台湾の💫李登輝元総統が天国に召されました。

✨李登輝✨氏が…、天国に旅立たれました。。。🙏
（写真は、今年１月上旬に撮影した、台北駅舎前にある李登輝氏の像です。）

💫李登輝元総統死去 日本とのゆかり深く／台湾 | 政治 | 中央社フォーカス台湾

李登輝元総統死去 日本とのゆかり深く／台湾 | 政治 | 中央社フォーカス台湾

💫李登輝元総統が死去 97歳 台湾の「ミスター・デモクラシー」 | 政治 | 中央社フォーカス台湾

李登輝元総統が死去 97歳 台湾の「ミスター・デモクラシー」 | 政治 | 中央社フォーカス台湾

💫日本人秘書が明かす李登輝元総統の知られざる素顔：WEDGE Infinity(ウェッジ)

日本人秘書が明かす李登輝元総統の知られざる素顔：WEDGE Infinity(ウェッジ)：

💫【李登輝氏死去】最後の訪問先・沖縄からも悼む声 - 産経ニュース

【李登輝氏死去】最後の訪問先・沖縄からも悼む声

・李登輝氏の最後の訪日先である沖縄でも、死去を悼む声が聞かれた。
　平成３０年６月の沖縄訪問を支えた日本台湾平和基金会の西田健次郎理事長（７６）は、「日本人よりも日本を理解している方だった」と振り返る。
・「滞在中、『武士道を忘れてはならない』ということを、力強くおっしゃっていたことが今も耳に残っている。本当に残念でならない」。訃報を受け、西田氏は声を震わせた。

李登輝 - Wikipedia

💫「李登輝氏沖縄訪問2020」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)

「李登輝氏沖縄訪問2020」の検索結果 - Yahoo!検索（画像）

【 台湾 李登輝元総統 逝く 】

台湾民主化と独立の道を定め、 日本人に勇気を与えた偉大な指導者の業績
藤 井 厳 喜(国際政治学者)

7月 30 日、台湾の元総統であった李登輝先生が逝去された。
心よりご冥福を祈る次第である。

この際、李登輝という政治家の業績を振り返ってみたいと思う。
本来、李登輝先生とお呼びすべきであるが、客観的に評論する為に、敢えて先 生等の尊称は避けて以下、論述したい。

李登輝の偉大な業績は、3つ挙げられる。
第1は、台湾の民主化を進めたことである。
第2は、台湾独立への道程をシッカリと定めたことである。
第3は、台湾人のアイデンティティをシッカリと認識させたことである。
これらの3つの大きな業績は、一体となって進められたことであって、また戦略的にも相互に補完しあうものであった。

【 当初は、安全パイと思われていた人物 】

蒋介石の後を継いだ蒋経国が、李登輝という台湾人を副総統に任命した。
恐らくこの時の蒋経国の判断は、おとなしい学者であり、国民党支配体制に全 く害を及ぼす可能性のない人間ということであったのだろう。

台湾人であり 22 歳までは日本人であった李登輝は、やがて白色テロの時代を 生き抜き、農業経済学者として一家を為していた。おとなしい学者であり、国民 党支配体制に 100%従順な人間として、蒋経国はこの人物を副総統に任命したの であろう。いわば「安全パイ」である。ところが蒋経国が意外に早く他界し、台湾 人である李登輝が総統というトップの座を占めることになった。

そしてその当時の台湾は、中国国民党の独裁体制であり、「国民党の首席=中 華 民 国 の総 統 」であった。何故、蒋経国が大陸から来たチャイニーズではなく、 台湾生まれのタイワニーズである李登輝をナンバー2 のポジションにつけたのか といえば、国民の 85%を占める台湾人の民意を組むことなしに、国民党の統治 を続けることは不可能であると判断したからだろう。

周知のように、第2次大戦後の中華民国は、大陸の内戦に敗れた蒋介石の国民 党が台湾に亡命することによって成立した。日本統治から解放された台湾は、独 自の独立の道を歩むことなく、たちまち再び外来政権である国民党に占領されて しまったのである。蒋介石と共に大陸から台湾に移ってきた人たちは外省人と呼 ばれるが、この人たちの人口が約 15%、残りの 85%が元来の台湾人である。

