こっそりと後を追う
※高3受験生の郁ちゃんと大1の先輩。中距離恋愛中。
翼:え? あれ? まさか、小泉?
飲み会帰りの駅へ向かう道、小泉とよく似た後ろ姿の男を見つけた。
大きな背中。飛び跳ねたモスグリーンの髪。
しかも、隣に女の人がいる。
─ え??
腕組んでないか?
─ 嘘だろ。人違いだよ。こんなところにいるはずないだろ。
それでも確かめたくて、あとを追う。
─ うーん。ちょっと横向かないかな?
薄暗くて顔がよく見えない。
─ あ、まがっちゃう。
しばらくあとをつけて、曲がったときの横顔がちらっと見えた。
─ ふー。違かった。
まだ胸がドキドキしている。一瞬血の気が引いた。
小泉じゃないとわかっていても、もしかしたらと思った。信じてないわけじゃないのに、離れていると不安になってたのか。
こんなこと初めてだ。
小泉は、会えばいつも100%の気持ちをぶつけてくるから、疑う余地がない。
でも、ちょっと会わないと、こんなふうに隙間ができるのか・・・。
会いたいな。
あとでちょっとだけLINEしてみよ。
似てるやつを追いかけたのは、ないしょだ。
---fin
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