【横浜FC2023】第22節 H神戸戦:第3の開幕、見えてきた目指す形。
しばらくぶりの投稿です。
仕事が忙しく、三ツ沢にもあまり通えておらずDAZNで試合をながら見しながら仕事をしていることが多いこともあり、一丁前にレビューが書けるほど試合をじっくり見られていない日々を送っておりました。
迎えた今節も、調整もかなわず。諸々の都合で埼玉県民であることもあり、仕事や野暮用を調整しようにも、移動時間を考えるとどうしても三ツ沢には辿り着くことができず。あえなく、帰路でDAZNを開き心の中でチャントを歌っていたのでした。
そんな私事はつゆ知らず、チームは首位神戸を相手に2-0のクリーンシートで大勝利。井上潮音の大ゴラッソも飛び出し、清々しい気持ちで、現地で観れなかったながらに嬉々として筆を執った次第であります。
DAZNでの観戦の中で感じたことをいくつかのポイントにまとめて簡単なレビュー記事を書かせて頂こうと思います。
2023年第3の開幕
試合前、私はこの試合を「第3の開幕」と捉えていました。
「第1の開幕」は、文字通り開幕戦。
ジョン・ハッチンソンコーチを招聘し、アンジェ・ポステコグルーが築き上げたアタッキング・フットボールを夢見た我が軍。結果はご存じの通り、2節での負傷でガブリエウを失った途端守備が崩壊。そこから10節までは未勝利且つ大量失点での敗戦が続き、アタッキング・フットボールへの調整は儚く散りました。
「第2の開幕」は、第11節です。
第11節の新潟戦から四方田監督は昨年のメインシステムである3-4-2-1へと変更をし、「まずは失点しないこと」に重きを置く決断を下します。そこで11節を1-0で守り切り初勝利を挙げると、12節の神戸戦こそ力負けをしたものの、13節、14節と多少運にも恵まれて連勝。ここで、ここからの戦い方の軸として「専守防衛」がキーワードになりました。
しかし、舞台は日本のトップカテゴリー。付け焼き刃の専守防衛と突発的なロングカウンターのみで簡単に勝ち続けられるほど、甘くありませんでした。その後15節から21節までの7試合を3分4敗。大崩れはしないものの、相手の個の力でこじ開けられての敗戦や、守りに重きを置く中、苦労して取った虎の子の1点を様々な要因で守り切れずに勝ち点を取りこぼした試合が続きました。
リーグ戦の最中での突貫工事であったため、成熟度という点ではやや未熟であり、大きく2つの課題に抱え約3週間の中断期間を迎えます。
1つは、「どうやって点を取るのか」ということ。
もう1つは、「プレッシングとリトリートの守備の使い分け」です。
中断期間を経て、四方田監督率いるチームがこの課題に対してどう解決しようとアプローチをしたのか。2023年の横浜FC Ver.3.0がお目見えする初陣がこの神戸戦だったのです。
主力の移籍と整理された戦術
中断前、インタビューなどで四方田監督自身は攻撃については「持てるときにはボールを持って繋ぎたい」、守備についても「行けるときは前からプレッシャーをかけたい」といった趣旨の回答をよく口にしていたと記憶しています。
どちらかと言えば、インタビューで核心までさらけ出す方ではない四方田監督ではありますが、今期序盤にチームが志向していたサッカーや元々ペトロヴィッチ監督に従事していたことを考えても、あながち嘘ではなかったことでしょう。
しかし、この試合を通して見て、チームの方向性は「コンパクトなブロックを組んだ守備から、良いカウンター」に固まったように見えました。
特に守備はチームとしてどう守るかがかなりしっかり整理されている印象でした。
試合中も最前線のマルセロ・ヒアンがプレッシャーに行こうとして、後ろから制される場面も何度か見られました。そして、その守備がしっかり機能していた一因を筆者は伊藤翔の起用だと考えます。