1945 年までは日本人として育った人々である。台湾人からすれば国民党支配 は、異民族支配に他ならなかった。台湾の住民は元来が話し言葉や風習からし て、チャイナのそれとは異なっている。台湾語は北京語とは全く違った言語であ る。それに学校教育は全て日本語で行われてきたから、北京語を強制された台湾 人は外国語としての北京語を強制的に習得させられたのである。

台湾海峡を超えて大陸から入ってきた人間たちも、台湾人のルーツの1つでは あるが、元々の台湾原住民と混血して独自の台湾文化を形成していた。
そういった自然発生的な台湾国を上から強権的に支配したのが「蒋介石国民党」 であった。

1947年の【 2 2 8 事 件 】という虐殺事件を起こし、その後は、史上最長の戒厳令を 敷いて台湾人を威嚇した。白色テロと言われた国民党のテロは、無差別に台湾人 の潜在的な抵抗分子を弾圧し、虐殺した。この様な体制であるからこそ蒋経国 は、どこかで台湾人の民意を組み入れない限り、国民党の統治が永続できないと 考えたのであろう。そこで白羽の矢を立てたのが、絶対に反抗しそうに思われな い「李登輝」という人物であった。

【 民主化と独立への道 】

総統になった李登輝は、非常に慎重に民主化のプロセスを実現していった。
まず国会の多数を占めていた終身議員を引退させた。終身議員とは文字通り、 死ぬまで国会議員を務める特権階級である。彼らは大陸から蒋介石と共に台湾に 移ってきた国民党のエリートである。即ちタイワニーズではなくチャイニーズで ある。これらの国会議員に引退してもらわないことには、国民が国会議員を選ぶ 民主政治の体制をとることは出来ない。

李登輝は終身議員の一人一人を丁寧に訪問し、「現在与えられている経済特権は そのまま保 証 するから終 身 議 員 の立 場 だけは退 いてくれ」と説得して回った。これが 功を奏して、国会、即ち立法院を民主化する基礎が出来た。そして 1996 年に は、総統選挙を始めて国民の直接投票によって行なうことが出来た。民選、即ち 国民の直接の投票による総統の誕生である。

蒋経国の死からここまで到達するのに 8 年の年月が経っていた。96 年の総統 選挙では中華民国建国以来、初めての国民の直接投票によって総統が選出され た。この選挙に際して、中国共産党から大きなプレゼントが李登輝のもとに届い た。台湾海峡に対するミサイル攻撃である。
中国共産党は何故、そんな暴挙を敢えて実行したのだろうか。現役総統であ り、国民党を率いる李登輝が勝利することは目に見えていた。この年、野党の候 補が勝つ可能性は殆どなかったのである。国民党政権が継続するならば、その延 長線上に中国共産党は台湾の併合を考えることが出来たのであり、国民党政権の 継続は共産党にとっても悪くなかった筈である。

ミサイルを台湾海峡にぶち込もうが、何をしようが、李登輝の勝利は揺るぎの ないものであった。では、何故、ミサイルを発射したのか。それは台湾の民主的 な選挙を阻止する為であった。つまりミサイルの脅しによって、李登輝が国民の 動揺を防ぐために戒厳令を敷き、事実上、民主的な選挙をキャンセルすることを 中国共産党は望んだのである。何故かと言えば、一度でも民主政治の方向に台湾 が踏み出してしまえば、後戻りが出来なくなる可能性が高い。

そして台湾が民主国家になってしまえば、中国共産党の独裁国家である中華人 民共和国と全く別の道を歩み始めることは必然である。そうなれば、中国共産党 が台湾を併合することは永遠に不可能となる。それが分かっているが故の、ミサ イルによる台湾人への恫喝であった。

しかしこの時、李登輝の信念は少しも揺るがなかった。ミサイル発射が台湾人 への心理的恫喝であることを見抜き、台湾国民を精神的に安定させ堂々と民主的 な選挙を実行したのである。今から思えば、李登輝にとっての台湾独立戦略は即 ち、民主化戦略であったことが分かる。中国共産党の読み通り民主化を実行し、 近代的な民主国家になってしまえば、台湾国民の大多数は中華人民共和国に併合 されることを絶対に拒否する。独立の道を歩み続けるしかない。

李登輝は国民党の主席でもあったから、直ぐには独立を言い出すことは不可能 であった。国のトップとはいいながら、それは中華民国の総統であったので中華 人民共和国との、何らかの関係性を全否定することは出来なかったのである。

