見出し画像

「みんなで一緒に学びたい 包括的性教育」講座レポート

こんにちは。「スクエア+」編集部です。東京都清瀬市より、ジェンダー平等に関する情報を発信しています。

▼市民による編集委員が試行錯誤しながら制作中!スクエア+についてくわしくはこちら

「包括的性教育」という概念をご存知でしょうか?

アイレック(清瀬市男女共同参画センター)は、NPO法人きよせラボと協力し、連続講座「みんなで一緒に学びたい 包括的性教育~今改めて『性=生』~」を開催しました。

第1回「包括的性教育ってなぁに?」について、どんな様子だったのかお届けします。


講師は、ココロイキプロジェクトさん

今回の講座は、2024年11月から12月にかけて実施されました。
講座の案内文を見てみると…

「パパ・ママ、祖父母も、子どもに関わる方、みんなで一緒に学びましょう。包括的性教育とは、『からだ・こころ・人との関わり』をテーマに性を幅広く捉えるライフスキル教育です。子どもへ伝える前に、今改めて大人が学びませんか。」

第1回は、「包括的性教育ってなぁに?」
第2回は、「10歳までに伝えたい性教育」
第3回は、「思春期の性とSNS」がテーマです。

講師は、NPO法人きよせラボの性教育チーム「ココロイキプロジェクト」さん。2021年、自主企画の講座から活動を始められ、以来、市内外の小中学校の出前授業や、学童・児童養護施設等の研修を実施しています。2023年度は子ども約1800名、大人約390名が受講したそうです。

講座のチラシ

「性」ってなんのこと?

第1回「包括的性教育ってなぁに?」はオンラインと会場のハイブリッド形式で行われました。

講座は、参加者の自己紹介からスタート。そして、講師から質問が出されました。

「あなたが受けてきた性教育は?」

私が遠い記憶を掘り起こしてみると…男女が分かれて受けたような…ぼんやりした記憶があります。でも性教育って何のことだっけ…?というのが正直なところ。皆さんはどうですか? 

今回のテーマである「包括的性教育」は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が発行する「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に基づくものです。このガイダンスは、世界的に性教育のスタンダードとなっている手引きで、5歳からできる包括的性教育が書かれています。日本は国として取り入れているわけではありませんが、日本語訳は発行されていて、書店での購入も可能です。

ココロイキプロジェクトさんからはさらに、

「そもそも『性』とはなんでしょうか?」

という問いかけが。これまでの性教育からイメージすると、生殖や体の発達でしょうか?

でも、包括的性教育に含まれるのは、それだけではないそうです。

性別や性の健康、安全と暴力、人間関係、幸せ、ジェンダーも、包括的性教育に含まれるテーマ。

・「性」は生まれてから死ぬまで、すべての人にかかわる。
・男の子も女の子も関係なく、「自分の体を大切にする」こと。
・心と体の健康を知り、自分も相手も大切にできるようになるライフスキル教育が、包括的性教育。

思っていた以上に広い概念で、これを聞くと5歳からというのも納得です。まだ日本には浸透し始めたばかりかもしれませんが、大切な考え方であることがわかりました。

『国際セクシュアリティ教育ガイダンス【改訂版】-科学的根拠に基づいたアプローチ』明石書店

性を「肯定的」に「科学的」に。「多様性」を理解し、「一緒に」学ぼう

では、どうやって学び、伝えていくのでしょうか?
ココロイキプロジェクトさんが大切だと考えている、4つの視点が紹介されました。

1)性を肯定的にとらえる:いやらしいものととらえるのではなく、肯定的に
2)性を科学的にみる:仕組みと事実を淡々と伝える
3)性の多様性を理解する:いろんな多様性を人は持っているという前提を
4)一緒に学び広げよう:大人もゼロからのスタート。一緒に学んで広げよう

さらにココロイキプロジェクトさんが掲げる包括的性教育の7つのコンセプト、「こころ」「からだ」「家族」「人とのかかわり」「幸せ」「健康」「人権・ジェンダー」について、ポイントとなる考え方が紹介されました。

ココロイキプロジェクトさんでは、7つのコンセプトについて、「スパイラルの教育」を行っているといいます。スパイラル(らせん)が意味するのは、一つひとつを学びながら”らせん階段”を上るように、年齢や発達に応じて、同じテーマ(コンセプト)の学習内容がステップアップするということです。

だれにでもある「境界線」を大切に

講座の最後は、境界線(バウンダリー)の話に。

誰かに何かを言われたりしてモヤモヤしたら、「境界線」を侵入されているのかもしれません。当日のワークを通じて、「境界線」は人それぞれ!と実感しました。

そして、同意をとることの大切さの話も。

・赤ちゃんにも、「おふろに入るからお洋服脱ごうね」と話しかけながら、同意をとる
・「性的同意」は重要だが、生活の中で同意をとってもらった経験がなければ、いきなり性的同意といっても難しい

参加者からも、質問や経験の共有がたくさんあって、時間が足りなくなるほど。充実した講座でした。

私は「教育」というと「子どものため」のようなイメージが付きまとっていたのですが、包括的性教育を受けてこなかった大人にも必要な学びかも…と思いました。自分の心と体を大切にすること、そして他者の心と体を大切にすることは、どの世代にとっても大切なスキルのはず。講座のタイトルに「みんなで一緒に学びたい」とあった通りですね。引き続き学びを深めてみたいと思いました。

いいなと思ったら応援しよう!