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Love lift us up where we belong

※ユリxソヌ「愛と青春の旅だち」オマージュ編

ソヌは、ユリをこばみきれないまま、週末はどちらかの家ですごすという関係が続いていた。二人の関係は秘密のままだった。
ユリの黒い瞳にまじまじと見つめられると、抵抗できなくなるソヌだった。
ユリはソヌを満たすと同時に、奪いもした。それは自分も同じだった。
ソヌは、ユリの将来のためにも、自分はいつか消えなくてはいけないと思いこんでいた。

─ 将来ユリの隣に立つのは、自分ではない

それにソヌはまだユリが自分を愛しているとは信じられなかった。どちらかというと性的興味を持たれているだけだと。それを愛と勘違いしてるのではないかと疑っていた。

ユリが兵役に出たときが別れるチャンスだ。
ユリとの関係を清算するために、決断したのが3年前のことだった。
ユリが兵役にでると、ソヌは黙って教師をやめ、アパートも引き払った。
いまは誰も住んでいない祖母の家の近くに、小さなアパートを借り、近くの製紙工場でルーティンな仕事についている。工場はうるさいので、皆が耳栓をして皆黙々と仕事をしている。ソヌを気にかける人がいないことに、安らぎを感じていた。

休憩時間に、そっと見るのは、定期入れにはさんだユリの写真だ。
─ ごめんな。でもこれがお前のために一番いい選択だと信じてる。
 こうやって俺はまた写真を眺めて、思いをあいかわらず拗らせている。でも前と違うのは、ありのままの自分をさらけ出す相手がいたということだ。弱い自分も、ゲイであることも、全部わかってくれた人。

正直、兵役が終わった時に、ユリは自分を探してくれるかもしれないと淡い期待を持っていた。でも、そんな日は来なかった。
─ 俺はここで静かに骨を埋めるのかな…。

3年が過ぎて、ある朝、ソヌはコーヒーを飲みながら、テレビニュースを見ていて、驚いた。
「同性婚可決!」
ようやくこの国も同性婚が認められるようになったのか。
ふっと笑う。
─ いまさらだな。もう何もかも失ったっていうのに。

新聞をめくると、また吹き出しそうになる。
特集コラム「IT企業家 クオン・ユリ氏、インタビュー」
コラムに大きく写真が掲載されている。黒く大きな瞳、引き締まった体。
─ え? これユリ? おお、おお、兵役後に起業したのか。活躍してるんだな。もう俺には関係ないことだ。

ソヌは、ふっとため息をついた後、立ち上がり、カップを流しでさっと洗った。

ピンポーン♪

─ は? こんな時間に荷物でもきたのか?

ソヌがドアを開けると、そこには、懐かしい顔があった。さきほど新聞で見たばかりの…

「ユリ? ユリなのか? どうしてここが…?」

驚きすぎて声が続かない。

「先生、迎えにきましたよ! 今日のニュース見たでしょ」

「え?」

「俺と結婚してください」

「何をバカなこと言ってるんだよ? 兵役とっくに終わって、何してたの?」

「新聞は見てないですか? 俺は先生を迎える基盤をつくってたんですよ。不登校の子でも、リモートワークできる教育のシステムです。先生にもその事業を手伝ってもらいたいんです」

ユリはそういいながらソヌを抱き寄せた。

いつの間にか、ソヌの頬には涙がつたった。信じられない気持ちと、数年前と変わらない熱い黒い瞳が信じたい気持ちで、ごちゃごちゃになった。

ユリはソヌを抱きしめながら、首筋にキスをした。

「待たせてごめんなさい。でも先生の状況はもう一年前から調べてたんだ。」

・・・ もうユリにはかなわない。顔を赤らめて、涙が止まらない。

ユリはソヌをぐいっと抱き上げると、持ってた白い帽子をかぶせた。

「これはいったい何のマネだ?」

「知らないの? ”愛と青春の旅だち”のラストシーンですよ」

「お前…バカじゃないの?!!」
ソヌは泣きながらユリの首に腕をからませた。

「ええ…そうですよ。先生にイカれたときから、もうずーととっくにバカです」

ソヌがYESと言うまで、キスの雨を降らし続けた。

fin

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