しかし李登輝は徐々に、「大陸は大陸・台湾は台湾」という現実を台湾国民の心理 にも植え付けた。日米をはじめとする関係国にも浸透させていった。
李登輝が 2000 年に政界を引退した後も、民主的な選挙のプロセスは滞ること なく台湾政界に根付き、今日の台湾はまごうかたなき民主国家である。
与党と野党の政権交代も経験している。言論の自由も保証されている。

こうなってしまえば、中華人民共和国の中国共産党独裁体制に呑み込まれてい いと考える台湾人は殆どいない。元来の中国国民党の支持者にも、台湾独立の考 えは拡がっている。大陸から亡命して台湾に来た人々の末裔の中にも、台湾の言 論の自由と民主政治を尊重する人々が増えている。
今にして思えば、「民主化プロセスの推進」即ち、独立への道であったのだ。 これが「李登輝という政治家の大戦略」であったのだろう。

【 台湾人アイデンティティの確立 】

李登輝が民選で総統に選ばれたのは 1996 年だが、その翌年、1997 年に『認 識 台 湾 』という台湾史の歴史教科書が発行された。国定の歴史教科書の一部であ る。それまでの台湾人は、台湾の歴史を自ら顧みることが出来なかった。
国民党が教えたのは、チャイナの歴史であって、台湾の歴史ではなかった。

この『認識台湾』で台湾人ははじめて自らのルーツを知り、台湾の歴史を知るこ とが出来た。チャイニーズではない、タイワニーズの自覚が確実に芽生えたので ある。台湾は確かにチャイナ文明の影響は受けているが、同時に 50 年の統治に より日本文明の影響も受けている。

そして第二次大戦後は、アメリカ文明の影響も色濃く受けている。かつて台湾 を統治した国には、スペインがあり、オランダがあった。こういった歴史の中か ら、新しい台湾人アイデンティティが形成されていった。

自分たちが「台湾人」であり、所謂「中国人」ではないのだという自覚が、台湾で 根付いていった。その台湾人アイデンティティは、経済的に発展し、政治的にも 民主国家であるという台湾のアイデンティティと一体のものである。ここまで来 てしまうと、中華人民共和国に台湾が併合される理由は一つも残っていない。
香港の人々は、こういった台湾の動きを羨むべきものとして尊敬している。

台湾は正式な国交関係こそ、日本やアメリカとはないが、外交関係の有無は台 湾が主権独立国家であることを少しも妨げない。トランプ政権誕生以来のアメリ カは、台湾を事実上の主権独立国家として承認している。その証拠に李登輝の葬 儀には、アザー厚生長官という大臣級の政治家を台湾に送っている。

そして 2020 年に世界を席巻した武漢コロナウィルスが、また台湾と大陸の距 離を広げることになった。台湾はいち早く防疫体制を築き、このウィルスの被害 を最小限に抑えることに成功している。世界の模範例として、アメリカを含む多 くの国々が認識している。この感染症対策で台湾人は大いに自信を高めることが 出来たし、また世界の尊敬を勝ちうることが出来た。

中華人民共和国の方が、世界に悪性のウィルスを広めた国として、その評判を 落としたこととは好対照である。最早、ここまでくれば台湾が、中華人民共和国 の併合の圧力に屈することはない。米中関係対立激化の中、アメリカの台湾独立 の支援もほぼ万全の体制である。これらの諸般の事情を、シッカリと確かめて李 登輝という大政治家はあの世へと旅立ったのである。李登輝は日本語での著作も 多いが、『武士道改題』という本も出版している。

しかしこうしてみれば、李登輝の武士道とは、まさに我慢の武士道だったので はないか。そして中国国民党や中国共産党の謀略に負けない、戦略的な武士道で あったようにも思われる。

李登輝のもう1つの大きな業績は、日本人に大きな勇気を与えてくれたことで ある。「日本人は日本の歴史に自信をもつべきだ」と日本人に教えてくれた。これは 我々日本人が感謝してやまないところである。日台の友好関係をより高い次元に 引き上げたのは、李登輝という政治家のもう1つの大きな業績であった。

現在も台湾は世界1の親日国であるし、日本の中にも李登輝を通じた台湾ファ ンを育ててくれた。台湾は決して人口の大きな国ではないが、小国という訳でも ない。そして文明的かつ地政学的に日本とは密接不可分の国である。

「日 本 と台 湾 は運 命 共 同 体 なんだよ」という李登輝の言葉は、我々が何度も噛み 締めるべき名言である。