初めてのひと
※婉曲なBLいちゃつき表現があります。苦手な方はまわれ右をお願いします。
先輩「お前、ほんとに初めてなのか?」
─ ああ、その質問、何度すれば気が済むんだろう
先日のバレンタイン・デーに、俺らはやっと結ばれた。
と言っても、相変わらず、実験みたいなムードのなさで、ギャーギャー言って終わったような気がする。
俺としてはもっと大事に、優しく、甘いムードの中で繋がりたいのに、全く先輩ときたら。
俺はもう、先輩の顔を5秒以上見つめちゃうと勃っちゃう身体だから、いろいろ辛い。
一緒に住んでいても、ゆっくり過ごせる日は限られている。
つい、ガツガツ求めてしまう。
先輩を満足させたい。
これが次の目標だ。
ネットで調べたり、BL漫画読んだりして研究してる。
でも、先輩のあの性格をその気にさせるのは、難易度が高い。
今夜こそ!
シャワーを浴びてでてくると、先輩はベッドの上で本を読んでた。
─「何を読んでるんですか?」
先輩「旅行ガイド。今年の夏休みの計画だよ」
本を覗き込むフリをしながら、先輩の肩を抱く。髪に触れる。
チラッと先輩が俺を見る。
嫌じゃないかな?
チュッ。頬にキス。
─「いいですか?」
コクっとうなずく耳が赤い。かわいい、、、。
まずはキスでトロトロにしてやる、、、。
熱く舌を絡ませると、身体が柔らかくなってきた。素肌をまさぐり、優しく撫でていく。
─ 「先輩、今日はそのまま座っていて」
全身赤くしたまま、「なぜ?」と目で訴えてくる。
黙ってひざまづいて、先輩のジュニアを愛撫する。
先輩「ちょっ待て!」
もう、待たない。優しくしてるし、お預けの犬はやだ。
俺の頭をグイグイ押しやるから、ここが勝負だ。
─ 「好きだから、先輩にも気持ち良くなってほしい」
─ 「それがダメなことなの?」
トマトみたいに全身真っ赤で、食べちゃいたいくらい愛おしい。
先輩「怖くて、、、」
先輩「お前、ほんとに初めてなのか?」
自分の中で、何かが「ブツッ」と切れた。
─ 「いい加減にしてくださいよ!」
─ 「先輩とじゃなくて誰とするっていうんですか?」
先輩「、、、」
押し黙った先輩は、少し考えてるようだった。
先輩(誰とって。えっ? 誰かと? 俺じゃない誰かと郁が?)
先輩が俺の顔を見る。
泣きそうな顔になってる。
先輩「ごめんな」
先輩「好きにして」
先輩「お前の前では、正直でいたい」
先輩は、俺をやさしくハグした。
耳元でささやく。
─ 「俺はとっくに、最初から最後まで全部、先輩のものですよ」
俺はそっと手を伸ばした。
fin
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