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1. 19-20のイリアス 「邂逅」


LaLiga Hope Cupで希望を見つける

2019年8月。
ローマとリバプール相手に2年連続の大失態を演じながらも、変革の気配すらないトップチームに希望が持てなくなっていた。そこで、今季からはトップチームだけでなく、バルサBやラ・マシアの試合も本格的に見ていこうと意気込んでいた。
とはいえ、17-18シーズンまではバルサBの試合やフベニールA(U-19)のUEFAユースリーグ(CLのU-19版)を何度か見たことがあっただけである。選手も有名な数人しか知らなかった。そのため、まずは国内外の有識者をTwitterでフォローして、情報収集を試みた。

すると、中国で開催されていたカデテA(U-16)のLaLiga Hope Cup(プレシーズンのカップ戦)でライブ配信が行われていることを知る。早速試合を見てみると、7番(右WG)のドリブルに一目惚れした。急いで有識者のツイートと照らし合わせて、その選手の名前を確認する。
彼の名はIlias Akhomach。これが私のイリアスとの出会いである。


https://www.laligasportstv.com/channel/detail/c0cfd547-58bc-5366-7542-3f0dbac8f45c

イリアスってどんな選手?

さて、私の推しであるイリアスについて紹介したい。
経歴については、サッカー若手紹介所さんの記事に詳しく書かれているため、ここでは割愛させていただく。

プレースタイルについては、より深く言及していこう。
左利きのイリアスの持ち味を最大限発揮できるのは、利き足と逆サイドの右ウイングだ。その他に、左ウイング、トップ下、右インテリオール(インサイドハーフ)、偽9番で起用されたこともある。

イリアスの最大の武器は、私も惚れたそのドリブルである。
必要な場合はフェイントも織り交ぜながら、相手の逆を突いて滑らかにかわしていく。そして、抜かれかけてもユニフォームを掴んだり足をかけたりしてファールで止めようと追い縋ってくる相手を、決して簡単には倒れないボディバランスで振り切って突き進んでいく。右サイドでプレーしていてもカットイン一辺倒ではなく、縦突破からサイドの深い位置をえぐっていくこともできるため、相手は利き足である左側だけに絞ることは不可能だ。
柔と剛を兼ね備えているドリブルは、現時点でも所属しているフベニールAのカテゴリーに留まらず、バルサBの所属するセグンダB(実質3部)でも十分に通用していると思う。
攻撃面では、他にもパンチ力のあるミドルシュートやスルーパスでのチャンスメイク、ロングパスでの大きな展開も持っている。

さらに、イリアスは守備面でもちゃんと自陣に戻ってきてプレスバックするなど、献身的に頑張る選手だ。ボールを奪ったところからドリブルで一気に持ち運んでカウンターの起点になってくれることまで含めて、しっかり貢献してくれる。

課題は、注目されているアタッカーでありながら、ゴール・アシストの数字をなかなか残せていないことだ。チャンスで仕留めきれない決定力や、ポジショニング・動き出しなどオフザボール面には成長の余地がある。
また、左利きの選手にありがちだが、イリアスも右足はドリブルのタッチを除いてあまり上手くない。

試合を見れない…

19-20シーズン、バルサ公式の配信によってこの極東の地からでも定期的にリーグ戦を視聴できたのは、バルサBとフベニールAのみであった。
フベニールB(U-18)以下の世代の試合は、不定期・短期間で行われるカップ戦なら大会側が配信してくれることがあった。だが、カテデAの貴重なカップ戦、2020年2月にカタールで開催されたAlkass Cupも、スペインU-16代表の活動期間と重なっていた。

結局、次にイリアスがプレーする姿を見ることができたのは2020年3月、カタルーニャU-16選抜での2試合になる。イリアスは左WGや右インテリオールで起用され、1ゴール1アシストを記録した。

この後、ご存じの通り新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、イリアスにとっての19-20シーズンは終了した。

「新たなメッシ」にあらず

2019年11月、カンテラ責任者だったクライファートが「新たなメッシはすでにラ・マシアにいる」とイリアスを評した。
とんでもない失言。
これを読んでくれている皆さんに強く警告しなければならない。「新たな○○」や「○○の後継者」といった表現は過剰な期待と重圧を生み出すだけである。禁句にするべきだ。
イリアスはイリアスであり、他の何者でもない。もちろん、全ての選手において同様である。

なんと、誕生日が…?

2020年2月、Barca Universalさんのイリアス紹介記事を読んでいて、ある一点が目に留まった。

Profileの1文目をそのまま抜粋しよう。「Ilias Akhomach Chakkour, of Moroccan family, was born on 16 April 2004 in Igualada, in the province of Barcelona.」
ん、16 April?誕生日同じじゃん。
衝撃である。運命である。

ということで、これから毎年4月16日に「今季のイリアス」を投稿していく。このイリアス生誕祭企画をいつまで継続できるかは分からない。もしかしたら、今よりはるかに多くなった世界中のファンと共にイリアスの誕生日を祝う年が来るかもしれないし、来ないかもしれない。

とりあえず、乞うご期待だ。

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