年前と同じ水準です。加えて人口はベトナムの2倍近くあり、日本との時差は3時間とリモートでのやり取りもしやすく、今後の成長に大きな期待が持てる国と言えるでしょう。
海外新規事業の面白さ
岩井 バングラディッシュは人口に対し、仕事が不足している状態なので、新規事業を興し、雇用を創出することそのものが社会貢献になっています。弊社は特に現地の一般的な企業と比べて給与も高いので、若いエンジニアからはとても感謝してもらえます。そうした貢献性を感じられるのは、大きな喜びですね。
また、良い意味で国の仕組みやルールが定まっていないところもこの国の面白さだと思います。例えば新規事業を行う際の、公的機関での書類の申請処理は日本と比べてとても遅いのですが、こちらの工夫次第で特別対応してもらえたりします。臨機応変というべきか、これが「海外あるある」かもしれません。政府の偉い人にも、紹介だけでなくメールやSNSを通して連絡すれば、かなりの頻度で会えるのも日本でなかなかないことですね。
AI(人工知能)研究・開発を行う『アローサル・テクノロジー』の海外進出の事例
佐藤 『アローサル・テクノロジー』は、人工知能(AI)技術を活用したサービス開発のコンサルティング・企画・開発を中心に行っている会社です。ポータルサイトのボットメーカー開発事業、アバターを使用したリアル×仮想世界の融合を楽しむSNSアプリの開発なども手掛けています。
創業以来、オフショア開発はベトナムで行っていたのですが、バングラディッシュ市場の成長性に魅力を感じ、2020年に進出しました。
ここではバングラディッシュの政府と提携し、予算を確保した上で技術者にAI人材教育、日本語教育を行い、オフショア開発のチーム編成を行っています。対面での教育のほか、日本政府の事業再構築補助金を活用して独自のe-ラーニングシステムを開発。日本語・英語両方の対応が可能なので、DX人材の養成に役立っています。
また、育成したエンジニアたちの雇用の場を広げるために、独自のバングラディッシュのエンジニア特化型の求人サイトを開発しています。現在はバングラディッシュ側で集客しており、日本側ではまだ営業をしていないのですが、これがうまく回るようになれば、オフシェア開発に大きな力になると確信しています。
エンジニア事業、自動車事業などを行う
『atB』の海外進出の事例
岩井 『atB』はバングラディッシュを拠点に、エンジニアのオフショア開発事業や自動車事業を行っています。弊社のオフショア開発は案件ごとの受注ではなく、エンジニアを日本企業の社員のような形でチーム採用していただくラボ型で行っています。そうすることで、腰を落ち着けて長期プロジェクトに取り組むことができます。
また、日本の中古車販売事業も行っています。高品質でエコな日本車は、中古であってもバングラディッシュで人気です。日本最大の中古車オークションなどを通して車を買い付け、現地で販売しています。また、パーツ販売や整備事業も行っています。
実践して見えた可能性
岩井 インフラが整備されておらず、日本で「普通」に存在しているサービスがないので、どんなことでもビジネスになる!と感じています。例えば一次産業は、農業・畜産の適切な栽培方法、飼育方法が伝わっていないので、良い品質のものがありません。だから、そこを解決するだけでビジネスとして高い価値を生み出せると思うんです。弊社では今後、養鶏やエビの養殖を手掛けたいと思っています。
また、2〜3次産業では観光客向けの優れたお土産がないので、それを発掘し、販売してみたいと思っています。良い資源はあるので、マーケティングや売出し方次第でうまくいく可能性は高いと思っています。
佐藤 ベトナムではエンタメコンテンツが既に発達していたのですが、バングラディッシュにはないし、気の利いたお酒を飲む場所もない。だから、この分野でもビジネスチャンスはあると思います。また、交通インフラが整っていないので渋滞が酷いのですが、ITの力で解消できるかもしれないし、解消されれば流通の発展も期待できます。
岩井 日本だと、大きな社会課題を解決するようなビジネスは既に生まれているので、新規ビジネスを立ち上げるのはとても大変ですよね。その点、新興国は「歩けば課題にぶち当たる」状態ですから、さまざまなビジネスが構築できます。また、社会が成熟すれば今度は教育や環境など新たな課題が生まれてきますから、将来にわたって展開できると思っています。
また、バングラディッシュでは若い人が多いというのも強みだと思っています。多くの人が英語を話せますし「世界を取りにいこうぜ!」というビジネスマインドも持ち合わせている。弊社では今後、日本側のアイディアをすくい上げ、大勢のエンジニアに集中的に開発作業をしてもらうハッカソンイベントを行う予定ですが、日本のベンチャー企業とも親和性が高いはずです。
まとめ
経済成長の真っ只中であるバングラディシュは、現在オフショア開発事業が盛んに行われており、将来への期待が高い国の一つです。また、IT関連ビジネスだけでなく、国の基盤を支えるビジネスや経済発展後の中間層向けビジネスなど、さまざまな可能性が考えられる国でもある、とのことでした。
海外展開をお考えの方は、お二人の事例などぜひ参考にしてみてくださいね。
次回は「いますぐ挑戦すべき?日本人が海外で働くべき理由」がテーマです。お楽しみに!
登壇者紹介
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ウェビナー動画はコチラ
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