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ぼくが夢中になったのは『Grapheck』という“おなら×デザイン”の物語。あなたのクリエイティブッは、どこから“ぶっ”と始まる?
こんにちは!YABUOです。
今回のnoteはマエデで参加した『Grapheck』という雑誌をつくろうよっていうプロジェクトに参加した時のお話しです。
『Grapheck』という本は、ただかっこいい雑誌をつくろうぜ!って言いつつも実は、発生期・我慢期・準備期・解放期の4章で構成されていて。
おならが生まれてから、自分を抑えて我慢して、羞恥心と戦いながらも覚悟を決め、解放に向かうというストーリーが隠されているちょっとおもしろい本なんです。
じぶんは、この本の中で担当した2ページ担当したのですが、今回のnoteは発生期のなかの変容というテーマがあるページの担当した部分について書いてみます。
完成したページはこちらです
↓
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どんなことを考えてデザインしたのか?
デザインするにあたって、Grapheckのプロジェクトの資料のスプレッドシートの変容の欄にあったのは。
マエデのメンバーさん達が見つけて集めた、かっこいいと感じるデザインの中でアートディレクターのとりちゃんが選んだ1枚の画像。
そして、
キーワード:空間/銀河
【仮想現実】
企画内容:変容
という語句でした。
おならが変容?
おならになる元となるものが発生して、おならに変わっていく様子を表現するページなのかな?
僕が参加できたのは、たまたま、担当されていたデザイナーさんがお仕事の都合で忙しくなり空きのページが出たからでした。
そして、たまたま、GrapheckのMTGを覗いていたのでMTGが終わった後で編集長のぐんぐんさんと喋れる時間があったので、いろいろ質問してみることにしてみました。
でも、自分はヒアリングした経験とかない…。
その時にプッと思いだしたのが、おととしの東京でのマエデの定例会後の二次会の時に前田さんに質問した時に教えていただいた話でした。
マエデのデザイナーさんが関わって箕輪編集室が出した『サウナランド』という雑誌について。(今回はマエデがつくるアートブックだから思いだしたのかも。)
いったい何が凄かったんですか?と聞いてみたことがあったんです。
コンセプトがすごい!
序列じゃなくて混沌。丸裸。情報じゃなくて偏愛
言葉で定義することの重要さみたいなことをおっしゃってたような気がするのですがあまり覚えていない…
その時のキーワードになっていた、「〇〇ではなく〇〇」といった言葉の対比のことが重要なのかな?と思い出し、今回のページのコンセプトもそうした対比が鍵になるのではないかと考えました。
そこで、ぐんぐんさんに「一問一答方式」で質問を投げかけながら、方向性を探っていきました。
僕
「変容のページの参考画像って水色とピンク色使っているんですけれども…」
ぐんぐんさん
「ぜんぜん、ここにある参考のイメージ画像を再現するんじゃなくて」
「精神世界を表現できてるって感じ」
僕
「精神世界ってサイケな感じでしょうか?」
ぐんぐんさん
「サイケな感じではなくて」
僕
「そしたら、ポップな感じでもないですよね?」
みたいな感じで一問一答していきました。
その時に取ったメモが↓です。
変容にのっとって
水色とピンク
精神世界
を表現できてるって感じ
サイケな感じではない
ポップではない
宇宙
ヒッピーではない
宗教っぽい
現代から未来へ
人間の
大量生産から画一化
デジタル
人
マネキン
無機質な人間間
自分がなくなってくる感覚
一人称視点
おならが体内に生まれて
自分がおならにきづいていない
得体の知れない。
僕
「だいぶイメージ掴めてきました!」
ぐんぐんさん
「あっそうそう、ライターをやっていただいてる斉藤ナミさんの文章も参考にしてみて。」
「でも、その文章をデザインするんじゃなくって…。」
「ほんと、ぜんぜん、ここにある参考のイメージ画像を再現するんじゃなくて」
「むしろ、自由な発想でデザインして欲しいんだよねー」
と30分ぐらい付き合っていただきました。
その後、資料をよく読んでみると斉藤ナミさんに文章とは別にぐんぐんさんの文章も発見しました。
【変容】
何かが私の中に生まれている。
ただし、はっきりとその正体はわからない。
気持ちが悪い。
最近は、癌のことを「悪性新生物」と呼んだりするらしい。
「体に棲みついたエイリアンじゃあるまいし、SFか?」と彼はつぶやく。
しかし、自分の体の中に起きている異変を前に、
彼はそれを完全に否定することはできない。
おかしい。自分じゃない何者かが、体の内側にいるようだ。
おもしろい〜
斉藤ナミさんの書かれた文章はGrapheck本誌を見て読んでいただけるとわかると思うのですが…。
えっ!
