所得税法の論証集(司法試験・予備試験)

【包括的所得概念】司法H30①、H19②、H20②
所得税法は、一時所得(34条)、雑所得(35条)を設け、一定期間内の純資産の増加を全て所得とみる建前を有し、他方で、徴税上・政策上の見地から、非課税所得を設けている(9条1項各号)。そこで、一定期間内の純資産の増加は、それを非課税とする明文の規定がない限り「所得」(7条)として課税される。
*所得税法は、課税の対象となる所得を取得した経済上の成果としてとらえ、一定期間内における純資産の増加を全て所得とみる(純資産増加説、中高年齢者雇用開発給付金事件)。
*サイモンズの定式:所得額(Y)=期中消費額(C)+期中純資産増加額(ΔA)
*包括的所得概念:収入等の形で新たに得た経済的利得を全て所得と考える
(未実現の利得)*保有資産の含み益など
@包括的所得概念 →未実現の利得も、純資産の増加がある以上「所得」(7)となる。しかし、未実現の利得については「収入」(36①)がなく、原則として(「別段の定め」がない限り)課税対象とならない。∵把握が困難で執行可能性に乏しい


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