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宮崎正弘さんのメルマガ💕🐧|皇帝🐧ペンギン (2021/02/21〜02/28) 🐧💦


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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月28日(日曜日)弐      号外
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        ◆宮崎正弘の新刊! ◆宮崎正弘の新刊!  
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  ♪新刊予告♪
  3月3日発売!
宮崎正弘 v 渡邉哲也『迫り来るアメリカ 悪夢の選択』(ビジネス社)
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▲バイデン政権とは「第三次オバマ政権」(「オバマ3・0」)。閣僚も高官も無能揃い。
   制裁緩和で中国は延命。習近平は失脚を免れた。漫画はともかく鬼滅は当面ない。
   バイデンの親中度、対中制裁を姑息に緩和してゆくだろう。
FRBはイエーレン、政権は民主党。ウォール街は保守本流。その合意は?
なぜ、いま日本人の金融資産が100兆円も増えているのか
▲米国の分裂状態は悪化する
   香港のひそみにならえばアメリカは「一国二国民」となった。修復は不可能である。
   中国はアメリカに代替できる覇権を狙うから米国分裂は欣快な出来事である。
▲「2050年 脱炭素」という時代が本当に来るのか
 歴史的巨視から見ると、第一次革命となった農業分野の改革改良と飛躍的生産から第二次が蒸気機関の発明による産業革命だった。第三はIT、通信の大変革による通信革命だったとすれば、カーボン・ゼロは「第四の革命」となる。
 日本が世界覇権を目指さない平和国家、福祉国家の建設を目指していることは戦後史を振り返れば明瞭だが、このためにパワーの配分が偏在的となって、主要産業は鉄鋼、造船、自動車から、なんと「介護」となった。
国家予算107兆円の三割強が福祉医療介護である。防衛予算はGDPの1%以下、とてもまともな国家ではない。
 日本には防衛産業が不在で、宇宙航空産業分野へも、米国の監視網があって、独自に乗り出せば、三菱重工の新型中距離旅客機の頓挫という事態に遭遇する。つまり日本の産業競争力は偏在している。だから総合力が弱い。
 自動車産業だけは依然として世界のトップにあるものの、次世代EV競争となると、日本の安泰は続かないことになる。たとえ、EVに現時点では多くの欠陥があるにせよ、世界の合意は「2050 脱炭素」である。

 昭和四十年代までに成し遂げた鉄鋼の復活も、造船も新興国に追い抜かれ、さらに脱炭素社会が実現すると仮定すれば、日本で自動車鋼板が生産できなくなる日がくる(環境保護を叫ぶ人たちは鉄鋼産業の廃業を視野に主張しているのだろうか?)。
 ともかく敗戦後の日本は臥薪嘗胆を経済力の復活にもとめ、五輪、新幹線、高速道路の配備を達成した。工業の先端を走っている間に、金融改革で独自色を出せずに米欧ばかりか、中国の猛追を受けた。通貨戦争は完敗だった。
 産業のコメといわれた半導体は、日米半導体協議によって、世界一の座から引きずり下ろされた。あの日本のGDP世界第二位という黄金の日々は幻想の闇に消えつつある。

 ▲脱炭素なら「原発」再活用しか手立てはない
 ▲GAFAから「FANG」へ新興ビジネス地図が塗り代わった

▲2035 中国がアメリカを超える?
 ▲中国を孤立させることがなぜ西側の不利益なのか
 ▲『ワクチン株高』は続かず、ウォール街から下落へ

▲アントは事実上の庶民銀行。預金者は五大銀行からの口座移し替えていた
 
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 ●「バイデンのアメリカ」は南北戦争か、共産主義革命か!
  中国と極左勢力が暗躍する世界リセット、日本経済のリスクと勝機
 ●政治力に翻弄される世界経済の危機。米国版文化大革命で分断か戦争か? 
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新刊予告 3月24日発売決定
『真説・日本紀行 パワースポットを往く』(海流社、1650円)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月28日(日曜日) 通巻第6815号 <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~使い古された言葉ですが。「大学はでたけれど。。。」
  中国、ことしの大卒は909万人。就職戦線は氷河期
*************************************中国において、2001年の大学生は114万人だった。金の卵、就職先は幾らでもあった。江沢民時代から胡錦涛となって、中国の経済成長は続き、この右肩あがりは、何時までも続くと皆が夢想していた。
 だから両親から祖父母までが、一人っ子を大学へ通学させた。駅弁大学があちこちに開設された。

 2020年、中国のGDP成長は2・3%だった(目標値は6・5%だったが)、求職状況はまだ多少良かった。
大卒は874万人もいた。希望通りに就活できたのはおよそ半分、あとはアルバイト、不満だらけの職場、或いは就職浪人をきめこんだり、五毛幇にはしる。大学を出ても月給3000元というのは、女工さん以下である。それでも死にものぐるいで職を探した。絶望して自殺した若者が出た。

 女子学生も同様だが、美人となると「パパ活」という「立派」な分野もあって、贅沢な暮らしが残り火のように残存していた。
この波に欧米から海亀派と呼ばれる留学還りが加わった。米国留学だけでも37万人、大半が修士を持っているからハイテク企業や金融企業には潜り込めた。

 中国の就活と日本が異なるのは、最初から会社に入って一緒に雑巾がけから始めるのではない。横並び主義ではなく、いきなり部長につくようなポジション獲得であり、もちろん技能、才能、ライセンスなどが重要だが、もっとも大事なのはコネクションである。
 なにも無ければ大学をでても出稼ぎ労働者と同様な3k職場しかない。
 そして2021年、中国の新卒予定は909万人である。おししも就職氷河期!
       ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

 【特別寄稿】 【特別寄稿】 
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「228事件は台湾人にとってなんであるのか
 以降、台湾人は日本人・中国人をどのように見るようになったのか」
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     元駐日台湾代表・津田塾大学名誉教授 許 世楷

【1】 近現代史の節目

 228事件は台湾人近現代史の節目を型作った。1895年~1945年の日本統治下を近代史とすれば、1945年の中華民国?介石軍による台湾占領から近現代史交替期に入る。
 日本統治下において中国と隔離していた台湾の近代化は、第二次世界大戦中までにすでに中国人と異なる独自の台湾人の実態を形成していたが、多くの台湾人はまだそれを意識せず、依然として観念的な中国人意識の残像を持っていた。
とくに戦後、日本人が立ち去り、中国人が台湾を接収する時点では、「祖国復帰」ということでその観念的中国人意識の一時的高揚が見られた。しかし実際の?介石軍占領に出会うと、中国人と自らの相異をあらためて発見する。それから台湾人は漸次観念的中国人意識から脱却し、独立した台湾人意識を形成し始める。その結果が1947年の228事件の発生であった。つまり、一年と六か月の経験で台湾人はその相異を発見したことを行動で表示するわけである。この一年六か月が台湾人近現代史交替期の節目に当たる。

【2】 近代化の過程

 日本統治下において台湾人は近代化の過程を歩んだ。とくにそれが中国人と異ならせていったのは、法治、教育、医学、各種インフラストラクチャーなどの洗礼によるものである。
日本の台湾統治は本来日本の国益を目的としたものであるが、台湾人の生活文化を大きく変えた。日本人は主として真面目にその公的目的を遂行し、1945年に来た
中国人が極端にその私的利益を追求したのと、はなはだしく異なっていることを台湾人は実際に経験した。日本人は当局の決めた社会生活のルールを自他共に守る法として忠実に法治を旨とした。それに引き換え中国人は、法は統治の客体である台湾人を縛るものとして用い、自らはそれを守る必要のないものとし、法治を無視していわゆる人治を重んじた。それは社会生活における行為の結果を予測し難いものとならしめ、戦後の中国人統治は台湾人に不安定な生活をもたらし、戦前の日本人統治の評価が高まることになる。
加えて戦後の中国人統治が台湾人に対する軍閥の略奪と異ならず、戦前の日本人統治は厳しい植民地統治であるとはいえ、法治、教育、医学、各種インフラストラクチャーの向上をもたらしている。
ここに統治者としての善玉日本人、悪玉中国人の評価が台湾人の間に定着していくことになった。

【3】 法治、教育、医学、インフラストラクチャーの向上

 ちなみに法治は、社会生活の安定をもたらしただけでなく、その後の台湾の民主主義、自由主義、人権発展の基礎にもなった。教育について、日本植民地統治下では台湾人を入学させる国語学校、医学校を優先的に設立した。
前者は多くの公学校教員と初級行政人員を養成し、後者は多くの医業従事者を生んだ。なお本来この教育は教員、行政人員、医業従事者を培養することが目的であったが、ともなって日本語をも普及させ、結果として一般的文化向上にも貢献したし、また台湾人にも自らの権利に目覚める知的手段をもたらした。1921年に結成された台湾文化協会の構成員の多くが国語学校医学校卒業生であることがその顕著な例である。
 さらに医学校は台湾の医療水準を高め、衛生環境を改良し、台湾を生活のし易いところに変えた。

 インフラストラクチャー建設では、南北鉄道縦貫線が台湾の生活一体化を促進した。中部日月潭水力発電所などは産業発展、また生活の便利を供給した。台湾建設について日本で有名なのは総督府技師八田與一氏の貢献である。
これは彼が熱意を以って烏山頭ダム建設の設計監督を担当し、台湾中南部の広範囲にわたる不毛の地を大穀倉地帯に作り替えた業績を指す。これら物質上の建設は政治的評価と関係なく肯定しやすいので、今の教科書にも記述され、分かりやすい善玉日本人の勲章の役割を果たしている。

【4】 蒋介石軍法治の破壊例

 法治という現代社会生活安定の基礎をなす重要事が、台湾の戦後中国人統治ではどうであったのか、228事件における事例を挙げると次のとおりである。
 王育霖氏は台南出身者、戦前京都地方裁判所検事を勤め、戦後新竹地方法院検察処検察官に任命されたが、新築市長郭紹宗(陸軍少将)のアメリカからの救援粉ミルク横領事件を追求すると、かえって郭らの動員した警察官の反撃包囲妨害に遭った(新竹事件ともいう)。王は辞職を余儀なくされ、弁護士を開業するまでの間、台北にある建国中学や延平学院の教員を務めた。後228事件最中の3月14日、アメリカ駐台北副領事カール(George Kerr)に会いに出かけようとしている時に、台北の自宅で逮捕され行方不明となった。
西本願寺に収容されたことまでは分かっているが、遺体は発見されていない。郭らの画策によるものといわれている。

