【横浜FC 2023】第15節A C大阪戦 この負けを成長痛にできるか。
ミッドウィークのルヴァンカップの広島戦も勝利し、公式戦3連勝となった我軍。戦い方も定まり、恐らくチームとしてもに自信に満ち溢れた状態で望んだであろうアウェイのセレッソ大阪戦でした。しかし、結果は2-0での敗戦。スタッツほど何もできなかったというほどの絶望的な敗戦ではなかったものの、ハッキリと実力差を感じた敗戦であったのも事実だと思います。
1.守りきれなかった専守防衛
この試合までの横浜FCの勝ちパターンはとにかく専守防衛でした。。守った先にロングカウンターで少ないチャンスで点を取り切って勝つ。そんなゲームプランで連勝をしました。
この試合も先制点を奪われたのは前半43分。一見、専守防衛のゲームプランは機能していたかにも思えますが、内容的にはかなり苦しいものだったと思います。
ボールは持たれているけど、決定的なチャンスは作らせていない。
そんな内容だった川崎戦とは違い、相手に意図を持って崩されてのピンチがそれなりの数あったものの、相手のシュートが枠を外れたり、ポストに当たったりという幸運もあり、なんとか凌いでいた。そんな前半でした。
特にゲームを難しくしたのは、相手の右SHで先発していたジョルディ・クルークスの存在でした。右サイドの高い位置に張り、スピードと個人技で打開を出来てしまう彼の対応に、多くの場面で対面することになった林幸多郎は苦慮します。
林が対応に苦戦することで、左CBのマテウス モラエスも彼の対応に参戦することのなり、更にボランチまでもがセレッソのサイド攻撃を止めるようと彼の対応に追われることになります。
結果的に、ボランチがサイド攻撃の対応に追われることでバイタルエリアが空きがちになり、香川真司に容易くゲームメイクを許す展開となりました。しかしながら、相手の精度の問題や守備陣が粘り強く中での対応を続けていたことで、失点は許さない。そんな展開でした。
しかし、サイドでジョルディ・クルークスを止める術がなかなか見つからなかったことで、跳ね返してはいるものの、なかなかマイボールにできず、カウンターが打てない。跳ね返しては、セカンドボールを回収され、押し込まれることによってファールで止めたり、外に出したりという対応が増え、徐々にセレッソのセットプレーの回数が増えていきます。
それでも最後の最後でやらせず耐える展開で、ここで0−0で折り返すことができれば柏戦の再現ができるかも…などと甘い考えが頭をよぎったものの、43分、ついに失点を喫してしまいます。
右サイドでボールを受けたジョルディ・クルークスから香川真司にパスが渡ると、香川は丁寧にハーフスペースをオーバーラップしてきた右SBの毎熊に落とします。フリーだった毎熊はダイレクトで逆サイドからエリア内に入ってきていた為田大貴にピンポイントクロス。難しいヘディングでしたが、見事に決めきり先制を許しました。
試合後、為田をマークしていた山根永遠は自らのマークミスを嘆きましたが、あの精度のクロスをそもそもフリーで打たせていることが問題でしょう。しかし、前半を通してジョルディ・クルークスに対して有効な対策が見つけられていなかったことで彼への対応に追われていた上に、押し込まれ続けていた時間帯であったためエリア内にいた香川真司にたくさんの選手が引き付けられていたことで、同サイドのSBである毎熊にまで手が回らなかったということではないかと思います。
こうして1-0先制された状態で前半を終えた横浜FCでしたが、後半開始早々、小川航基の落としから山根永遠の素晴らしいシュートがありましたが、これはキム・ジンヒョンにセーブされてしまいます。
紙一重のゲームでしたが、少ないチャンスで得点機会を狙う横浜FCにとって、キム・ジンヒョンという壁はとてつもなく高いものでした。
この後も基本はセレッソにペースを握られる展開が続きましたが、徐々に選手交代やリードしている相手が少しずつ守りに入ったこともあり、後半30分すぎからは少しペースを握る時間帯もありましたが、後半40分、あわやPKかという対応で一瞬プレーが止まったスキを付かれ失点。非常にもったいない形でしたが、セルフジャッジをせずにプレーを止めなかったセレッソと、一瞬プレーが止まってしまった横浜FC。こういった細かい差が2−0という試合結果にそのまま直結した、そんな試合だったと思います。
