「バリアフリー海外旅行シリーズ」スェーデン、パート1
スウェーデンのパーソナルアシスタント制度は、1994年に施行された「特定の機能障害者に対する支援とサービスに関する法律(LSS法)」によって確立されました。この制度は、障害を持つ人々が自立した生活を送るための支援を目的としています。
パーソナルアシスタントの概要
パーソナルアシスタントは、障害を持つ個人の日常生活を支援する役割を担います。具体的な支援内容は、利用者のニーズに応じて多岐にわたります。例えば、身体的なサポートやコミュニケーションの補助などが含まれます。この制度により、利用者は自宅での生活を維持し、社会参加を促進することが可能となります。
費用負担と支給
パーソナルアシスタントの費用は、支援時間に応じて異なる機関から支給されます。週20時間未満の支援が必要な場合、費用はコミューン(地方自治体)から支給されます。一方、週20時間以上の支援が必要な場合、費用は国家の社会保険局から支給されます。このような仕組みにより、重度の障害を持つ人々でも、必要な支援を受けながら自立した生活を送ることが可能となっています。 
パーソナルアシスタントの雇用形態
利用者は、パーソナルアシスタントを自ら雇用することができます。これにより、家族や親しい人をアシスタントとして雇用することも可能です。また、利用者が共同で組織を設立し、アシスタントの雇用や運営を行うケースもあります。このような共同組合方式の団体は、利用者の自己決定権を尊重し、より柔軟な支援体制を築くことを目的としています。 
パーソナルアシスタントの労働条件
パーソナルアシスタントの労働条件は、LSS法および労働協約によって定められています。2018年3月時点で、95%のパーソナルアシスタントが労働協約の対象となっており、使用者は労働組合「コミュナール(Kommunal)」と複数の労働協約を締結しています。 
パーソナルアシスタントの資格要件
パーソナルアシスタントになるための特定の学歴や資格は必要ありません。重要なのは、利用者のニーズに適したスキルや特性を持っていることです。例えば、車の運転免許やパソコンの知識、調理の技術など、利用者の生活をサポートするために必要な能力が求められます。 
パーソナルアシスタント制度の影響
この制度の導入により、重度の障害を持つ人々がグループホームではなく、自宅での生活を選択するケースが増加しています。パーソナルアシスタントの支援を受けることで、利用者は自分の生活を自分で決定し、より自由で自立した生活を送ることが可能となっています。 
STIL(Stockholm Cooperative for Independent Living)について
STILは、スウェーデンにおけるパーソナルアシスタントの提供団体の一つであり、インディペンデント・リビング運動を推進しています。しかし、スウェーデンには他にも数百の組合や会社がパーソナルアシスタントを派遣しており、STILが唯一の団体というわけではありません。 
スウェーデンのパーソナルアシスタント制度は、障害を持つ人々の自立と社会参加を支援する重要な仕組みとして機能しています。利用者のニーズに応じた柔軟な支援体制が整備されており、個々の生活の質の向上に寄与しています。
「障害者の海外旅行ガイド: バリアフリー旅行ガイドベスト16」