 228事件前、1946年5月台中県警察人員許宗喜が同県参議院施江西医師に傷害罪で提訴され、出頭を拒否。11月台中地方法院は逮捕状を発給、同法院典獄長頼遠輝および法警17人を派遣して逮捕に向かわしたところ、台中県知事劉存忠(陸軍少将)の部下警察局長などは許を庇い、来援者北斗区警察署長林世民は頼などに銃撃を加えてその中の一人を負傷させ、さらに頼などを拘束し続けた(員林事件ともいう)。
後に林世民は懲役5年の刑を言い渡された。この事件調査を担当した台湾高等法院(在台北)判事呉鴻麒は、228事件中の3月13日高等法院において勤務中、正体不明の人員2人によって強制的に連れ出され、16日に死体が南港橋たもとで見つかった。劉らの画策によるものといわれている。

 つまり王氏、呉氏はともにいかなる法律にも触れていないにも関わらず、私的報復に遭ったわけである。
さらに加害画策者はともに軍人出身者であり、そこからも当時の前近代的中国の軍閥統治の一端がうかがえる。このようにして中国人の法治無視統治は極端な恐怖政治に連なり、228事件後の社会不安をますます醸し出し、台湾人に悪玉中国人を強調する結果となった。
 ちなみに上記アメリカ副領事カールは、第二次世界大戦前台北高等学校教員、戦中アメリカ海軍情報将校を経歴していた。1965年『Formosa Betrayed』をアメリカで出版(2006年には日本でも『裏切られた台湾』として翻訳出版)、戦争前後の記録であるが、国民党政権による過酷な台湾支配を批判、とくに228事件の虐殺を描写、国民党当局からその公敵とみなされた。

 また上記呉鴻麒は中?出身者、その双子の弟医師呉鴻麟の長男呉伯雄は、若くして国民党籍台湾省議会議員となり、国民党主席にまでなる。それ故呉鴻麒夫人楊毛冶は228事件後甥呉伯雄との会見を終始拒否した。
いかに228事件の社会的衝撃が大きなことかが分かろう。

【5】 台湾独立運動の原点

 228事件後蒋介石軍のさらなる恐怖政治に対して、寥文毅、謝雪紅などは香港に亡命して抵抗運動を継続する。
その中で寥文毅は台湾独立を主張し、香港から東京に基地を移して台湾共和国臨時政府を樹立、その大統領に就任した。さらに東京ではやはり228事件後日本に亡命した既述の王育霖の弟王育徳を中心として、1960年2月28日台灣青年社が創立され、隔月刊雑誌『台湾青年』が発行された。

その雑誌第六号が世界初の228事件特集であった。台湾青年社は発展して現在の台灣独立建国聯盟になる。いかに台灣独立運動が228事件を原点としているのかが分かろう。台湾人は228事件で中国人と異なることを発見し、台湾独立運動が始まるのであった。ちなみに台湾独立運動とは、台湾に独立した国家を建立し、その国家の独立を維持していくという台湾人の運動である。

 上記謝雪紅は彰化出身者、日本統治下の1928年上海で台湾共産党の結成に参加、党員活動により日本当局に逮捕され、懲役に付された経歴を持つ。
228事件では台中において積極的に国民党に抵抗したリーダーの一人であった。彼女は香港に亡命後、寥文毅とは対照的に親中国路線を取り、1948年さらに中国に入り、中国共産党幹部の道を歩む。しかし右派的つまり台湾人自主の立場を取りすぎると見なされ、いわゆる文化大革命においては「右派分子」、「反革命分子」、「地方民族主義者」の批判を受けて、闘争の対象とされ、1970年北京で逝去した。

 島内においても蒋介石軍の統治に対して抵抗運動が再起する。しかし蒋介石軍の厳しい反台独、反中共の独裁政治に直面してこれは民主化運動の形をとることになるが、それは実際には台灣独立運動、中国共産党運動をも内包するものであった。
始めは党外運動、後1986年9月に民主進歩党が結成されて、その党がこの民主化運動のリーダーシップを担うと、この運動は反中共、親独立の色彩が強まる。また前記島外運動と合わさって、これら島内外抵抗運動は国民党政権からの政治犯救援にも苦慮せざるを得ず、自由主義、人権、法治について深く思考し実践することを促される一方、国際的世論を喚起するために運動の島内外連携をも促した。

 他方、中華人民共和国が漸次発展し中華民国の滅亡が明確になってくると、中国共産党運動は漸次中国の台湾併合運動となり、民主主義、自由主義運動に背反していくものとなった。
そして中国国民党も台湾の民主化、独立運動の進行によって内外で孤立していくと、漸次反中共から親中共に転向する。
 それに対して台湾独立運動は、相変わらず民主主義、自由主義、人権および法治をそのバックボーンとしていることを、ここで確認して、本論を結ぶことにしたい。
                         

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(読者の声1)通巻第6814号、中国の高速鉄道倍増の件、先生に質問があります。 
(1)2020年末で累積赤字84兆円、とありますが、これは「借入金(負債)総額」が正しいのではないですか?
(2)2035年に、累積赤字ではなく、「負債総額」が160兆円であっても、元本の償還、あるいは利払いを続けておれば、営業継続するのではないですか?
(3)また、この営業キロ数倍増のための借入金ですが、このお金を「貸す側」は誰なんでしょうか?  中国政府ですか? まさか米国系銀行団とは思えないのですが。。
(KI生、尼崎市)


(宮崎正弘のコメント)累積赤字は負債総額ですね。大半を「鉄道債」を起債し、中国の国有銀行に購入させています。つまり国家の借金になりますね。そのうえ、営業赤字ですので赤字の累積は増える一方となります。
 プロジェクトの新線建設は国家予算で成り立ちます。日本ですと財政投融資ですから、国に資産勘定となりますが、中国はどうやっているのか、あの国の財務状態は伏魔殿ですからね。米穀のファンド筋は間接投資ですので、迂回路で、この新幹線建設費に廻っている可能性はあります。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月27日(土曜日)弐   通巻第6814号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「えっ、正気か」と思わず問いかける中国経済投資拡大の狂気
   新幹線は二倍、空港はあたらしく162、景気刺激策で6%成長
*************************************三月の全人代に用意している次の十五年計画の概要がわかった。
 中国政府は、2035年までに鉄道営業キロ数を20万キロに延長する。これは地球を五周する距離。とくに新幹線を7万キロに拡大する。

 中国新幹線が2020年末までに開業した営業キロは3・7万キロと推定されているが、さらに十五年後に新幹線だけでも、およそ二倍、7万キロを目標とする。中国では「新幹線」とは呼称せず、「高速鉄道」という。

 2020年末の時点で、中国の新幹線の累積赤字は84兆円である。
 倍加すると言うのだから、2035年までの累積赤字は最低でも160兆円に達する。凄いなぁ、こんな前代未聞、人類史未踏の大暴走だもの。
 そして2035年までにあたらしく162の空港をひらく予定があり、すべて民間企業となる。

 こうした暴走的な景気刺激は破天荒の予算が必要となり、歳入の裏付けがないのだから必然的に中国の債務は膨張して行く。
 ということは、いずれミンスキー・モメントがやってくる。
すなわち景気循環において、投資家が投機によって生じた債務スパイラルによりキャッシュ・フロー問題を抱える。
株の投げ売りが始まる。その結果、資産価格が突然崩壊し、経済崩壊に至るという仮説がミンスキー・モメントだ。長い繁栄と借金による投機を促す投資価値の増大の後にやって来るとされている。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号、「中国から最貧層がいなくなった」と習近平が豪語したそうですが、そんな筈はありません。いまでの一日二ドル以下で苦しんでいる農家が多いはずです。まことに共産党トップは贅沢な暮らしをしているのに、最下層の人々への思いやりが足りないですね。
 この国が本当に儒教を生んだ?孔子様がうまれた国と同じ国でしょうか。
    (BF生、福島市)


(宮崎正弘のコメント)孔子は山東省曲阜産まれ、あのころは小国乱立時代。当時の「国」のかたちは、いまの独裁体制とは異なって、比較的学問の自由はあった時代でしょうね。孔子は人種的には漢族ではなかったようです。
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◆宮崎正弘の新刊! ◆宮崎正弘の新刊!  
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●「バイデンのアメリカ」は南北戦争か、共産主義革命か!
  中国と極左勢力が暗躍する世界リセット、日本経済のリスクと勝機
 ●政治力に翻弄される世界経済の危機。米国版文化大革命で分断か戦争か? 
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新刊予告 3月24日発売決定
『真説・日本紀行 パワースポットを往く』(海流社、1650円)



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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月27日(土曜日) 通巻第6813号 <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「中国から貧困はなくなった」。習近平が全人代を前に豪語
「こんな短期間で7・7億人を貧困のどん底から救った党(国)はない」そうな
*************************************嘘も百回言えば真実に聞こえるとヒトラーは言った。
 中国では三回で済むようだ。なにしろ嘘が日常生活で常態、ゆえに誰も真実を知らない。先日の新生児の数にしても、保険衛生部と国家統計局の数字がおおきく違った。かたや1003万、こなた1400万余。ま、国家統計局の数字はGDPの三割水増しが常識だから新生児統計も誤魔化したのだろう。

 2月25日に習近平国家主席は豪語した。
「中国から貧困はなくなった」。習近平は三月五日からのが全人代を意識して、「こんな短期間で7・7億人を貧困のどん底から救った党(国)はない」。
 しらけるにもほどがある。

 米国政府はウィグル自治区のおける弾圧を「ジェノサイド」と規定し英国、カナダにつづいて24日にはオランダ政府も同調した。
カナダは国会決議で、トルードー首相は棄権する事態となったが、米国議会では北京冬季五輪ボイコットの動きが本格化している。バイデン政権も公式に「参加は未定だ」としている。

 さて米国の首都ワシントンが拠点のシンクタンク「ニューアメリカ」は恒例の「デジタル権利ランキング」を発表した。
有力26社のうち、中国の三社(BAT)を低いランクに置いたことが判明した。BATとはバイドゥ(百度)、アリババ、テンセントである。
 ランクの中にはGAFA,AT&Tなど米国企業が上位をしめた。
      ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2203回】           
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港85)

   ▽
 素人目で見ても、東華義荘の建つ場所には「蔵風得水」の四文字で象徴される条件が備わっているようだ。

 いま立っている辺りを半分に切った摺り鉢の上端中央とすると、目指す東華義荘は摺り鉢の底に当たる部分に見える。そこに向かって伸びる小道を下って行くと、雨も降っていないのに、林立する墓石の向こうに黒い傘をさした女性が見えた。
同行してくれた李さんによれば、「埋葬してから五年が経った棺を●作工(骨拾い業者)に頼んで掘り起こしているところ。黒い傘は棺の蓋を開けた時、死体の目を陽の光から遮るためだ」とのこと。

 当時の香港では●作工は長生店に所属するプロで、死にまつわるあらゆる穢れを忌み嫌う一般の遺族に代って、死体を掘り出し洗骨作業を担っていた。時に「▲」とも「■作」とも呼ばれ、宋代の宮廷内に置かれた検屍役人を起源にするらしい。
宮廷では具体的にどのような仕事をしていたのか。たしかに、そんなことまで調べる必要はないとは思うが、やはり興味津々である。
そこで好奇心に任せて関連する文献に当たってみた。だが、やはり、当然ながら、皆目見当がつかない。

