モイーズのウェストハムの話し〜再開後と来シーズンへの雑感〜

モイーズのウエストハム

今回は、好きな監督の1人、
モイーズのウエストハムについて。ウエストハムのプレミア再開後からの戦術について書いていきます。

全体的な基本方針は

① カウンターに繋がるロストをしない。確実性の高いプレーを選択する。

② DFラインは低く、バイタルエリアで人数かけて奪う。

③ アントニオからカウンター、もしくはサイドからクロス

カウンターに繋がるロストをしない。
 これは選手選びに顕著に現れていて、個人で打開できるけボールロストの可能性も高いアレ、アンデルソン、ランシーニ、ヤルモレンコ(全員、怪我もあったけど)辺りはあまり出番がなく、確実なプレーを判断できる選手(ボーウェン、ノーブル、ソーチェク等)を多く起用していた。

DFラインは低く、バイタルエリアで奪う
 CFのアントニオを残して、MFとDFはバイタルエリアで2つのラインを形成し、またライン間を狭くして、そこの数的有利でボールを奪っていた。

奪った後は、セーフティに前線に蹴り出す。もしくはそこでワンタッチ、ツータッチで細かく繋ぎ、サイドへ持っていく。

判断力の高い選手を①のように多く起用していたので、バイタルでボールを繋ぐ場面は意外と多かった。

アントニオからカウンター、もしくはサイドからクロス展開は、バイタルエリアでボールを奪った後、

・セーフティに前線へクリア

・1タッチ、2タッチで繋いでサイドに展開
の2パターン。

前線へクリアに関しては、多少雑なボールでもCFのアントニオがおさめられた時(もしくは裏へ抜けられた時)、カウンターに繋げる。
サイドに展開時は、SHが縦へ突破か戻すかを判断する。
縦へ突破する時はクロスまで持っていく。戻した時はボランチが逆サイドへ展開して逆サイドでまた同様の判断をする。
ここでもやはり確実なプレーを求められ、無理に突破するよりは戻すことを優先する。
よって、この場合は攻撃にはスピーディさが失われがち。
結果として、まともな崩しのパターンはやっぱりモイーズらしくクロスからが多い。

たまに相手のバイタルエリアでワンタッチ、ツータッチで細かく繋げる場面が出ていたので、これをパターンの1つにできればレパートリーはできそう。
今のところはあとセットプレーからヘディングが得点源としてある。

クロスからの攻撃を軸にするなら、CFアントニオは厳しそう。ただ、カウンター時なんかはアントニオが重要な役割を果たしているので、どちらを選択するか。
ただ、いずれにせよ選手の能力に依存していて、選手が代わった時の再現性に乏しく。スターティングは固定しがちで、そこも課題点。

ここからは気になった選手について

CFアントニオ
 1トップに固定されてからは前線を自由に動き回れたからか、ポストプレーのポジショニング(特に下がってくるタイミング)と精度精度が高く。乱雑なボールでもしっかりおさめるなど、攻撃の第一歩を完璧に担った。
たまに見せるバイタルエリアでの滑らかなドリブルもあり、打開力も見せたが肝心の決定力がいまいちだった。そもそもFWよりかはサイドアタッカー寄りの選手ではあるけれど、クロスも上手なわけではないので、シーズン通してで考えるとCFとしては厳しそう。

右SH ボーウェン
 冬に加入してからすぐスタメンに。
触れ込みとしては点取り屋だった気がするし、2部では結構点をとってたと思ったんだけど、あまりその片鱗は見えず。守備への献身性とボールを失わない判断力が目立った。
 守備に関しては、DFラインに吸収されず、バランスを見たポジショニングができていた。
さらに、守備に戻っても攻撃場面でクオリティを落とさない体力面の高さも見られた。
 判断力に関しては、ボール保持時に突破するかしないかの判断が際立っていて、ボールを失う場面がかなり少なかった。かと言ってボールを戻すプレーが多いわけでもなく、足の速さを活かした縦への突破も多く見られた。
 フィニッシュ場面に関してはそもそも関与することが少なかったので未知数が大きいが、たまに中にドリブルで切れ込んでファーサイドのシュート、という典型的なウィングのパターンも見せていたので、もう少し守備の負担を軽減する。
もしくはボール保持時にもう少しリスクを取らせても良い様な戦術を立てる。といった処置があれば、フィニッシュに絡める場面が見れそう。

