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EBMポートフォリオのコツ

暑くなったり雨が降ったり忙しい夏がやってきましたね。
今回はオンラインメンタリングで話題になった「EBM」について取り上げてみようと思います。

EBMとはEvidence Based Medicineの略称です。ざっくり説明すれば「日頃の診療にきちんと科学的な裏付けを持って行えているか?」っていう概念だったり検証するステップだったりを指しています。
新家庭医療専門医のポートフォリオとしてEBMの実践が求められており、総合診療医だからこそ科学的な根拠を自分で調べる・調べた内容をきちんと吟味する能力が求められているんだと私たちは解釈しています。

EBMポートフォリオはこんな内容が求められています。
「エビデンスを調べる必要性が高い症例に対し、妥当な形での疑問の定式化、エビデンスの系統的収集とその比較検討を含めた批判的吟味、患者への適用、 全ステップの評価を行っている。」
(2022ルーブリックの優評価より)
この1文からEBMポートフォリオに取り掛かるためのコツを紐解いていきましょう。

①エビデンスを調べる必要性が高い


臨床現場で「あれ?これってこの薬でいいんだっけ?この治療法でいいんだっけ?」と手が止まる時は、2つの可能性があります。
1つは自分の知識不足。これは単純にインプットすれば解決することがしばしばです。
もう1つは、インプットした知識でうまく解決できない場合です。
「ガイドラインで書いてある治療法が、この患者さんでは年齢の部分がうまくあわないな……」とか、
「UpToDateの推奨を見ても患者さんに使える情報が入っていないぞ?」とか、
「ガイドライン見てみたけど、最新版が10年前で止まっている。大丈夫かな……」とか、既存の資料でうまくカバーできない状況に私たちはしばしば遭遇します。
この後者に遭遇した時、ぜひEBMチャンス!と捉え直してください。
ガイドラインやUpToDateなど使いやすくまとまっている2次資料で解決できない疑問に遭遇した時にどう解決するか? 
これが俗に言うEBMの5Stepを実践する時だからです。

②エビデンスの系統的収集


次のハードルは「論文検索できない」ではないでしょうか。
Pubmedの存在は知っていても、あまり触り慣れていない人も多い印象を受けます。
だって英語だし、図書館と契約していないから読めない文献も多いし、なかなか時間もないし……。

このハードルをできるだけ小さくしてくれるのが、翻訳ソフトです。DeepL翻訳・google翻訳をお使いのブラウザに入れておくだけで、ワンクリックで日本語変換された内容を閲覧することができます。
また、Pubmedの設定でfree articleだけを読める状態にしておけば、どの記事も全文読める状態で検索することができます。

しかし、ハードルをできるだけ小さくしてもどこかでジャンプに挑戦する必要はあるでしょう。
気になった時にPubmedを触ってみる・検索してみるところから、少しずつ慣れる時間を作ってみるのが1番かもしれませんね(ポートフォリオに切羽詰まる前から!)。

③患者への適応


2次資料も検索し、Pubmedを使って論文も調べ、情報が一通り揃ったとします。
さまざま調べたので、きっとあなたは自信満々な状態で薬や治療法の選択ができるようになっているかと思います。
ここでもう一度冷静に見直すことをルーブリックは私たちに要求しています。どういうことでしょう?

最初に生まれた疑問から検索を繰り返すうちに、調べた内容が最初の疑問と少し離れてしまうこともしばしばあります。
最も大事なのは「目の前の患者さんに最適なのは何か?」という、実臨床への落とし込みですよね。
調べた内容をそのまま目の前の患者さんに適応していいのかどうか・本当に調べた内容と実臨床の状況があっているのか、適応のステップこそじっくり考えなければなりません。
適応を考えた結果、一周回って対応に変化なし!という場合も中にはあります。それはそれでいいんです。大事なことはエビデンスを元に検討した過程を踏んでいることですから。

こういった過程を踏んで目の前の患者さんにどう適応したのか?と言う過程をポートフォリオで記載することをルーブリックは求めているように読み取れます。
慣れない作業はいつだってハードルが高く見えますが、繰り返しジャンプしていると気づいたら飛べるようになっているものです。実臨床に最新のエビデンスに基づいた医療を提供できるよう、日々挑戦していけるといいですね。

私たちの活動に興味を持って頂いた方や詳しく話を聞いてみたい方は、ぜひご一報ください!
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