 ところが、どうやら「意志あるところに道あり」の訓えは本当らしい。明代の嘉靖35(1556)年に中国を訪れたドミニコ会士ガスパール・ダ・クルスが書き残した『中国誌』(講談社学術文庫 2002年)のなかで偶然、いや幸運にも(正確には「●と思われる役人」とすべきだろう)に関する記録に出くわしたのである。

 朱元璋が明朝を創業してから約200年が過ぎ、明朝滅亡まで残すところ100年余となったこの年、クルスは短期間だが中国に滞在し、古くから南方の玄関として知られ、イスラムや西欧世界への窓口として開かれていた広州とその周辺を歩き、当時の社会のありのままの姿を『中国誌』に記している。

そのなかに、クルス自身が「本章は注目に値する一章」と特記した「第20章 死刑を宣告された者たちについて」に次のような記述があったから、もうビックリするしかない。 

──獄中では多くが「あるいは飢えのため、あるいは寒さのため、あるいは例の笞打ちのために」死ぬ。

じつは「獄中で誰かが自殺したり死亡したりすると、中国の規定に従い、これを厠に放りこみ三日間放置する。そこでネズミがこれを食い荒らす。中国には一部に空腹のあまりそのネズミを食らう囚人もいる。前記の三日間が経過すると(役人がやってきて)死体の脚に輪縄をひっかけ、野原のほうへ開けた牢獄の外門までそれを引き摺ってゆ」き、「鉄張り棒で死体の尻を三発きつく殴」る。

やがて「生の兆候は認められず、死んでいることは確かである」と認められた死体は、「ごみ捨て場に投棄」されるのであった──

 それにしても糞尿の海に3日間も漬け込まれ、「牢獄の外門まで」「引き摺ってゆ」かれ、「鉄張り棒で」「尻を三発きつく殴」られ、挙句の果てに「ごみ捨て場に投棄」されるというのだから、死体になってしまった囚人とはいえ「死刑を宣告された者たち」の末路は哀れでもあり残酷でもある。これでは全く浮かばれない。

 とはいえ、ここまで徹底するのは「いかなる者も死んだふりなどできぬよう」にするため。これを裏返せば「死んだふり」をして生き延びた者もいたということだろうか。
凄まじいばかりだ。これも「上に政策、下に対策」ならぬ「下に奇策、上に対策」・・・だろう。

  一連の作業を担当する役人の精神的負担は想像を絶するが、さぞや気丈であったに違いない。宋代と明代とでは、官僚制度も役職名も職掌も必ずしも同じではなかっただろうから断定し難いものの、クルスが言及する作業を担当したのが●ではなかったか。
    ○△□◇ヒ◎○△□イ○△□◇ズ◎○△□ミ△□◇◎   
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  ◎ アンディ・チャンのアメリカ通信
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アメリカの民主と不正選挙
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 しばらく鳴りを潜めていたトランプは2月28日のCPAC(保守政治活動会議)に招待されて講演を行うことになった。この会議は2020年の中間選挙と2024年の総選挙に向けての政治動向を示す会議として注目されているが、トランプ弾劾に賛成票を投じた反トランプ議員や、トランプが国会乱入を扇動したと批判したマッコーネル、チェイニー、ロムニー、ニッキー・ヘイリーなどは招待されていない。
クルースやポンペオ、ハウリーなども参加して講演するがペンス元副大統領の名は上がっていない。
 CPACの講演でトランプが選挙不正や最高裁の判決、バイデン就任後の急激な左傾化を批判をすると思われる。トランプの人気はまだ衰えていない。
トランプ嫌いで知られているミット・ロムニーは「もしもこの会議でトランプが次期選挙に出る意欲を示せば圧倒的な支持を得るだろう」と述べた。
 但しいくらトランプの人気が上がっても違法選挙や各州が勝手に選挙法を変更した違憲行為が禁止されなければ、アメリカの選挙で正義が通るとは思えない。メディアは選挙に違法ななかったと宣伝して嘘を嘘で塗り固めている。毛沢東の言ったように嘘を百遍も繰り返せば本当になるというのだろうか。国民は最高裁の審判さえもDeep Stateの干渉があったと疑っている。

 2月22日、最高裁は去年の選挙の関わる複数の問題州から提訴された複数の案件を審理したが全てが受理されなかった。これらの案件のうち特に問題になったのはペンシルベニア州共和党の告訴である。Penn州の州長と州務長官そしてPenn州の最高裁が「不在者投票(郵便投票)の受理を日の3日後まで延長」した憲法違反である。
Penn州最高裁はコロナウイルスの蔓延のためとして、不在投票や郵便票配達の期限を投票日の憲法で規定された投票日の3日後まで延長した。最高裁ではこの告訴案について、3人の判事が案件を受理すべきと主張したが6人が受理を拒否した。
 同じような憲法違反がウイスコンシン州、ミシガン州、ジョージア州にもあった。憲法に違反した選挙なら、結果がどうでも選挙無効を主張できる。選挙無効ならバイデン当選は無効である。だから最高裁はPenn州の最高裁の決断を受理しなかったのだ。多くの最高裁判事は「投票の結果はバイデンが勝っていた、投票日の延長は投票の結果に影響しなかった」からと言う理由で受理しなかったのである。

 選挙法の変更が違憲なら選挙の結果に関係なく選挙無効であることは明らかだから最高裁が告訴を受理しない理由にならない。トーマス最高裁判事は最高裁が提訴を否定したことに意見書を提出し、二つの理由から最高裁がこの案件を受理すべきだったと遺憾の意見を発表した。
アリート判事とゴーサッチ判事もトーマスの意見に同意した。
以下はトーマス判事の意見である。
(1)州最高裁に投票法を変更する権利があるのかを審理するのは最高裁の責任である。最高裁がこの問題を審議しないと決定したのは混乱を招くだけでなく不可解である。今回の選挙でこのようなことが起き、最高裁はこれを済んだこととして審議を受理しなかったが、将来の選挙でも同じ事(違憲か合憲かの疑問)が起きないとは限らない。最高裁が放置してはならないことを放置したのは全く不可解であるだけでなく、最高裁が何もしなかったのは選挙の信用度を低下させた。
(2)不在投票(郵便票)の受理を3日延長したことを最高裁が受理しなかったため、郵便投票に違法、詐欺、欺瞞があったかなどが審議されなかった。この選挙ではトランプ側は「厖大な不正行為」が便票の受理を延長したために起きたと抗議している。最高裁はこれらの提訴を(不公平にも)受理しなかった。しかも一方では民主党側がコロナを理由にして郵便票の受理の延長を申請して州の最高裁が許可した。最高裁はこのような事件が違憲であるかを審査すべきだった。
最高裁判事のうち三人だけがこの意見書に同意した事実は最高裁の名誉に関わる大事件である。国家の存在の根本である憲法さえ審議をビビる最高裁が、残りの複雑な告訴を受理し正邪の判決を下せるか、甚だ心許ない思いがする。
 大手メディアは投票数字が勝手に変更された事実はなかったとか、計票の間違いはなかった、間違いはすでに訂正された、トランプはバイデンに負けたなどと盛んに発表してバイデン政権の正当性を認めさせようとしている。
これらはみんな一方的な弁明だけで地方法廷が判決した事件である。共和党側が判
決不満で上訴しても最高裁が受理しなかったら選挙不正の疑いは晴れない。
 最高裁は問題州の投票法変更の違憲問題を受理しなかったが、違法行為の提訴はまだたくさんある。
ドミニオン計票機の不正、サーバーでドイツやイタリアに計票を送信して数字を変更した証拠、ドミニオン計票機に関する中国その他の国際関与、投票所に偽郵便票を搬送したトラック運転手の証言、投票所で起きた違法計票のビデオなど、今でもまだ調査されていない問題がたくさんある。これを全て審査しなければアメリカは中国やミャンマーのような非民主の三流国家である。
アメリカが苦悶しているのは選挙違法が判明したらどうなるかということだ。違法でもバイデン政権を続けさせるか、トランプ当選を判決するか、選挙無効と判決したあと臨時政府を作って再選挙を行うなどの方法がある。でもアメリカ政府の行政、司法、立法、最高裁の諸機関はみんなこのような結果を回避しようとしているだけ、不正があっても真剣に調査し、改善しようと思っていないように見える。
 民主選挙は民主主義の根本である。
今回の選挙の違法とそのカラクリ、外国の関与などが国民全体に明らかにされ、違法が今後二度と起こらないように改正されなければアメリカは民主国家と言えない。 
                 (アンディ・チャン氏は在米評論家)

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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)未来ネットからお知らせです。「宮崎正弘の生インタビュー」。ゲストはアジアジャーナリストの近藤大介氏。ミャンマークーデタ、北朝鮮の謎を現場に見る。香港、台湾はどうなる等、多彩な話題を論じ合いました。ちょうど一時間の番組です。
https://www.youtube.com/watch?v=qDPI-FMlrbw&feature=youtu.be
  (未来ネット(旧「林原チェンネル」)



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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月26日(金曜日)   通巻第6812号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~認知症(まだらボケ)のバイデン大統領だが。
  はじめて「まともな大統領令」に署名した
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 就任からわずか一ヶ月で53本の「大統領令」にバイデン大統領は署名した。
 悉くはトランプ路線の否定で、中国政策への規制緩和、パリ協定復帰、WHO復帰、不法移民の取り締まり緩和、ガス・パイプラインの建設許可撤回等々。議会承認を不要とする大統領令で、巧妙に政策変更をやってのけてきた。

 唯一例外的に「良い大統領命令」は「半導体、電池、医療品、レア・アース調達網強化改編令」である。
 2月24日に署名した大統領令の骨子は「半導体や大容量バッテリー、医療用品、レア・アースを含むサプライチェーンの見直しを指示する」という内容で、すでに2月18日には一部メディアが草案を入手し焚いた。

 とくに「非友好的な国」、「非友好的や不安定となり得る国」が主導するサプライチェーンと米製造業の格差も見直すとして、「われわれの国益や価値を共有しない外国に重要な部品部材の供給を依存するわけにはいかないのだ」とした。
名指こそ避けたが、中国などリスクとなる重要部材の調達ネットワークを改編する計画だ。
「百日以内」に関係官庁は実態を調査し報告せよとする。

 ほかに防衛に関する軍事技術、公衆衛生、旅客機など運輸技術(ボーイングなど)など六つの分野に関しての対策は「一年以内」にまとめよ、とする。商務省は調達先の偏在を洗い出し、また政府補助金をつけて國内生産に切り替えるなど多様化の研究も促す内容となっている。

 米国内では安全保障問題に直結するとして中国人留学生、研修生の監視、孔子学院の閉鎖、ハイテク企業のラバなどへ潜入や國際学会出席とかの理由で米国に滞在する中国人研究家の内偵、「千人計画」に協力する米国アカデミズムの代理人など、トランプの中国政策をバイデンは静かに緩めている。
 TIKTOKのオラクルへの売却案件も白紙に戻した。ウォール街への中国企業の上場禁止も廃止方向へ、そのうえ、米国ファンドの中国企業への投資規制などは、実質的に白紙還元である。
 
さて急浮上した新しい難題は「ズーム」と「クラブハウス」である。
 この二社は「中国と密殺に関与する米国企業」だが、その実態が浮かんだ。ズームを利用した会議が中国に漏れていたのだ。

クラブハウスの情報漏洩事件も、世界的に人気を集めている音声SNS「(クラブハウス」のコア技術が中国企業であり、ユーザーのプライバシー問題が浮上、肝心の中国ではただちに禁止されたが日本は放置されたままである。 

 ▲2022 北京五輪をボイコットせよ!

