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#32 ”毒殺未遂?!"~認知症の母が薬を飲まない訳~

認知症介護で悩ましい事象事案は、いくつもあるわけなんですが、意外と(?)というか、想定外だったのが、『自分で薬が飲めなくなる問題』。

これは介護開始当初、最も苦戦した事案だ。

「具合が悪けりゃ、薬飲むよねー。」という、極々、一般的な当たり前の事が、認知症を発症すると出来なくなる。

薬を飲む時間になると、母は毎度、激しく抵抗した。

「あんたは、あたしに毒を盛って、あたしを殺す気なんでしょーっ!!」

毎度、「毒殺未遂事件」勃発で、薬を飲ませるのに、こんなに苦労するとは・・・。想定外の事案で、バキバキと心が折れる音が聞こえる・・・。


◼️認知症になると何故、薬を飲めなくなるのか?!

その1、”病識”が認知できなくなる。
「自分は病気で具合が悪い。」という”病識”が認知できなくなる。よって、認知症が進行する程、「自分は元気! 薬なんかいらない!!」という意識が強くなっていく。(謎w

その2、「介護拒否」意識の高まり。
認知症を発症する前に、普段の生活をきちんとやっていた「意識高い系」の高齢者程、「介護拒否」の傾向は強まる、気がする。(母はこれに該当する。)

介護されている自分に”異常”を感じるのだ。
異常を感じて、不安になる。
だから、よくわからない薬なんか絶対に飲まない。(「飲んではいけない!」という防衛意識が働くらしい。)

並行する事例を申し上げると、例えば、「便所掃除」をするだけで、「なんで?なんでそんなことするのっ?!」と、母はギャン泣き。
これも介護拒否のひとつ。

「自分は気をつけて、(便所掃除は)ちゃんとやっている!」のに、そこを掃除されるわけで、自尊心がめちゃくちゃに傷つく。→ 混乱する → 不安になる → 介助や介護を拒否する。

親の介護が始まった時、「介護拒否」は、相当な「壁」になる。

それまで、家事万端切り盛りし、食事や運動などに気をつかい、
しっかりとやってきた人(親)程、その壁は厚くなる。

ここを突破しないと、介護は出来ない。手を入れる事は出来ない。
親の介護に必要な力は「突破力!!」

Ilsa経験談より出典

その3、典型的、認知症の中核症状によるもの。
①『記憶障害』➡️「薬」を飲んだか、飲んでいないかわからない。
②『見当障害』➡️「薬」という、そのものがわからない。
③『失語、失行、失認』➡️ 薬を飲む動作/所作を忘れてしまう。
④『遂行機能障害』➡️「時間になったら薬を飲む」という”任務”が遂行できない。

大樹生命認知症サポートサービスより

以上、「薬を飲めなくなってしまう理由」と、そのロジックはちゃんとあるわけなんだが、なんかもう、これでさえも、『認知症』という、『脳内自爆スイッチが起動した状態』だったから、薬や治療を拒むのは”自然のこと”だったのかな・・・と、後になって思った。

しかし、当時は、何としてもこの事案を「突破!」して行かなければならなかったので、ウチで敢行した対応策を書いておく。

◼️認知症の母に薬を飲ませた方法

① 母は心療内科に通院している事は、家族に知られたくなかったので、「その先生が処方した薬」というキーワードは封印。その”代替え”として、母が積極的に通院していた「”内科の○○先生”が、処方してくれたお薬」とした。

「認知症のお薬ですよ~。」は、厳禁。
  また、「安定剤」というキーワードも、母が忌避するので厳禁。

・「便秘が治るよ~。」
➡️ トイレに行った後に、「お薬飲んで良かったね!」と讃える。

・「体力を落とさないように助けてくれるお薬だよ。」
➡️「今日も元気だね!! お薬ちゃんと飲めてるから、大丈夫だ!」と讃える。

・「食欲が出るお薬だよ。」
➡️「ご飯、食べられて良かったね! お薬効いているね!」と讃える。

・「夜、よく寝られるお薬だよ。」
➡️「昨日は、よく眠れたみたいで、良かったね! 今日も元気!」と讃えるw

とにかく、お薬飲んだら、褒めまくれっ!!w

「お薬を飲むこと」に、自信と安心感をもたせるのが肝。

でも、それが過ぎると、今度は、薬を飲まないと不安になって、薬を飲んだのに、また薬を欲しがる事態になる。

そういう時には、「乳酸菌」とか「ビタミン剤」とか、”プラセボ”を用意しておいて、飲ませると良い。但し、”プラセボ”を用意するには、医師にちゃんと相談して、飲み合わせのアドバイスを貰っておこう。

③数種類のお薬がある場合は、医師に言って「一包化」の指示を薬局に出してもらう。➡️ 薬服用管理の簡素化。

「お薬カレンダー」の設置
(お薬は箱とかにしまわずに、可視化共有する。)
➡️ お薬を飲んだら、「空袋」を入れておくと、飲み忘れがない。
 後で「お薬はちゃんと飲んだから大丈夫だよ!ホラね!」と証拠を提示する       ことができるw

⑤ヘルパーさんや、ディサービスのスタッフさんに「服用」を手伝ってもらう。(これも介護サービス内なので有料の所あり。)

ウチは、父が、母の薬の管理を張り切って請け負ってくれたので、この部分は、父と共有して、かなり助けられた。

その他、認知症患者と薬の服用について、
公益社団法人『認知症の人と家族の会』ホームページ、
【 認知症の人への服用介助の工夫 】という段で、詳しく解説されているので、ぜひ、参考にして欲しい。⬇️⬇️⬇️


本日の曲は、心がバッキバキに折れながらも、果敢に母の介護を成し遂げようと、毎日聴いていた、この曲だっ!!! 💫

SUGAR=砂糖=媚薬w ということでw

2012年の映画『ロック・オブ・エイジズ』から。
トム・クルーズ(公開当時49歳)が、バリバリの伝説ロッカー「スティシー・ジャックス」を演じた異色作。

全編吹き替えなしで挑んだトムの歌唱力がハンパなく凄い!!&エロい!! www 

介護にはロックだぜっ!!w

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