「秘湯温泉シリーズ」乳頭温泉パート3小説: 「乳頭温泉の秘湯で」
小説: 「乳頭温泉の秘湯で」
ノリとカロリーナは、秋田県の乳頭温泉郷を訪れていた。2人が宿泊したのは、静かな山間に佇む古風な宿。チェックインを済ませた後、温泉街で一番の秘湯と呼ばれる「隠れ湯」に向かう計画を立てていた。
「ここ、本当に秘湯だよね!」
カロリーナは笑顔で地図を見つめながら言った。そこには、小川を渡り、山道を進むルートが示されていた。
ノリは車椅子に座りながらも挑戦する気満々だ。「秘湯を見つける冒険なんて、楽しみだね。でも、無理は禁物だからね。」
宿のスタッフが準備してくれた山道用の小型車椅子を借り、2人は出発。途中、小鳥のさえずりや清流の音が響き渡る森を通り抜けると、カロリーナが急に立ち止まった。
「ノリ、見て!天然の湧き水だよ!」
カロリーナは近くの岩場から流れ出る清水を指さした。ノリも興味津々で、その冷たい水を手ですくい口に運ぶ。まるで自然の恵みそのもののような味に、2人は大笑いした。
やがて、隠れ湯にたどり着いた。湯けむりが立ち上る小さな露天風呂は、森の中にひっそりと佇み、まるで別世界のようだった。
「この景色、信じられないね。」
ノリが感嘆の声を漏らすと、カロリーナが頷きながら言った。
「ここまで来た甲斐があったよね。湯に浸かったら、疲れも吹き飛びそう!」
秘湯には車椅子のノリが安全に入浴できるよう、特別な椅子が用意されていた。スタッフの心配りに感謝しながら、ノリはゆっくりと湯に体を沈めた。温かい湯が全身を包み込む感覚に、思わず目を閉じる。
「カロリーナ、これが秘湯の力なんだね。なんだか心も癒されるよ。」
「うん、私も同じ気持ち!」
2人はその場でしばらく湯を楽しみながら、森の静寂と温泉のぬくもりに浸った。
2. 「もしもノリとカロリーナがバリアフリー対応の宿泊施設を利用したら」
宿に戻った2人は、バリアフリー対応の客室に案内された。広々とした室内には段差がなく、浴室には手すりが完備されていた。
「ノリ、これなら安心して使えるね!」
カロリーナは笑顔で言った。
その夜、夕食には地元の郷土料理が並んだ。きりたんぽ鍋、山菜の天ぷら、新鮮な川魚の塩焼き…。カロリーナは目を輝かせながら、「これ全部おいしい!」と箸を進める。ノリも、「このきりたんぽ、今まで食べた中で一番かも!」と喜んでいた。
翌朝、2人は宿の送迎車を利用して近隣の観光スポットへ向かった。そこで見た紅葉の美しさに、カロリーナは感動して写真を撮り続け、ノリはその光景をじっと目に焼き付けていた。
「こうやって一緒に旅ができるのって、本当に幸せだね。」
ノリの言葉に、カロリーナは優しく微笑んで頷いた。