フリエの旗に集いし者よ。

 本当は福岡戦のレビューをちゃんと書こうと思っていました。
しかし、今日の日中にリリースが出た移籍の報を見て、モヤモヤしてしまい、結局別のテーマで筆を執ることにしました。

1.23節福岡戦の振り返り

 まずは簡単に、福岡戦について振り返っておこうと思います。

 結果としては2-0で負け。
 ポゼッションを放棄し、固く守る戦い方を身上とする福岡を相手に、前後半とも立ち上がりにエアポケットに入ったような失点を喰らってしまい、固く守れば勝てる展開を作ってしまいました。

 神戸戦同様、0‐0でしっかり守りながら、あわよくば福岡にボールを持たせる展開を狙っていたようですが、結果的に早々の失点でゲームプランが瓦解。結果、ボールを持たされ、いろいろと打開を試みたものの最後まで引いた福岡の守備を崩せずに90分を終えてしまいました。

 久しぶりにボールを持たされる展開ではありましたが、シーズン序盤に比べると安定ポゼッションを披露した一方で、アタッキングサードでのクオリティの不足を露呈し、記録上は12本のシュートを放ったものの、決定的と言えるチャンスはほとんど作ることができませんでした。

 痛感したのは、クロスやラストパスのクオリティ不足、そして最前線に置いているマルセロ・ヒアンの迫力不足でした。サイドから打開しようとする意志は見えましたが、最後のクロスの精度が伴わず惜しいシュートシーンがなかなか作り出せず。また、押し込んだ展開の中で、記録上12本もの獲得したコーナーキックも前半にサインプレーのようなショートコーナーで作り出したシュートチャンス以外は、惜しいシーンすら作り出せませんでした。

 そして、引かれた展開で裏のスペースがほぼない中、相手ディフェンスを背負ってのプレーを強いられたマルセロ・ヒアンはシュートこそ4本放ちましたが、なかなか起点になることができず、結果60分で交代となりました。後半、代わって入ったカプリーニのシャドーの位置からのパンチ力のあるシュートや、深く抉っての折り返しを狙った近藤友喜のドリブルで一時的には盛り返したようにも見えましたが、徐々にトーンダウン。ボールを持っているだけで、何もできないまま試合を終えてしまいました。

 この試合の一番の問題は、今の横浜FCはボールを持たせれば驚異ではないことが露呈してしまったことだと思います。とはいえ、急激にクロスやパスの精度がバンバン上がるなんてことは考えづらいので、今の手持ちの駒だけで解決ができるのか、と考えていたところでした。

2.長谷川竜也を失う意味

  そんな中で飛び込んできたのが長谷川竜也が移籍するという報でした。

  昨年のチームキャプテンであり、チームの中心。確かな技術と戦術眼、そしてキャプテンシーでチームを支えた彼の存在抜きに、昨季の昇格は間違いなくあり得なかったでしょう。

  今季は怪我に泣かされている一面もありながら、出場した試合では局面で違いを作れるプレーも見せており、多少の戦術とのアンマッチ感も否めないながらも、その出場機会の少なさはコンディション不良によるものだと筆者も考えていました。

  しかし、結果的にこういう形で移籍をしてしまったということは、必ずしもコンディションだけの問題ではなく、首脳陣の中での序列が下がっていたということなのでしょう。

  ただ、この移籍を単なる一選手の移籍と同等に捉えて良いものでしょうか。

  昨年、苦労して昇格を掴み取ったチームのキャプテン。小川航基とともに、昨年のチームの象徴的な存在です。筆者はそのプレーもさることながら、インタビューやスピーチから感じられる人柄や、黄金期を川崎での経験値から出るサッカーを言語化する能力の高さにも惚れ込んでおり、このまま横浜FCに骨を埋めてほしいと思っていた選手でした。

  その長谷川竜也の移籍、(期限付き移籍とはいえ)それは即ち昨年のチームとの決別を意味すると私は思っています。

  昨年は昨年、今年は今年。
  確かにそうなのかもしれません。

  しかし、昇格を経て戦うステージが変わった今季、このステージを戦う切符を掴み取ったチームがあまりにもあっさりと解体され、ともに戦った同志たちがチームを去っていく。この過程にどうしても違和感が拭えないのです。

  この3年で2度の昇格と1度の降格を味わい、クラブが今度こそJ1定着をと考え、中長期的なプランニングの中で過渡期にあることは理解をしています。

  それでも、あまりにそのプランニングを前に進めることに意識が向きすぎて、なにか大切なものが抜け落ちてしまっている。そんな気がします。

   半年単位でどんどん選手が入れ替わり、チーム作りのためであれば主力でもどんどん放出する。そんなサイクルの中、果たして今の横浜FCのアイコンは誰でしょうか。サッカー専門誌の編集者やライターが横浜FCの記事を書くとき、誰を表紙にするでしょう。

  例えば、井上潮音や山下諒也かもしれません。
  今のチームはこの二人が中心と言っても差支えはないでしょう。しかし、もし今季、残留できなかったとして、彼らは横浜FCに残ってくれるでしょうか。

  それは彼らに何があっても残れと言っているのではなく、クラブがそういう存在を作ろうとしていますか。ということです。

   毎年、昨年のポスターに大きく載っていた選手たちが移籍してしまう。そんなチームに地元の子どもたちの愛着が湧くでしょうか。

  選手の獲得、放出が活発になった反面、そういったクラブのカルチャーのようなものが希薄になっているように思えてならないのです。

   目先の成績は、もちろん一番大事です。
   だけども、どうせなら在籍している選手にももっと愛してもらえるクラブになってほしい。次世代、次々世代の内田智也を作っていくことが、横浜FCの歴史を作っていくことなんじゃないでしょうか。

3.フリエの旗に集いし者よ

  しかし、色んな想いこそあれど、それでもシーズンは進んでいきます。

  私達サポーターは、寂しさを噛み締めこそするものの、出来ることは今、フリエの旗に集いし、今週末に三ツ沢でフリエのエンブレムをつけて戦う選手たちに声援を送り、ともに戦うことしかできません。

  本当に噂通り、誰も獲得しないまま夏のウインドウを終えてしまうのかどうかはわかりません。一方で、目下残留を争うライバルチームからは補強の声も聴こえてきます。不安な気持ちがないわけではありません。

  それでも、最終的には我々は、次の試合にHAMABLUEのシャツを着て戦う選手たちを後押しするしか、道はないのです。

  正直、思うことは色々あります。
  しかし、今、戦うべきは残留争いであり、クラブ内のことに目を向けて、声を上げることではないと思っています。今、ここでサポーターが気持ちを切らしてしまうのは絶対に違う。意見は言うべきだとは思うけれど、それは今ではない。

  残留をすれば、きっと何かが見えてくる。
  そう信じて、ともに戦う選手たちの力を信じて、まずは応援しようと思います。

  方法は違えど、みんなこのクラブを残留させるため、このクラブがもっと成長するためにやっているはずだから。

   まずは、今週の仕事をしっかり片付けて、週末三ツ沢に行けるように頑張ろう。そう思います。

  もっとも、残り2日のウインドウでポジティブな大サプライズがあって、手のひらを返すような記事を書くのも、それはそれで悪くはないなと思っているのですが…。笑


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