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宇宙人の話
私には、自称「宇宙人」の友人がいる。
彼女とは小学校からの長い付き合いだけれど、
別に小学校の時から、
「私は宇宙から来たの」
とか言っていた訳ではない。
宇宙人だと名乗りでたのはここ1、2年のことである。
彼女と距離が縮まったのは、高2頃からだった。
少しギャルっぽい彼女は、
周りより一足早くhip hopにハマっていて、
彼女の選曲が、他の誰よりも私に刺さっていたからかもしれない。
文化祭準備でダンボールだらけの教室の中、
スピーカーでhip hopを流しながら2人でノリノリで作業したことを思い出す。
私がhip hopやレゲエを好きになったきっかけは、間違いなく彼女のおかげである。
生きていると、音楽に救われる事が多い。
原点を振り返ると、
私の中に彼女がいる事がなんだか嬉しくて、くすぐったい。
そうそう、宇宙人ね。
現実主義の私は、昨今の彼女のスピり節に圧倒されつつも、
興味を持った。
宇宙人や神の存在なんて、真剣に考えたこともなかったから。
考え方が違う私たちは、基本的に意見が異なる。
けれど、
そんな彼女だからこそ、私は刺激を受けている。
「他人に期待しない」と断言している彼女は、
「私の言っていることは、宇宙人にしか分からない」
とも言う。
自称「地球人」の私は、
正直、彼女の言っていることがさっぱり分からない。
けど、分からないからと言って、遇らうのは違う。
分からないことは、
「分からない」と言う。
「どうしてそう考えたの?」と聞く。
分かりたいから。
「宇宙人のことも理解できる、地球人になりたい。」
彼女にそう言うと、
ぽけっ ? とした顔をしていた。
いや、意味わかるだろさすがに。
と思いながらも、
「あ、でも宇宙人だからかな」とか思ったり。
彼女といると、おもしろい。