スクラッチが100%アタル高1少年 〜かなりギリギリ話〜
私が、宝くじ売り場でアルバイトをしていた時の秘密話。
インチキくさい宝くじアタルヨ話じゃなくて、ほんとに公開ギリギリ編。
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誰だって必ず当たる?
商店街にポツンとある、小さな宝くじボックスで私はバイトをしていました。
そこには、自分でスクラッチを選ぶと100%当てるお客さんと、2分の1の確率で当てるお客さんがよく来ていたんです。
この二人には特徴があります。
ひとりは目を閉じる。
ひとりは目をしっかり開けている。
目を閉じて選ぶのは、20代後半に見える女性。
ほっぺたがいつもぽわっと天然で赤い、笑うと目が細くなって可愛いらしい人。
「並べて下さい」
彼女にそう言われて、私が5枚並べると、目を閉じてかなりの時間をかけ、手をかざします。
笑顔の優しい感じの彼女が、ちょっと眉間にシワを寄せて真剣に選んでいるのには(そんなにせんでも)と、思っていましたが、微笑ましくもありました。
「これで!」
そう言って選んだスクラッチは、アタリの時とはずれの時が半々。
「これを100%にするのが私の目標なの」
とのことでした。
「調子がいい時はアタリが出るの」
という、あまり根拠のない説明だが、お客さんの中では、当たる確率が高い方ではありました。
もうひとりは、並べて選ぶと
100%
当てるお客さん。
良く言えばひとなつっこい、ちょっと早口で馴れ馴れしく、色白で眉毛が濃くて、いかにも成績が良さそうな高校1年生の男の子。
学校帰りだったり、おそらく授業をさぼってたりしては、お店にやってきて「クラッチを自分で選びたい」といつも言います。
5枚並べると……
「この中にアタリはない。かえて」
言われた通り別の5枚を並べると、彼は2秒ぐらいスクラッチを見て、一枚スッと自分のほうに引き寄せます。
「次の出して」
削らないうちからそう言って、また5枚の中から選びます。
「これ」
そう言って、バンバン引いたのが10枚になると、削り始めるのです。
「アタリ、はい、これもアタリ、やっぱこれもアタリ、うん、絶対アタリ。こんなん誰だってあたるわあ」
ひとりでぶつぶつ言いながら、削っていくスクラッチは本当にぜんぶアタリ。
最初にこの様子を見た時は、衝撃。
「超能力?」
思わず話しかけてしまいました。
こんな単純なことでアタリがわかる!?
話しかけたことをきっかけに、彼は、学校に行きたくないこと、親がうるさいこと、早く家を出たいことなどをつるつると話してくれました。
その内容はとても普通の高校生と言った感じです。
でも……当てまくる……。
「べつに超能力なんてないよ。そんなのあってもあんま意味なくない? はー、200円かー、あ、これ1000円だ。1等出ないかなあ」
そう言いながら、手元のスクラッチを削ってはアタリを見せてくる彼が不思議で仕方がない。
理由を訊いても教えてくれないのです。
「おねえさん、お店の人なのに本当に知らないの? とぼけてるわけじゃなくて?」
彼が通い始めてから1ヶ月ぐらい経ったある日、向こうのほうが不思議そうに言いました。
「いや、そんなのわかったら誰だって宝くじ当たるよ。君、ほんと不思議」
私が言うと、なぜか爆笑。
「おねえさんのが不思議だわ。学校さぼってきたでしょとか、部活はやってないのとか、ぜんぜんきいてこないじゃん。大人のくせに」
「君が学校さぼったって、私困んないもん」
「うける! てか俺、もしかしたら、もうほとんど来なくなるかもだから、なんで当たるか教えるわ」
そう言って、彼は本当に当て方を教えてくれたのです。
実際、彼に言われたとおりにすると必ずアタリ。
確かに超能力でもなんでもなくて、かなり単純なことで当てられるということがわかりました。
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