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ikuyori
2016年7月29日 22:42
夏、久しぶりに里帰りした楓が、若い男を連れてきた。 メガネをかけ、いかにも知的な印象を与えるそいつは、見た目通りの優男だった。夕食の間も始終笑顔で、楓や母親と一緒に談笑をしていた。なよなよ笑うそいつのどこがいいのか、わしにはさっぱりだったが、どうやら楓はそんなところが気に入ったらしい。そいつが笑うと、楓の顔もつられて笑顔になっていた。母親にもすぐ受け入れられたそいつを見て、なんだかおもしろくな
2016年7月24日 20:55
少年は、一人でずっと待っていた。 街のはずれに作られた緑地公園。その中に設けられた池のほとり、遊歩道のわきに設けられた屋根のついた休憩所。そこが友達との待ち合わせ場所だった。 休憩所のベンチに腰掛けて、もうどれくらいたつのだろう。ここに来たときは降っていなかったのに、先ほどからさあさあと雨も降りだした。傘を持っていない少年は、休憩所をでて友達を探しに行くこともできなかった。 いや、雨