Old School,Respect,Fresh
茅葺きに出逢う前の、僕がまだ10代の頃にHipHopに傾倒し、
趣味レベルですがDJを20代の前半くらいまでしていたりしました。
僕たちの先輩世代がPunk Rockを聴いていたように、
僕たち世代の社会に不満のある若者の、有り余るエナジーの受け入れ先のひとつを、当時のHipHopが担っていたように思います。
初めてクラブに行った夜の、鼓膜では無く皮膚で感じる爆音やタバコの匂い、呪文の様なRapや、音と共に縦に揺れる Heads達、薄暗く熱気が満ちた濃密な空間体験は、今でも身体がしっかりと覚えています。
そんな青春の一部を捧げたHipHopから学んだ、
『Old School』と『Respect』と『Fresh』という3つの考え方があります。
HipHopが登場した頃の楽曲は、サンプリングという手法を用いて、
昔のRockやJazz、R&BやSoulといったHipHop以前の優れた楽曲のフレーズのある部分を切り取り、それを機械で繰り返したりしながら、
そこに太めのドラム音を乗せていき、さらにRapを合わせて楽曲を作ります。
HipHopの出自が、アメリカの不良達のコミュニティから生まれているのもあり、
そういう風に堂々と全力で他人のクリエイティビティに乗っかりながら、
音をコラージュするように楽曲を作っていくので、
大前提としてネタとなるHipHop以前の楽曲(Old School)無しには成り立ちません。
そしてもうひとつ大切な事が、そのHipHop以前の楽曲に対して敬意(Respect)
をもってサンプリングしないと、ただの作品の盗用のようになってしまい、
作られる楽曲に説得力が生まれません。これは和歌の本歌取りに似ています。
上の句を戴いたらオリジナルに迫る程か、それを超えるほどの下の句を用意出来ないと意味がない。
そして、OldschoolをRespectを持って扱った先に作られるものは、
常にその時代にしか生まれないような新鮮(Fresh)さを持っていなければならない。
このOldschoolとRespectとFreshという考え方は、茅葺き職人になった今でも僕のひとつの原動力になっています。
先人が培ってきた技や慣習(Oldschool)を、敬意(Respect)を持って扱い、それに今という空気をいっぱいに孕ませて(Fresh)今を生きる人達に届ける。
僕がくさかんむりで取り組んでいる現代的な茅葺きは、実はHipHopのこんな考え方の元に発生しています。
もちろんこの考え方を元にDisrespectするや、一度全て忘れてみる事で生まれるものもあるので、絶対的な価値観というわけではありませんが、僕にとって守破離と同じくらい大切な人生の指標になっています。
No Doubt Indeed KUSAKANMURI
Peace!
相良育弥
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