 ウィグルにおける人権弾圧、強制収容所は「ジェノサイドだ」とポンペオ前国務長官は明確に定義した。中国は「世紀のフィクニュースだ」と言い張り、報道したBBCの中国の於ける放映を禁止する措置にでた。

 米国連邦下院のマイケル・ウォルツ議員(共和党。フロリダ州選出、47歳。元特殊部隊隊員)は「2022年 北京冬季五輪ボイコット」を主旨とした決議案を議会に提出した。英国でも同様な声が強く、日本を除く世界の人権団体や文化人が北京冬季五輪ボイコットを呼びかけている。

ウォルツ下院議員は「中国は組織的に新疆ウィグル自治区で組織的な暴行を継続し、香港市民の自由を踏みにじり、信仰の自由を迫害した。そのうえコロナウィルスを世界にばらまいた。この中国が冬季五輪を行うなど不道徳で倫理を欠いた過ちである」と激越に非難した。

 日本は? 尖閣諸島の安全が危殆に瀕しているというのに、自衛する意思が弱く、かえって石垣島の漁船が出港するのを見張っているという本末転倒、錯綜した政治。北京五輪ボイコットの国際世論には背を向けている。
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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  株の大暴落にそなえるには金(ゴールド)しかない?
   資産形成も防衛もゴールド投資が確実という理論書

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増田悦佐『やはり金だ』(ワック)
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 いまさら言われなくとも金を保有している人は多い。本書は入門編、ノウハウ編、投資指南のイメージがあるが、そうではなくて、金資産形成の理論的展開である。
 それもグラフを多用して絵解きを基軸にしているので、わかりやすさを工夫している。
類書と違うのは、歴史的な経過や文明的な裏付けの考察があり、じつは読んでいてもかなり難解は箇所がある。かくいう評者(宮崎)、過去に『ゴールドマネー』(翻訳)や『世界は金本位制に向かっている』(扶桑社新書)を上梓しており、1971年のニクソンの金兌換停止から、1981年のレーガン政権の『金問題委員会』、完全相場制への移行期などで、米国の政財界の動きを注視してきたので、金に関しては人並みの関心を持ってきた。
 金本位制度復帰の可能性についても雑誌『自由』に小論を書いたことがある。
 本書ではプラチナやダイヤモンドを投資対象としては、いかなるアキレス腱があるかを工学的に振り返り、アメリカ人の投資形態の独自性を比較する。
 アメリカ人は何故ダイヤモンドが好きなのかも、よくわかる。デビアスの商業主義工作と宣伝によるもので、それが日本でも結婚指輪が定番となって「給料の三ヶ月分」などと巧妙な宣伝になったが、これは余談。
 というのも、日本では投資信託は軒並み、運用するにたる資金が集まらず、お粗末な結果に終わる。ところがアメリカはソロスとか、バフェットとかのファンドに投資家がカネを投じる。フィデリティなどが市場でパワーを発揮できるのは集まる資金量がことなるからだ。
 アメリカ人は金保有よりも金鉱山関連インデックスや金山企業に投資する。
 なぜ、そうなったか、著者の増田氏はこう言う。
 「FDRは、「1933年4月5日の大統領令で、アメリカ人の金保有禁止を宣言し、同年5月1日までに手持ちの金貨、金延べ棒、金詔書などをすべてトロイオンス当たり2067同で政府に売却することを命じた」(162p)
 アメリカ国民は大統領命令に唯々諾々と従って、保有してきた金を国家に収めた。その結果、FRB(連邦準備制度)の金準備高は8134トンになった。これは「強制的に国民か買い上げた」ものであり、すぐにFRBは、固定相場を35ドルとした。しかも、この金保有禁止令は、「1974年12月31日に当時のアメリカ大統領ジェラルド・フォードが解禁例に署名して廃止するまで、40年以上も続いた」
だからアメリカ人は金投資をしないのであると指摘する。
 金の需要は中国、インド、中東で根強いものがあり、それらは自国通貨を信用していないから起こる自然現象とも言える。
 さて実際の金投資については延べ棒より、スイス、豪 カナダ、オールトリア政府が発行するコインを薦める。また、中国のパンダ金貨は、純度が99・9%しかなくて国際基準(99・99%)を満たしていないことも改めて指摘している。
ビットコインに関して増田氏の見解は「時代の要請に応えて登場した、まったく新しいかたちの貨幣」としながらも、「世界各国がますます統制経済の色彩を強めてしまうのか、自由競争の市場経済を取り戻せるのかは、ビットコインが定着するか否かにかかっているとさえ言える」とする。
この点はまったく賛同しかねる。暗号通貨はいわゆる「法定通貨」ではない。
ともかく多岐に亘る金投資、金の歴史の考察が本書の基軸であって、短絡的に金投資を薦めている本ではないところが本書のミソである。

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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)今、コロナ禍の欧米では日本人があちらの人と間違われて敬遠されたり場合によっては疎外されるそうですが、「違う」と言わないまでも、日本人自身が「同じだ」と言うのは改めるべきでしょう。
 私は20年ちょっと前に英国の大学院留学をロータリー財団の奨学金でいかせていただきました。
その時、ロータリーの集会でスピーチする機会があって「日本とシナの違い」について、日本の「独立」と「誇り」を込めて話しました。欧米人が日本とシナを同一視する人が多いからです。当時、ロンドンを歩くと、「ニーハオ」と声かけられたものです。相手すると、「give me change」。無視したら、気分を害すだろうし、どう対処すべきか困りました。
スピーチの方は、ロータリー財産のMCが「This is what we wanted to know」言ってくれて拍手に包まれてほっとしたことを思い出します。今でも誇りに思っています。
シナと日本の文化はまったく異なりますが、世界は誤解しています。異なるものを異なると言って、「ヘイト」と批判されるのは筋違いですよね。
言論の自由が公共の福祉で制限されるのは極ごく例外です。それが通例になっているのはおかしい。日本国憲法の人権規定が公共の福祉制限の原則化という形で機能していません。なお私は日本国憲法廃止派(早稲田法でしたから占領憲法学んでいますが)です。あれは日本占領基本法ですから、一億人が否定しようと、ミカンはミカン、リンゴはリンゴと思っています。
    (Z生、逗子)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月25日(木曜日)   通巻第6811号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~アップル株主総会「2030 カーボン・ニュートラル」
  リサイクル材料にすべてを切り替え、コンゴの児童労働問題にも対処
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 2月23日、スマホの王者アップルがオンラインで年次総会を開催した。
 とくにティム・クックCEOが強調したのは「2030年までに素材のすべてをリサイクルに切り替える目標に邁進する」と述べたことに注目が集まった。

 GMが2030年までに全種モデルをEVに切り替えると発表したが、米国でも、「2030 脱炭素」(カーボン・ニュートラル)の流れは止まらなくなった。これは集団自殺に似ていないか。

 アルミニュームはボーキサイト鉱を精錬するが、大量の電力を使う。リチウムイオン電池は、コバルトなどのレアメタルや、中国産のレアアースを使用する。これらの鉱山では児童労働の問題が起きている。
コバルトの最大鉱山はコンゴの奥地で、部族紛争が絶えず、旧宗主国ベルギーと米国の鉱山開発会社も株式を中国に譲渡した経緯がある。

 レアアースは世界生産の80%を中国が生産するが、これも大難題を抱えている。精錬過程で毒性の強い化学剤を使用するため、現場労働者の健康問題があり、加えて労働者のなかに誘拐してきた児童を使っているのではとの疑いがある。

これらに米国の政治は敏感でかならず過剰な介入をする。世界最大のレアアース鉱山を米国内に抱えながらも、開発できないのはその為である。テッド・クルーズ上院議員などは法改正し、国防予算からでも国内レアアース鉱山の開発を目指すべきとしているが、民主党多数の議会ではクルーズ議員の提案など歯牙にも掛けられていない。
 リサイクル産業にとっては「活躍」の時期がきた?
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌連載の【知道中国 2202回】についての一言。死後は神か仏となる日本の「死生観」と違い、「宗教観」が違い(と言うより彼等には宗教-神はいないであろう)、方やお金が一番の「人生観」も違う人達と、一衣帯水だとか同文同種だとか、よくもまあ言ったりだと思います。根本が全く違う人達が偶々「お隣に住んでいる」だけと考えるべきです。
 どちらがさきに日本人、それとも支那人が「同文同種」言い出したのでしょうか?「似文異種」が実際です。
 国連の人権関係の委員会で「日本の文化は中国とは全く異なります」と講演したら、「日本悪逆」を吹聴する彼等がさぞや拍手喝采するかと思っていたら、何と「ヘイトスピーチ」だと非難したのですから、驚きました。彼等を嘘つきだとかそんなことを言ったのではなく、「日本と異質」と言われた事て反発したのです。
 彼等は、日本の良い所取りの「悪い所は自分等には無い」とする同文同種の様です。
 今、コロナ禍の欧米では日本人があちらの人と間違われて敬遠されたり場合によっては疎外されるそうですが、「違う」と言わないまでも、日本人自身が「同じだ」と言うのは改めるべきでしょう。
    (細谷清。GAHT)

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(読者の声2)井上隆史先生の公開講座は明日(2月26日)です。
 三島由紀夫研究会の公開講座は白百合女子大学教授、三島文学館研究員で、今回の読売文学賞受賞の『暴流(ぼる)の人 三島由紀夫』の著者でもある井上隆史先生をお招きします。

とき  2月26日 午後六時(五時半開場)
ところ 市ヶ谷『アルカディア市ヶ谷』(私学会館)
  https://www.jalan.net/yad306257/access/?screenId=UWW3001&yadNo=306257&smlCd=136505&distCd=01

講師  井上隆史
演題  暴流の人(仮題)
参加費 おひとり二千円(会員と学生は千円)
特記  マスク着用をお願いします。また恒例の懇親会はありません
    どなたでも予約無しで御参加いただけます
      (三島由紀夫研究会事務局)