35歳を迎え、大ベテランの域に達しつつある伊藤翔ですが、彼の特筆する良さの一つが前線からのディフェンスの技術にあると思います。圧倒的な運動量があるわけではないですが、プレッシャーを行くタイミングの判断と、ポジショニングが絶品です。特に最前線が若いマルセロ・ヒアンであることを考えると、前線からの守備をしっかりマネジメントできる伊藤翔がシャドーにいたことは、コンパクトな守備が機能した一因でしょう。
そして、もう1つ大きかったのはンドカ・ボニフェイスの復帰です。これまでは吉野恭平が右、3バックの真ん中には岩武克弥が入る形が定番でしたが、吉野が出場停止だった今節、ンドカ・ボニフェイスの復帰し真ん中に入ったことで、岩武のウィークポイントである高さが補填されました。神戸の最前線が大迫であったことを考えると、彼の貢献なしにクリーンシートはなかったと思います。そして、岩武は本職SBならではの走力と足元の技術を活かして右CBとして奮闘し、山下諒也のゴールをアシストしました。出色の出来だったと思います。
守備から入るサッカーを掲げる中、最前線からしっかり意思統一をし、コンパクトに守るサッカーで大迫や武藤を擁する神戸をクリーンシートに抑え切ったことは今後に向けても非常に大きな手応えを得たことでしょう。
そして、攻撃面は結果的に2ゴールをマークしました。
麗しき記憶であるH川崎戦と同様の井上潮音のスーパーゴールと、山下諒也の圧倒的なスピードによる爆速ゴールでした。
攻撃としては、「裏を狙うこと」と「最前線に当てて、セカンドボールを拾うこと」の2点が徹底されていた印象でした。この試合の1点目は後者のマルセロ・ヒアンからに当てた展開からのゴールでしたし、2点目はまさしく山下諒也の伝家の宝刀ともいえる爆発的なスピードからの裏抜けでした。2点ともきちんと意図をもっての流れの中の得点だったという点も、非常にポジティブな要素だったと思います。
更なる選手の爆発への期待
今後に向けての期待したいのは、「マルセロ・ヒアンの成長と爆発」と「リザーブ選手による競争の活性化と戦術バリエーションの増加」です。
特に1点目は、今後安定的に勝点を稼いで行くためには不可欠な要素だと思います。山下諒也へのマークが今後より厳しくなっていくであろうと予測される中、ヒアンのポストプレーからの攻撃パターンの精度向上はチームの命運を握ります。ポテンシャルが高いことは証明済みです。今日時点での陣容を見る限りは、クラブとしても、ヒアンに命運を託したも同然でしょう。どうか、救世主になっていただきたいところです。
そして、2点目は求む、インパクトメンバーといったところでしょうか。特に小川航基とサウロの移籍によってややチャンスが増した印象の前のポジションは、ボランチで起用されていた高井和馬がシャドーや最前線で起用されそうだったり、シュート意識の高いカプリーニや、爆発的な運動量が売りの小川慶治朗、個性派ドリブラーの新井瑞希など、元々攻撃的なサッカーを志向していただけあってバリエーションに富んだラインナップを誇ります。
なかなか硬直した展開をインパクトメンバーが抉じ開けるシーンが見られない今シーズン。個性はアタッカー陣の奮起に期待します。
守備面では、ンドカ・ボニフェイスの復帰で吉野恭平のボランチ起用という新たなオプションを得ました。元から特に守備型の選手の層が薄く、三田啓貴と井上潮音というミニミニコンビや、西山大雅のスクランブル起用など、駒不足のまま戦わざるを得ない試合も少なくなかったことを考えると、これは本当に大きいです。
特にたらればですが、A京都戦は三田啓貴以外のボランチがいれば勝ち点が拾えていたかも…というゲームだっただけに、終盤逃げ切りの際に切れるカードの選択肢の増加は喜ばしいでしょう。
しかしながら、今節の勝ちもライバルチームも勝利したため、劇的に状況が改善したわけではありません。今後も苦しい戦いが続くでしょうが、一丸でやんとかJ1の座もコンパクトに守りきってほしいものです。
FORZA FULIE!!!!
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