ボランチ ソーチェク
 再開後にいきなりスタメンになっていて驚いた。ボーウェンと同じく冬加入の選手。
 長身を活かした競りを含む対人の守備の強さと確実なショートパスができる判断力とサイドチェンジができる視野の広さとボランチに必要な能力がすでに備わっている。
 ロングパスの精度の粗さ、攻守で時折見せる直感的なポジショニングがちょっと怖い。
 コーナーキックからヘディングで点を奪う場面が多いなど、セットプレーで強いのも魅力。

ボランチ ライス
 ピルロ的な縦へのタッチダウンパスが、速さと精度が備わる完璧さを持っていて、かつかなりシビアなところを狙って成功させているのが最高。守備でもポジショニングが良く、かつSB(特に左)がカバーできていない裏のスペースを予測してカバーするなど、判断力も高い。 
 横への展開のパスがズレてしまう、裏のスペースがない場面でも無理矢理裏を狙う様なプレーがあるのが課題。ミドルシュートを打つ場面が少ない、打ってもあまり精度が良くない、というところが改善できてしまったら完璧になってしまう。

 あとは戦術の恩恵を1番得ただろうCBの2人、オグボンナとディオプ。
 裏への対応が要らず、危ない時はイージーにクリアすればOK。という中で、対人の強さを見せた。
 ボール保持の危なっかしさは両者あったものの、守備面ではミスが少なかった。

来シーズンへの不安

現有戦力をどう扱うか
 いわゆる残留ギリギリらなチームらしく、堅実な戦いをした再開後のモイーズのウエストハム。
 来シーズンに関してはまずアレ、ランシーニ、アンデルソン、ヤルモレンコといった自力で崩せるけどリスクのある選手をどう扱うか、ヤルモレンコは後半20分辺りでボーウェンと交代して効果的なドリブルを見せていたけど、ああいう使い方をすると不満が出そうなメンバーばかりなので、どうするのか?

CFをどうするか
 いわゆる偽の1トップ的な役割をしていたアントニオにこのまま同じ役割をさせるなら2列目に得点力もしくはシュートまでもっていける個人打開力が求められ、正直これは現有戦力には期待できない(ボーウェンの覚醒があればあるいは?くらい)し、そんなレベルの選手を残留ギリギリのチームが獲得できると思えない。
 そうなるとアントニオと役割の異なる新しいCFを獲得するのが現実的か。今シーズン何回かアレとアントニオの2トップがあったが、あんなイメージで2トップを組ませるのはアリだと思う。(アントニオの自由が狭まってしまうが)
 個人的にはオリギ。

守備に不安のあるSB
 常にボーウェンの後ろにいて、適切なサポートができていた右SBフレデリクスは終盤でオーバーラップやアーリークロスを見せるなど、攻撃面でアクセントをつけていたからともかく、右SBのクレスウェルはポジショニングが内に?寄りすぎて裏を取られまくっていて、攻撃面もそんなに際立ったものがあったわけではないので、不安は強い。
 最後2試合くらいでは若手のベン・ジョンソンが左SBを務めていたが、そもそもプレミアにフィットできていない感満々で、イージーなミスが多かった。なんか切り返しが独特で、深み?があるのかよくわからないけど切り返しで縦に抜く場面が何回かあったけど、個人的には任せるのは早いと思う。

ジワリジワリとマーケットも動いてきているので、ウェストハムがどんな補強をするのか、注視していきたいと思います。
 冬に加入したボーウェンが2部の選手で、ソーチェクがチェコリーグの選手で、なかなか訳のわからないところから発掘してきているので、そういう無名の良材みたいな補強があるといいなあと思ってます。

では_φ(・_・

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