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月24日(水曜日)弐   通巻第6810号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~カナダの問題児はトルードー首相その人だ
  ウィグル問題を「ジェノサイド」と定義する国会決議に棄権
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 カナダ国会は人道主義の立場から中国がウィグル自治区でおこなっている弾圧を「ジェノサイド」とする決議をなして、338議席のうち、266人が賛成した。
ところが、トルードー首相は、この決議採択に棄権した。

 前々から言われてきたことだが、トルードー首相はフェミニスト,LGBTQ擁護、リベラルのなかのリベラル派で奇妙な政治スタンスを示してきた。第一次組閣では男女同数とすることに拘った。
 「ナショナリズムなんて思考範囲の狭さからうまれるものだ」という迷言もある。

 ジャステン・トルードーはピエール・トルードー元首相の息子、カナダ政界のプリンスと呼ばれ、若くしてデビューしたが国際政治で若輩者扱いされるので、近年は髭を貯えている。まもなく51歳になる。

 TPPは安倍首相の説得で最後になって参加を表明した。トランプとはまったく馬が合わず、つねにトランプの悪口を言って廻り、米加関係に亀裂が生じていた。また米国の要請にしたがってファーウェイCFOの孟晩舟を拘束しているが、中国で人質になっているカナダ人二人を釈放させるために、孟晩舟の送還と取引するのではないかと言われている。
 トルードーならやりかねないだろう。

 バイデンとは雪解けになるかと一部に期待もあったが、カナダは米国へ南下させるガスパイプラインを廻って対立しており、バイデンはパイプライン建設許可を取り消すという暴挙に出たため、両首脳の電話会談(2月22日)も円滑には行かなかった。カナダの損害は数十億ドルにのぼるとされ、トルードー政権の足下を揺らしている。
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2202回】             
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港84)

    ▽
 死生観といったような高尚な考えではなく、たんなる物見遊山でもなく、かといって深い探求心でもない。たんに怖いもの見たさに誘われて、ある日、東華義荘を訪ねてみた。

 東華義荘は、香港島西部に位置する薄扶林(ポックフーラム)の大口環(サンディーベイ)に在る。九龍側からヴィクトリア湾を挟んで香港島を眺めると、右端辺りが第7代香港総督(1872年~77年)を務めたサー・アーサー・エドワード・ケネディー(漢字表記は「堅尼地」)に因む堅尼地城(ケネディータウン)で、目的地はその裏側辺りになろうか。

 香港島を海岸に沿って走る域多利道(ウィクトリア・ロード)を西に進み繁華街を抜けると、やがて道路は「中華基督教墳塲」と名づけられたキリスト教徒のための広大な共同墓地の端を通る。   

 そこでバスを降りて山を背に立つと、左右に伸びた稜線から海に向かって広がる下りの斜面は見渡す限りが墓石で埋め尽くされ、遥か前方遠くをジャンクが往き来している。山の内懐に抱かれるように墓園が設えられてあり、その先の海面は西日を受けてキラキラと輝き、金波銀波が波打っていた。

 墓園の中の小道を歩く。死者の顔写真が焼き付けられた墓石も少なくなく、そんな墓石を目にすると、率直に言って首を傾げたくなる。
一瞬ではあるが、頭の中に「悪趣味」の3文字が浮かんでは消える。やはり素直には受け入れ難い佇まいではある。

 林立する墓石の表面には実際の生まれ故郷ではなく、一族のルーツである出身地を示す「本貫」の地名が例外なく刻まれている。香港在住者のルーツは多く広東であるだけに、順徳、番禺、肇慶、台山、仏山、宝安、恩平、開平など広東省各地の地名が多い。
だが中には中国各地の地名が認められる。ということは香港は政治から逃れ、混乱を避け、あるいは一攫千金の夢を抱きながら大陸各地からやってきた人々の終着点でもあるようだ。

 日本の墓のように墓石に「何々家之墓」と刻まれ、一族一家が同じ墓穴に収められるわけではない。すべてが個人の墓だから、死者の数だけ墓穴を掘り、棺を納め、その上に墓石を建てる。だから当然のように墓の数は多くなるだろう。

儒教倫理を掲げ家族主義を標榜する彼らだが、なぜ墓穴だけは個人別なのか。ふと疑問に思ったが、考えるまでもなさそうだ。そのまま棺を納めるわけだから、家族全員の棺が入るほどの巨大な墓穴を掘らなければならなくなってしまう。
一定期間が過ぎた後に棺を掘り出し、骨洗いした後に葬り直す。二次葬に関しては別の機会に譲ることにする。

 風水のリクツでは《気》は風や雲や雨となって天地の間を循環し地中を経巡り、万物に生命を与えるという。
「蔵風得水」と呼ばれる《気》が多く集まる場所が墓地としては最高適地とされ、形状で言えば山を背にした南向きの土地で、前方を左から右に水が流れている。ここに東と西の風を防ぐ山があるような自然環境がサイコウらしい。

このような環境に葬れば、死者の骨が天地の間を経巡る《気》に感応し子孫が福に恵まれるというのだから、はいそうですかとは素直には信じられない。少なくとも葬儀と墓地に関する限り、どう考えても「同文同種」ではない。

 いったい誰が、なにゆえに「同文同種」などといった戯言を持ち出したのか。言えるものなら先人に向かって、バカも休み休み願いたかった、と言いたいところだ。

 残された息子や娘が父親のために風水の上で適地を選んで葬るということは、周囲に親孝行であることをみせつけると同時に、父親の地位と財産とを受け継いだことを世間に認知させることになる。

 風水の適地に葬らなかったら、財産を失くすだけではなく、子供は若死にするし、子孫は絶えてしまう。一族にとって万般の幸不幸が墓地とすべき土地選びにかかっているとか。かく考えるなら風水のカラクリは、ゲに空恐ろしいばかり。
 
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌でも二回ほど取り上げていましたが、日本経済の「K字型回復」と日本のメディアは「回復」と言っていますが、多くの居酒屋やホテルが廃業しているのに、回復はないと思いますが、如何でしょうか。
   (SSセブン)


(宮崎正弘のコメント)「K」は二極分化を意味するのであって、{L字}(長期低迷)から「レ型」(徐々に回復)と言うのならともかく、一部の輸出産業、とくにAI、半導体が好調で、Kの右側が上昇をしめしてはいても、下側は下降線です。この産業の分野別乖離がコロナ災禍で顕著になっています。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月24日(水曜日)   通巻第6809号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~米国のゼロ金利政策は当面続ける
   パウエルFRB議長が議会で証言「GDPは6%のレンジ」
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 パウエルFRB議長は、2月23日の議会証言で以下のように語った。
 まず、米国経済の回復について、「先行きは極めて不確実だが、年末には改善される可能性がある。コロナウイルス感染状況と感染抑制措置に大きく左右されるのは当然であり、ワクチン接種が状況の正常化に向かうと希望する」とした。

 GDP成長率を上方修正し、FRBは2021年GDP見通しを更新し、6%のレンジとする可能性をしめした。

 パウエルは財政政策に言及し、「米国はいずれ持続可能な財政の軌道に戻る必要があるが、現時点で戻る必要はない」と明言し、「雇用の改善ペースは減速しており、接客業の大幅な雇用減が雇用情勢の改善に影を落としている。こうした経済的混乱は国民生活に痛手を与え不確実性を高めた」と現状を分析した。

 また「コロナ禍による被害セクターでの物価は軟調である。かといって堅調な雇用市場に対応する目的のみで金融政策を引き締めることはない」として、産業別に救済措置をとるために財政出動の可能性は低いことを示唆した。
 質疑応答の時間にも、この問題に追加発言があり、「特定のグループに対処するのは財政政策であり、金融政策でない。望ましくないインフレ起きれば、対処するための手段ある。 今は財政赤字について考える時期ではない」とした。

 金利政策でのゼロ金利は当面つづくだろうとの見通しに就いても、「完全雇用が実現し、インフレ率が2%に上昇し、当面2%を若干上回る水準で推移する軌道に乗るまで、金利をゼロ近辺に維持する」。

 最後にパウエルは暗号通貨に言及し、「デジタル通貨を発行すべきかどうかを慎重に見極める。というのも重大な技術的・政策的問題あるからだ」として議会証言を終えた。 

 同じ日、ジョンズホプキンス大学の調査で、米国のコロナの犠牲者が50万人を超えた。これは南北戦争の犠牲(62万人)に迫り、両次に亘った世界大戦の犠牲者数を超えた。死者数は、およそ日本の百倍近い未曽有の災禍である。

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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)未来ネットからお知らせです。御高評の「宮崎正弘の生インタビュー」はゲストをお招きして、「 コロナ後の中国 」などをテーマに語り合う一時間番組です。
 次回は明日(25日)午後四時スタート!
 ゲストはアジア・ジャーナリストの近藤大介氏(『週刊現代』編集次長)です。下記サイトで予約できます。近藤氏は中国語、朝鮮語にも堪能で、激突インタビューなど、二十冊の著作があります。
https://youtu.be/qDPI-FMlrbw
 この番組は生放送です。後日ユーチューブでも放送されます。
   (未来ネット、旧「林原チャンネル」)

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(読者の声2)バイデン大統領はトランプ路線を根底的に覆していますが、なんと「武漢コロナ」「中国ウィルス」と呼ぶことも公式に拒否したそうです(産経、古森義久氏、2月23日)。こうなると、スペイン風邪、香港風邪と発祥地で呼称したことも否定する?
 そのうえで、孔子学院と公務員の接触を禁じたトランプ政策も一転させ、OKとしたとか。中国の文化的間接侵略を容認することと同義ですね。親中派バイデンの面目躍如と言うところでしょうか?
   (FG生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)バイデン大統領から指名されたメリック・ガーランド司法長官は、小誌前号の投書にもあったように、非常に怪しい発言をしています。
「ハンター問題の調査をどうするか。指名にあたってこのハンター処遇とバイデンとの取引があったのでは?」と問われ、司法長官がはぐらかすように言ったのは「まずキャピタルヒル占拠事件の徹底調査だ」。
つまり、バイデンの息子のスキャンダルをすり替える方針を明らかにしたということでしょう。