2.限られた武器をどう活かすか。
結果は2−0で破れた試合でしたが、ポジティブに捉えれば、個のクオリティが高い上位陣にもある程度は耐えることが出来、大きく崩れることはないのではないかということです。
最も、ジョルディ・クルークスの対応に苦労をしていたことは事実ですし、後半彼が交代していなければ、もっとゲームは難しくなっていた可能性はありますが。。。
しかし、一方で山下諒也と林幸多郎の快速左サイドコンビによるエキスプレスカウンターを封じられるとさほど有効な攻め手がないことを改めて露呈したゲームでもありました。
どうやって点を取るのか。
守備に比重をかける戦術を取る中で、避けては通れない課題ではあります、しかし一方でそこにフォーカスをしすぎると、せっかく定まってきた戦い方の根本が崩れる可能性もある非常に難しい舵取りです。
昇格チームの宿命ですが、相手との力関係上、全ポジションで個人の能力が相手チームを上回ることは難しいです。そうである以上、持てる数少ない武器をどう活かすか。そこに尽きるかと思います。
このゲームを難しくしたのは、特に今の横浜FCにおける生命線である山下諒也と林幸多郎の左サイドの攻防で後手を踏んだことで、この2人が有効なカウンター攻撃に出られるシーンがほとんどなかったことです。
結果論ですが、例えば山根永遠、林幸多郎。このWB両名を、四方田監督は左右にこだわることなく起用しているイメージもあるので、試合中にこの両名のポジションを入れ替えていたらどうだったでしょうか。
山根永遠も決して守備がストロングというタイプではないですし、より失点をしていた可能性も否めません。しかし、負けん気が強く戦える彼をクルークスに当て、林を守備のタスクから解放することで林のストロングポイントがもう少し表現できたかもしれません。
そして、改めてこの試合を通して感じたのは、もう少しセットプレーの精度をどうにか出来ないかということです。
この試合、最終的なシュート数はセレッソ18本、横浜FC6本でしたが、フリーキックの数はセレッソ17本、横浜FC15本でほぼ互角、コーナーキックに至ってはセレッソ4本、横浜FC5本で、実は横浜FCのほうが多く獲得しています。(※データはスポーツナビより)
この戦い方をする以上、試合の流れに関係なく得点をするチャンスになり得るセットプレーは非常に大きな意味を持ちます。現に、ウノゼロで勝ちきったルヴァンカップ広島戦のユーリ ララの決勝点はフリーキックからでした。特にこの試合を見ていて、コーナーキックに対してはもっと有効に活かす準備がほしいなと思いました。
前後半を通して5本のコーナーキックがありましたが、いずれも決定的なシュートシーンに繋がることなく終わっています。もちろん、相手も上位チームですからDFも強いので、そう簡単に競り勝てるわけもありません。だからこそ、サインプレーやデザインされたセットプレーをもっと活用してはどうかなと思います。
セットプレーの質の向上は、戦術のバランスを大きく変えなくても出来ます。今の戦い方を崩さずに確実に出来る、得点力向上の施策です。そもそも今年は「セットプレーコーチ」なる役職のアナリストもいるはずですし、もう少し得点の匂いがするようになれば良いなと思います。
さて、続いていた連勝の流れもついに止まってしまいました。
連勝が続いていたものの、このままおいそれと勝ち続けられるほどJ1の舞台が甘くないことも事実でしょう。この負けを、もう一段チームとして上のステージに行くための「成長痛」のような敗戦に出来るのかどうか。チームとしての真価が問われる大切な1週間になると思います。
今節はガンバが勝ちました。小川航基が次節を死にものぐるいでと言っていましたが、ここでまた連敗をしてしまうと苦しくなってしまいます。負けてはしまいましたが、やるべきことは見失わず、また今週末、三ツ沢で勝利のビューティフル・ネームを響かすことが出来るよう頑張りましょう!!
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