ぐんぐんさんの書かれた文章と全然違うんだけど、おもしろい〜
こちらの文章を担当しました。死ぬほどかっこつけてふざけ倒してます。
— 斉藤 ナミ|エッセイスト (@nami5711) January 28, 2025
そしてこのめちゃくちゃかっこいい右ページのプリントTシャツもクラファンでゲットできる!✨
ぜひ、私の文章を体に纏って街を練り歩いてください!(私も買ったからオソロです) https://t.co/CoPJD1AqMg
そっか、ほんとに自由に発想していいんだ!
とりちゃんが選んだかっこいいをイメージさせる画像を、ぐんぐんさんがそこから自由な発想とおならを絡めた文章をつくり、斉藤奈美さんがまた死ぬほどかっこつけてふざけた文章を書いてる。
自分ならどうする?と思ったら。
プッとジョジョの5部「黄金の風」でのフーゴとイルーゾォの闘いのシーンのイメージが。
鏡の中と外(精神世界の表現)
イルーゾォのスタンド「マン・イン・ザ・ミラー」
フーゴのスタンド「パープル・ヘイズ」のウイルスのようにおならにおかされて変容していく感じをイメージ。
鏡の中だから像は反転
マネキンのような無機質な人間
家にあった陶器の人形のオルゴールをiPhoneで撮影してみる。
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最初の前田さんからの全体のページチェックの時
前田さん
うーん、惜しい。もう〜いいちゃいいけど、もうちょっとなんかできないかな?
その後のコアメンさんだけのMTGでは
とりちゃん
「ひだりけっこう色がたくさんまざっていて、なかなかみない色だったりしてするので、けっこうアートっぽいかなと個人的には思っていて。」
そのあとコアメンさんの間での話は
「アートとデザイン」
「むつかしいですよね〜」
という話題になりました。
僕
「えっ!、なかなかみない色なの?」
「え、アートっぽいのか?あかんのか?」
「アートブックなのにアートじゃあかんの?」
と自問自答することに。」
その次の日
Discordでぐんぐんさん、とりちゃんから、続けてメッセージが。
ぐんぐんさん
こちら、お二人のデザインを別々に作っていただいたにも関わらず、
二つのデザインの噛み合い方が個人的に最高だなと思っています…!
とりちゃん
色味と加工めっちゃいいです。中にいる人物と目が合った時ハッとさせられるグラフィックだと思いました。
長方形のぼかしをなくして、抽象的な中にカチッとした図形として存在させるとメリハリがついてより良いかと思いましたがいかがでしょう?
また一部隠すなどで奥行がでるとより面白くなりそうです!
僕
なんとなく、編集長とアートディレクターのお二人からOKは出ているのですが、なんかモヤットする。
ウイルスっぽい描画をやりたくて、カラーのハーフトーンとか、デジタルっぽく見えるのってなんだろう〜って思って安易にモザイク処理のフィルターをかけているのが抽象的になっちゃってアートっぽくなっている原因だと分析してみる。
ウイルスっぽい描写・デジタルっぽい表現を諦めておならを暗に想像させるような表現を考える。
煙?
パーティクル?
円?
ウェーブ?
いちばん最後にデザイナーとしてプロジェクトに参加したので、ほかのデザイナーさんが使っている手段は使いたくない。
泡!お風呂でおならをした時の泡!
しゅりさんの作られたフルイドアートの作品の写真がGrapheckで使用していいことになっていたのを思いだす!
泡っぽくもあり、煙っぽくもあり、ウェーブっぽくもあり、しかも右ページのあおちさんのページとのコントラストもしっかりつくような気がする!
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テクスチャーとしてこの素材を使ってみた結果
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ガラッと印象変わってしまった!
でも、最初のトリちゃんフィードバックの中にいる人物と目が合った時ハッとさせられるグラフィックというところはより強くなったと思う。
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最終的に、
当初の企画の内容のキーワード:空間/銀河 【仮想現実】
の部分についてはだいぶ無視してしまった…。
けれど、
「アートブックらしくアート(自分のやりたい表現)に振り切る」
ことはできたと思う。
そして、フィードバックを受けることや積極的にヒアリングすることを通じて、ひとりではできない部分を深めることができたと思います。
目が合ったときに「ハッ」とする人物の表現を強化
(フィードバックのおかげでこのページの良いところに気づいた!)フルイドアートを活かして、泡のような流動的な要素を取り入れる
(使ってみたことのない表現を試せた!)
こうして「変容」のページは完成し、Grapheckの一部として形になりました。
「表現」することに悶々としてる人もしてない人も全ての人へ
雑誌「Grapheck」は只今クラウドファンディング中です。
すでにたくさんの人が 手を挙げてくれました。 ありがとうございます。
デザインのお仕事をしている人も、 クリエイターになりたい人も、 なんとなくモノづくりが気になる人も。
ほんとうは、 みんな「表現」が好きなんだと思うんです。
このクラウドファウンディングは、みんなの中に眠っている 「表現することの楽しさ」を 呼び覚ましてみたい社会実験なんです。
だから、 もっともっと多くの人に このことを伝えたいんです。
少しでも気になると感じたら、ぜひクラウドファンディングのページを覗いてみてくださるとうれしいです。