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(読者の声3) 22日の産経新聞 正論でキヤノン・グローバル戦略研究所主幹・杉山大志氏は「中世の宗教が近代になって滅び、代わって共産主義が台頭したが崩壊した。
だが巨大な権威と一体化し、そこで権力を振るい、社会を計画し管理したいとの願望は潰えず、環境運動がその後を継いだ。
・・・即ち、環境運動に疑義を呈する記事があれば、彼らは主観的な判断によって『不適切』であるとして削除したり、拡散・共有を停止したり、アカウントを停止する。
あるいは記事に『偽情報』のタグを付けて信憑性を貶め、検索に掛からないようにする。これらの手段で記事の閲覧数を減らすのみならず広告収入を断つ。
・・・温暖化に関して確認すると、ユーチューブ、ツイッター、グーグル、リンクトイン、フェイスブックは、程度の差はあれ、このようなことをしていた。
最近の不穏な動きとして『フェイスブックは温暖化に関する偽情報の拡散を止めるべきだ』というオープンレターが発表された。
本当の意味で温暖化の偽情報というなら、リベラルなメディアと大手SNSこそ偽情報だらけだが、このレターは明らかに温暖化『否定論者』を標的にしている。
レターの署名者にはクリントン政権で大統領首席補佐官を務めたジョン・ポデスタ氏もいる。バイデン政権下で何が起きるか危惧される。」と書いておられます。
 偶々私も23日通巻6808号で、フーコーとベンサムの「一望監視設備型監獄」論として、「中心部に看守の部屋を置き、いくつかの独房をその周囲に配置して、看守からは独房が見えるが独房からは看守が見えないようにすると囚人たちは常時みられていることを意識するようになり、看守は見張りの手間を省いて監視を行えるようになる。主体化とはこの囚人のように、統治者の目線を自らに内面化する事であり、人間は自ら主体的に行動していると思っている時にこそ最も従順に何かに従属しているものだ」と書かれていることを紹介しました。
 つまり看守は囚人にみられてはおらず、逆に囚人は看守に常時監視されていることを認識させられている「一望監視設備の監獄」の恐ろしさはこの一方通行型にあると云う事なのです。
杉山氏が言っておられることは、「温暖化に関してユーチューブ、ツイッター、グーグル、リンクトイン、フェイスブックなどは、この一方通行型の社会構造の統治者(看守)となり、あらゆる人間を囚人のように統治者(看守)の目線を自らに内面化させ、人間が自ら主体的に行動していると思わせ、最も従順に彼らに従属させようとしている」と云う事だと思われます。
それは換言すれば彼らは、新しい「神」になろうとしていると言ってもいいかもしれません。
人類のこれまでの自由と平等への戦の先に観えてきたものは、この恐ろしい一方通行型の社会であり、これに抗する戦いの歴史が長く世界を覆う事でしょう。
(SSA生)

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月23日(天皇誕生日、火曜日) 通巻第6808号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~黒竜江省、吉林省、遼寧省で産児制限撤廃へ
  東北三省の構造的不況の経済をさらに悪化させる怖れと反対論も
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 2015年に中国が「一人っ子政策」をやめてから六年になるが、施行後、むしろ新生児誕生数は減った。
2020年の新生児は中国公安部の調べで1003万5000名だった。
 すでに中国も少子高齢化、とりわけ労働人口の激減が顕著となり、建設現場などには北朝鮮の労働者に加えて、ベトナム、ラオス、カンボジア、また家庭のお手伝いさんやベビーシッターはフィリピンからの出稼ぎが目立つようになった。

 2021年2月18日、中国政府「国家衛生健康委員会」は、遼寧、吉林、黒竜江の東北3省で、夫婦1組あたり原則2人までとしてきた産児制限の撤廃を検討するとした。
 東北三省は中国の貧困地帯で、重要な産業は空洞化した。旧満州時代に日本が残したインフラで、嘗ては中国でもっとも先進的産業地帯だったが、石炭、鉄鋼が廃れ、急激に活況を失った(ただし国家衛生健康委員会と国家統計局の数字は異なっており、後者のデータでは2019年の出生は1465万人になっている)。

 米ジェイムズタウン財団の『チャイナ・ブリーフ』(2021年2月11日号)に依れば、東北三省もさりながら江蘇省、浙江省でも人口減少が見られ、浙江省の温州で出生率は19%減、江蘇省の泰州では33%減となった。

日本企業は遼寧省に集中して投資してきた。だが人材確保もむずかしく過去十年ほどは上海、天津、広州へと方向を切り替え、大連のジャパンヴィラッジ(森ビルの裏手は日本レストラン、バアが集中していた)は閑古鳥、瀋陽からは伊勢丹などが一斉に撤退してきた。
中国では急速な都市化などを背景に少子化が全国的に深刻になっている。

 したがって産児制限を撤廃したところで、少子化に歯止めはかからないだろう。
 原因は教育費の高騰、子育て環境の劣悪さなどが云々されているが、本当のところ、中国の若い世代は将来に夢を抱いていないからである。
 中国語でいうと「未富先老」。

 「幸福を語らない倫理学は虚無主義に過ぎない」と三木清は言ったが、日本ばかりか中国も人生の幸せを語ることが激減し、目先のコスト、経済的効果、庶民の関心さえも、マンション投資、株でいくら儲かるか等と視野が急速に狭まった。

 富裕層は子女を海外へ留学させるが、一般庶民は国内の高校を出すことさえままならず、一人っ子だからこそ両親、祖父母、兄弟総動員して出資し、死にものぐるいで大学へやったのだ。ところが、2020年7月の大学新卒者840万人の半分に就労先が無かった。夢は消えた。


 ▲チャイナ・ドリームは何処へ消えたのか

 右肩あがりの上昇気流に乗っている時は、気分も高揚し、なんとかいけそうという楽天主義が生まれる。

経済停滞、不況、就職戦線氷河時代となれば、日本と同様な事象が出来するのだ。そのうえ、中国は言論表現の空間では窒息寸前、発言するにも監視システムをつねに意識するから言動に細心の注意をはらう。
友人とも心底の友情をはぐくめない。日本では若者達の自殺が急増したが、中国人は恥を知らないから自殺しないと言われてきた。これも様変わり、若者の自殺が増えているのである。

 したがって産児制限撤廃の提案は、むしろ反対論を活発化させ、遼寧省などのオンラインでは「経済をますますあっかさせる」と露骨な反対意見が行き交っている。

 経済なき道徳は耐えられるが、道徳なき経済は犯罪であると二宮金次郎が言った。特許、企業機密、ノウハウを盗み、優秀な学者、エンジニアを高給やおんなを餌に釣って、摸倣技術を改良することに中国は驀進してきた。
まことに「道徳なき経済は犯罪」を地でいった中国、産児制限撤廃議論も、経済と直接結びつくとは。
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2201回】         
  ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港83)

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 横浜中華会館理事長孔雲生からの書簡に対し、東華三院は翌(11)月9日付けで次のように返事している。

 ──「各節備悉一切」、つまり作業の段取りは全て整っているので安心願いたい。目下、長生店に蝦苟艇につき尋ねたところ、高明県の場合は古老三洲に陸揚げするしかなく、香港からの費用は「参拾五元六毫」。香港の税務司での輸出手続きを完了して、はじめて運棺が可能となる。このような現状を譚理平にお伝え願いたい──

 その後、譚理平が父親の棺に付き添って横浜から神戸・香港を経て高明県に向かい、父親の「入土為安」を見届けたのかどうか。その後を知りたいものではあるが。

 いずれにせよ棺、箱、袋、あるいは旅行鞄であれ、個人であれ集団であれ、異土で亡くなった人々の魂の憑代である遺体や遺骨は、東華義荘をハブとして世界各地のチャイナタウンと故郷の広東省各地を結ぶ運棺ネットワークを利用して故郷に運ばれて行ったのだ。

 死者も生者も共に切望する「入土為安」ではあるが、戦争や政治的激変などの不測の事態によって叶わなくなる。
 香港と広東間の交通の往来は、盧溝橋事件勃発の翌年に当る1938年には支障をきたす。すると、当然のように蝦苟艇の運航も途絶えがちになる。

1940年末に日本軍による香港統治がはじまると、香港から広東各地への蝦苟艇の運航は完全に停止した。
そこで遺体や遺骨は東華義荘での「長期滞在」を余儀なくされる。当然のように施設は手狭になるばかり。

これに輪をかけたのが1946年半ばから始まった国共内戦である。これまた当然のように、蝦苟艇に棺を載せて香港と広東各地を往復できるような社会情勢ではない。そこで1947、48年の両年に荘房、つまり棺や遺骨を安置する部屋が増築されている。

 だが、1949年の中華人民共和国建国を境に香港経由の「入土為安」の道は途絶えがちになり、1952年になると運棺は一時停止されてしまった。

東華義荘の記録に拠れば、大陸で毛沢東原理主義に突き動かされた過激で理不尽極まりない文化大革命が猛威を振るった1960年代後半は、東華義荘に最も多くの死者が滞留していた時期でもあった。
600を超える棺、8千柱以上の遺骨が故郷を目前にして「入土為安」も果たせぬままに、「死者のホテル」で虚しく時を過ごさざるをえなかったのである。

 その後、香港内の他の墓園に移葬するなどの処理を進める一方、2004年には施設の全面改修を終え、翌(2005)年には香港政府やユネスコから特別遺跡として表彰されている。

 因みに日本の華僑社会においては、1873(明治6)年に神奈川県が横浜華僑に専用の墓地用地を貸与しており、華僑の棺はここに集中して埋葬されることになった。
だが、あくまでも「宅兆」と呼ばれる仮安置という措置であり、基本的には3年から8年に1回の割合で香港経由で故郷に送り届けられていた。

1923(大正12)年に横浜からの船舶による運棺制度が中止となり、来世でも仲間と一緒に過ごせるようにと日本国内に設けられた専用の共同墓地に埋葬するか、墓地内の安置所に納められるように改められている。明治6年以前は、その都度、適当な便船を探し出して故郷への運棺を委託していた。

 たしかに東華義荘は特別な施設であり、我われの常識では想像すらつかないような存在といえるだろう。だが、このような施設もまた現在の香港──世界の金融センターであり、一国両制の「修羅場」──の一部を構成しているという事実だけは忘れるべきではない。

東華義荘に象徴される死者(というより死体、あるいは遺骨)の「取り扱いぶり」には、時に政治情勢が影を落とす。
そこに、日本人がついぞ思い至ることのなかったであろう。 
中国庶民の、つまり漢族一般の死生観が顔を覗かせているように思える・・・のだが。
 
     
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌でも取り上げてもらった加藤康子さんインタビューの抜粋。ほかにも次のアーカイブがあります。
<「EV推進の嘘」シリーズ!>
加藤康子さんと自動車ジャーナリストのお二人の主張が目からウロコ! 池田直渡(自動車経済評論家)/ 岡崎五朗(モータージャーナリスト)。モノづくりからエネルギー政策まで、リアルな日本の産業を応援していく番組です!
ガソリン車から電気自動車へのシフトに乗り遅れてはならないの嘘
https://youtu.be/P-UmbOgr-Fc

EV=環境に優しい、の嘘 リチウムイオン電池炎上の危険 EV化で中国が儲かる仕組みとは!
https://youtu.be/2XmA7DRm4U8

EV推進は株価のため?テスラ&イーロンマスクの功罪!脱ガソリンの嘘!
https://youtu.be/jt4FVQN0LsI


以上です。
  (未来ネット)


(宮崎正弘のコメント)気象カルト、小生は「かれらの利権」と言っていますが、なにしろ地球温暖化は嘘だというとポリコレに引っかかるようですね。

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(読者の声2)遅ればせながら、宮崎さんが『正論』三月号に寄稿された『『鬼滅の刃』に見るナショナリズムの復活』を読んで、もし『鬼滅の刃』には、伝承と
神話の隠し味があり、ナショナリズムの復活を示唆するのではないかとの見解が当たっていれば、現代の保守にとってはオーソドックスな主張である「憲法改正」とか「不正検定の糾弾」等諸々の命題が、主張する保守が思うほど日本人のマジョリティーの心を捉えず、彼らには、一部の保守の「お宅」が騒いでいるだけにしか見えないことの解決を、我がこととして受け止められるヒントになるのではないかと思いました。
宮崎さんが書いているように「あるテレビ番組で話題に取り上げることになり、アニメ「鬼滅の刃 無限列車編」の封切館へ行くことになった。筆者はそれまで『鬼滅の刃』の名前も、原作漫画が一億部以上も売れたことさえ知れなかった」というのは、保守の人の多くの一つの盲点になっているのではないかと思います。
今すぐに、『鬼滅の刃』のどこを、どう活用すればよいか私もアイデアを出せませんが、現代の日本はどんどん劣化し、その根本原因は思想的な問題、国家観の喪失にあると思います。
宮崎さんが言うように、ナショナリズムの復活である『鬼滅の刃』ブームが、日本人のナショナリズムの復活につながることを切に望むものであります。
(関野通夫)


(宮崎正弘のコメント)数多く寄せられた読後感に、多くが「鬼滅隊の制服が新撰組に酷似」という箇所はともかくも、主人公の竈門炭治郎のイヤリングが『帝国海軍旗』のデザインであり、古代の武士の髪型「ミズラ」を類推して、あ、「古代の戦士」を象徴することには気がつかなかったという御意見が多かったです。

 こういう視点から全国のパワースポットをまわった拙著『真日本紀行 パワースポットを往く』(海竜社)は来月、3月24日発売となります。
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/475931752X/honnoinfo-22/

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(読者の声3) 米国では大統領選挙の大混乱にも「沈静化の装い」が施されつつありますが、どうやら日本のマスメディアは「米国政治の歴史の中でトランプは根拠のないウソを大々的に流し、民主主義を大きく毀損してきた」という米国リベラル系報道をコピー&ペーストし、記事を仕立てているようです。
私は人間社会はその時その時の環境に沿った価値観から組み立てられ、その価値観から何が「正義」とみなされるかが決まってくるものだと考えます。つまり人類の歴史は「誰が価値観と善悪を決めるのか」の歴史なのです。
 恐らく最初は 1.「自然環境」が人間の価値と正義を規定していましたが、2.その後は宗教(神・教会)が、更に3.君主や国王が、次には4.として国民国家が、そして5.としては「金融・グローバル勢力」がこの世の価値と正義を構成(決定)してきたように見受けられます。
そして6.の現在に至るわけですが、現在の「価値と正義の決定権」を握った勢力は誰なのかと言えば、それは「情報DXとそれにまとわりつく受益者勢力」であることは既に明白になってきたと言えましょう。
「神は死んだ」のは科学的思考の広がりや、資本主義経済の拡大に起因するのでしょうが、5,6の段階はSNSなどのネット社会の蔓延が、「価値観と何が正しいか」を決める勢力を特定することになったのです。

 「経済学の堕落を撃つ」(中山智香子著 講談社現代新書)にフーコーとベンサムの「一望監視設備」論が紹介されているのですが、そこには「中心部に看守の部屋を置き、いくつかの独房をその周囲に配置して、看守からは独房が見えるが独房からは看守が見えないようにすると、囚人たちは常時みられていることを意識するようになり、看守は見張りの手間を省いて監視を行えるようになる。
フーコーは人間の主体化とはこの囚人のように、統治者の目線を自らに内面化する事であり、人間は自ら主体的に行動していると思っている時にこそ最も従順に何かに従属しているものだ」と書かれています。
 どうやら日本のマスコミも「情報DXとそれにまとわりつく受益者勢力」(受益者勢力=脱炭素社会・EV化・多様性・グローバル化・ポリティカルコレクトネスなどを主導する勢力)の目線を自らに内面化し、主体的にそして従順に従うようになりました。
そして与野党や菅内閣もこれにフォローしている始末です。これから日本にはストックホルム症候群が現れてくることでしょう。
(SSA生)

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(読者の声4)貴誌6807号で、「トランプ弾劾不発におわった民主党は内ゲバを始めた」とメイン・タイトルにありましたが、どうもそれだけではないようです。
 今朝のフィンランドの新聞によると、新司法長官メリック・ガーランドは「国内のテロリストとの戦いを宣言」したようです。特に、1月6日に議事堂を攻撃した右翼を標的にするとの事です。既に,230人は逮捕しているが、それ以外の多くのデモに参加した人たちも対象にしているようです。
 個人的な意見ですが、「国内のテロリストとの戦いを宣言」の中で、暗黙裡にアンティーファ、BLMを含めているとすれば、共産党の常套手段の「共同戦線方式」で、政権を奪取した後に同志を粛清することになります。共産主義者のDNAですから・・・
(佐々木章)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月22日(月曜日)   通巻第6807号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~トランプ弾劾不発におわった民主党は内ゲバを始めた
  共和党も弾劾賛成議員へ挑戦者が出現。米国の政局も大混乱
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 イヴァンカ・トランプが、フロリダ州選出の連邦議会上院議員に立候補準備か、と忽ち噂が広がって、相手は共和党の希望の星マルコ・ルビオとの競合になる?
 この噂が広がったのはイヴァンカ夫妻が三人の子供とともにフロリダ州に移動したからだ。火のないところに烟は立たないが、2022年の改選を控えているのは現職マルコ・ルビオ。もしイヴァンカが立つとなると、まずはフロリダ州内での共和党予備選に勝つ必要がある。情報筋はルビオが選挙に強くないので、ひょっとしてイヴァンカに流れる可能性もあるとする。

 イヴァンカ自身は「そんな噂にコメントしない。わたしはルビオ議員とは友人で親しいし」と答えたという。
また別の情報ではチェルシー・クリントンが親しいイヴァンカの応援を約束したとか。
 これら真偽の確かめようのない怪しいニュースが飛び交っている。

 ニッキー・ヘイリーは一か八かの「綱渡り」を始めた。トランプは面会を断った。
 前国連大使のニッキーは明らかに2024年の大統領選挙への野心を隠さない。キャピタルヒルの襲撃事件で、ニッキーはトランプ批判に転向し、共和党保守を敵に廻しかねない行動に出たのも、「わたしはトランプ大統領は2024年に出馬しないとおもっていますから」と答えたそうな。

 そしてまたアラスカ州で波乱勃発だ。共和党の内紛である。
 サラ・ペイリン元アラスカ州知事がマコウスキー上院議員に挑戦する構えを見せている。
ふたりは宿命の対決で、リサ・マコウスキーの父親が州知事時代に共和党予備選に挑戦し、かれを破ったのだ(ふたりとも女性)。
マコウスキーは共和党議員だが、トランプ弾劾に賛成票を投じたため、保守の強い反発を招いた。保守強硬派で茶会系とも言われるサラ・ペイリンは、2008年にジョン・マケイン(当時アリゾナ州選出の上院議員。故人)が共和党大統領候補に選ばれた時、ペイリンは副大統領候補に選ばれた。

アラスカ州での知名度は抜群。そのうえ、アラスカの先住民である漁師のインディアンと結婚し、三人の子供を育てた異色さも売りだ。


 ▲民主党も未曽有の内紛を抱え始めた

 さて民主党はバイデン新政権となって、さぞや満足感に浸ったかと思いきや、つぎつぎと難題が出来した。

そもそも下院議長を四期も務めるナンシー・ペロシはいまや「シーラカンス」と秘かに渾名される老害。三月に御年81歳におなりあそばす。しかし若手に議長をわたす意思はなさそう。

ペロシはサンフランシスコの極左の巣窟が選挙区で連続十一回の当選。反中国、とくに人権に五月蝿いが、石油産業優遇などには反対していて、鉄則という政治哲学はない。肝っ玉母さんの側面があって、イタリア系女性で初めてという珍しい下院議長もさることながら、五人の子供を育てた。
老婆にしては元気そのものである。オバマ来日前に広島へ行って、広島平和資料館、原爆記念塔に花輪を捧げ、日本政府は、このペロシに旭日大授章を授与した。

 NY知事のクオモにも深刻な問題が持ち上がった。
コロナ騒ぎで、一時はトランプに挑戦する大物候補などと言われたが、看護婦との醜聞が発覚して罷免運動まで起きている。NY州議会は弾劾の準備を始めたという。  戦い済んで日が暮れたら、また次の戦争が始まっていた。
   

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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴誌前号の樋泉克夫先生の御返信について。
佐藤先生は中国本土の調査でよく香港に行っておられることは存じていました。その
報告が当時の歴代の総理大臣にあがっていたそうです。先生は無論ボランティア、愛国心からの行動です。
 『大観園の解剖』は昭和時代に、原書房から復刻版が出ていました。これは佐藤先生
とは無関係に出されたものです。私は佐藤先生を知る前にこの本を読んでいたので(笑)、その著者に会えると聞いたときには舞い上がりましたね。
 佐藤先生の大観園での体験は、ここでは書けないような話ばかりで…。
 西暦2002年に出た、正式の佐藤慎一郎著『大観園の解剖』(原書房)は現代仮名遣いになっていますが、これを担当したのは私です。佐藤先生の教え子さんに頼まれたのです。   (田中秀雄)


(宮崎正弘のコメント)あの頃の拓殖大学海外事情研究所は名物教授が揃っていましたね。名前は挙げませんが、各自ユニークな人ばっかりでした。いま、どうなっているのやら。

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(読者の声2)新刊の「経済学の堕落を撃つ─自由VS正義の経済思想史」(中山智香子著 講談社現代新書)によると、かって「ベーシック・インカム制度」と似ている法律があり、こう書かれています。
「1795年に定められ、1834年に撤廃されたスピーナムランド法である。約40年を経て、大失敗の制度として撤廃された。撤廃時には、どんなものであれスピーナムランド制度の継続よりはましだと言われたという」。
そして「社会は、むしろ更に荒廃した。雇用主は補助金をあてにして賃金を下げ、また労働者のほうでも補助金をあてにして勤労意欲が減退した。救済制度と競争的労働市場は共存できず、社会システム全体が機能不全に陥った」そうです。
 武漢ウイルスの為にMMTが経済政策の主役に躍り出て、それに基づき、「ベーシック・インカム的」な通貨のばらまき(?)が日本はもとより世界の主要国では「普通の事」になりました。 果たして同じ現象がおきないものか・・・
(SSA生)


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(読者の声3)貴誌前号で話題の加藤勝信官房長官ですが、1月25日の記者会見で米国国務省の声明をめくる質問に対し「台湾を巡る問題は当事者間の直接の対話による平和的な解決を期待する」と返答し、ガッカリ。私も情けなくなりました。
 救いは、佐藤正久・参議院議員が、台湾政策検討プロジェクトチームを新設されたこと。
1972年、田中角栄内閣が台湾を切り捨てた我が日本。
でも台湾との断交に反発した小谷豪治郎、藤島泰輔氏らが「日華民族文化協会」を設立しました。 いつの時代にも、真の日本人は、いる事に安堵です。
    (深澤文子)


(宮崎正弘のコメント)官房長官は、役人たちが政局安定を目的にその場凌ぎで、練った政府答弁を読むのが職務ですから、個人的な見解はまた別でしょう。
「日華民族文化協会」とは懐かしい名前を聞きました。
同会には小谷、藤島の両氏にくわえて北条誠、村松剛、木内信胤、黛敏郎氏らが熱心に支援していました。台北で川端康成展を、東京では書家の大物、張大千師の展示会を開催したこともありました。
 


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(読者の声4)「日本文化チャンネル・桜」から番組のお知らせです。本日(2月22日(月))の「フロント JAPAN」は生放送で10時30分開始です。
出演は鈴木くに子、前田有一、宮崎正弘の三氏。ご期待下さい。
(日本文化チャンネル桜)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)2月21日(日曜日)    通巻第6806号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「L字維持」から「K字回復」などとはしゃいでいる場合か
   中国のV字回復は人為的詐術だが、米国経済は「α」じゃないのか
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 日本経済は「K字回復」だそうな。「K」は、一直線に下落したあと、一部が猛烈に回復、残りは不況の真っ直中という乖離現象を意味する新記号とか。経済学者もヒマだなぁ。田村秀男氏は、日本株回復を「レ型」として、株式暴落懸念を警告する(産経、2月20日)。
 中国が豪語している「V字回復」はGDP水増しの人為的詐術だが、米国経済は「α」じゃないのか。「α」を混沌の意味でここでは遣っているが。。。。

 さて話は北米大陸へ飛んで、カナダのバンクーバーはシドニーやNY、ロンドンと並んで大規模なチャイナタウンがある。香港からの移民が主力だ。
旧チャイナタウンはバンクーバー市内のど真ん中にあるが、いまやシャッター通り、新移民は分散して暮らし、いまでは高級住宅地にも進出している。中華レストランの夥しいこと!

ロスアンジェルスのダウンタウン、日本人町「リトル東京」が栄えていた頃、ニューオータニホテルも紀伊国屋もあって、数十軒もの日本料亭に銀座並みのバーもあった。
いまでは半分がコリアンタウン化し、残っているのはじつは旧世代(二世、三世)の老人ホームか、ケアセンターである。リベラル過激派の多い日系三世、四世のJACLオフィスも、このリトル東京地区にある。

 バンクーバー市内にも、チャイナタウンで暮らし、ケアセンター入りした移民二世、三世らが後期高齢者となった。
 問題は、このケアセンターでおきた。
或る老人ホームで、111名の入居者中、99名がコロナに感染、くわえて72名のスタッフの感染し、44名が死んだ」(サウスチャイナモーニングポスト、2月20日)。

 中国本土でも、ワクチン接種に対して「チャンスが来ても打たない」とする懐疑論が拡がり、もっとも国際情報に敏感な上海に加えて浙江省の複数の工場を調査したところ、じつに25%が明確に「ワクチンを打たない」と回答した。つまり中国製ワクチンを中国人が信用していない。

 米国は武漢コロナ元凶となった中国が作成した報告書を拒否した。
まったく信用できないシロモノというわけで、親中派のバイデンは「戦略的忍耐」とオバマ時代の標語を復活させたが、EU諸国に対して「中国とは長い戦いになるので、その準備を」と呼びかけた。
フランスは南シナ海に戦艦を派遣した。「これは日米豪印のクワッドへの協力強化の表れである」とした。

感染者数がへりつつあり、景気回復の未来が視野にはいってはきたが、世界の混沌は当面おさまらないだろう。

   
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)「つくる会CH」は、2月11日にスタートしまして、毎日新しい情報を発信しています。
 <緊急特番>「従軍慰安婦」削除要請、目下省が再び「セロ回答」!破綻した論理を徹底論破する鼎談、が発信されました。
 是非ご覧ください。 
https://www.youtube.com/watch?v=3hVTepsceko
    (「史実を世界に発信する会」 茂木弘道)


(宮崎正弘)拝見しました。まだ見ている人が少ないようですが、もっと普及させたいものです。

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(読者の声2)前号に寄稿された田中秀雄様へ。拙稿、ご笑覧深謝致します。
大観園調査につきましては、香港留学以前の1968,69年当時、佐藤慎一郎先生から何回かお話を伺う機会がありました。
実態調査の難しさと共に大観園を軸とする人々の生活実態の凄まじさもお話し戴き、香港での生活につき助言まで賜った次第です。
その際、「報告書に纏めた」とのことでしたので、なんとか入手できないものかと探していましたところ、香港から戻った1977、78年頃に日参していた駒込の東洋文庫で『(極秘)大觀園の解剖 漢民族社會實態調査第一編』(治安部分室 昭和16年)を手にする機会があり、早速コピーし、香港で経験した「現代の大観園」とでも言うべき「尖沙咀の重慶大廈」「香港島北角の五洲大廈」を振り返り、佐藤先生のお話を思い出しながら読み進めた次第です。
なお「佐藤慎一郎著、伊達宗義解説」と記された原書房版(復刻)は現在では入手困難。原本が国会図書館デジタルコレクションに入っているのは嬉しい限りです。
(樋泉克夫)


(宮崎正弘のコメント)「大観園」といえば、上海郊外にある、宏大な中国庭園。バス停も「大観園」でしたね。バスで上海の都心から2時間半ほどかかりました。ナルホド、日本庭園の美からは程遠い、グロテスクな印象。日本の大観苑(「苑」は一字違い)は、有名な中華レストランですが。
 それから最後の節にある伊達宗義先生ですが、宇和島・伊達家の菩提寺、護国寺が近いので、先日もお墓参りに行きました。伊達政宗十六代末裔の宗義先生も拓殖大学教授でしたが、弟の伊達政之さんともどもお世話になりました。

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(読者の声3)貴誌の非常に重要な記事。私の感想、感慨をお伝えします。
 それは、EVブームへの批判です。加藤康子(こうこ)氏とのインタビューの記事です。
氏は「「環境」が金融商品化して今の騒ぎを作っていることが大問題です。いかに産業を強くするかという産業政策をしていたけれど、今はいかにお金を流通させ、投機をいかに呼び込むかという政策をやっていますね。それに乗ると国民が最後はワーッと、それこそレミング現象みたいなこと(集団で自殺)になる可能性があるわけです。日本の自動車産業はこのままEV推進政策に取り込まれると危険です』(後略)
 
 これを言った加藤康子さんが、国文学科を出た方であると知って驚きました。国文科を出た方が、こういうことを論じることが出来るのは、よほど人脈に恵まれ、ご本人も知的感性に恵まれたのでしょう。学問的に言うと、エネルギー問題を論じるには、少なくとも基礎として、熱力学の基礎を知る必要があり、そこでは、エントロピーとかエンタルピーといった用語を知ることになると思いますが、これは文系の方の多くにとって、未知の世界だと思います。
私の大学での専門は内燃機関でしたが、2001年に長年いたアメリカで、サラリーマンを引退する決意をし、日米の知人に挨拶状を出した際、「内燃機関を専門とした私が、世紀の変わり目にサラリーマンを引退するのは感慨深い。次の世紀は、水素他の非石油燃料の時代になるのだろう」と書きましたが、思ったほど早くは、そこまで変わっておりません。
菅首相は、あまり良く知らずに2050年に、炭素ニュートラルの社会にすると言っていますが、あまり内容を知らずに自動車は全部EVになると誤解しているのではないでしょうか。
私は、同窓会の縁で、かつて日産がノートという完全電気自動車を発表する前に乗せてもらったことがありますが、私のコメントは、航続距離の少なさに販路が限定されるのではないかということでした。
総合的な環境負荷は、単に自動車の走行時の環境負荷だけではなく、その駆動機関やエネルギー源を生産するとき、発電するとき、廃棄するとき、それぞれの環境負荷を総合したものでなければなりません。
また経済的にも、テスラのような高価な車は、誰でも買えるものではありません。うっかり乗せられて、国民の多数がEVに走ると、上に書きてあるようにレミングのような集団自殺になるのではないかと警鐘を鳴らしたいと思います。
  (関野通夫)


(宮崎正弘のコメント)加藤康子さんは「青嵐会」の暴れん坊だった加藤六月氏の長女、現在の加藤勝信・官房長官は、妹さんのご亭主です。

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(読者の声4)2月13日のことです。早朝、私はいつも通り千葉県松戸市の香取神社に向かって朝の散歩をしていた。神社近くで、急にサイレンが鳴った。
近所の人が、「家事だ。そこで煙があがっている」と叫ぶ。いつもの通りの道路から私道の奥を見ると、古いアパートから黒い煙があがっている。まず、救急車がきた。担架を引いて火元に走る。
続いて消防車がきた。消火栓の前に止まり、ゆっくり作業している。その内、火柱があがった。いよいよ燃え盛る。それなのに、何とちんたらちんたらやっているのだ。消防ホースの設置に手間取っているのか。私は野次馬根性で、火がどんどん燃え盛るのを、歯ぎしりをして見ているだけだ。
その時、担架に乗った90代らしき女性が運ばれたて来た。
その後、一斉に放水が始まった。我が家の二階から見ると、3時間後の9:30頃、昇る煙がようやくなくなった。
火元の女性は、独り暮らしで不自由な体に、朝食の仕度をしていたのか。火を消そうとしたができない。119番通報するだけで精一杯のようだったのか。真っ先に来たのは消防車ではなく、救急車だったことが、漸く理解できた。年寄りの一人暮らしは危ない。願わくばオール電化が望ましいものです。
 (斎藤周吾)


(宮崎正弘のコメント)松戸市にも香取神社があるのですね。初めて知りました。祭神は、もちろんフツヌシですよね。
総本山は香取市の香取神宮。JR佐原からタクシーで行くしかないですが、参道で驚いたのは、出店のテントのデザインが「鬼滅の刃」でした。いかにも、香取神宮にふさわしい風景でしたが。
 このことは今月号の『正論』にも拙論があります。
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