日本の夜明け
10年ほどひと昔前、内向き思考な日本人の若者の未来が嘆かれ、資本主義を前提とした国際経済力/競争力の重要性が日本中で叫ばれていました。
さらに昔、戦後の日本においては、国内の経済復興からバブル時代までのイケイケドンドンな「作れば売れる」「働けば稼げる」「24時間働けますか?」の時代がありました。
そして2020年。
SDG’sよろしく、ソーシャルグッドを推進する世界の動きに迎合しつつ、日本企業においても、CSRからCSV(Creating Shared Value)といったような、社会価値創出の重要性が叫ばれはじめました。
物心の豊かさが高いレベルで実現した昨今、モノやサービスの機能・品質はすでに飽和状態。
貧しい時代に比べれば、すでに求めるものはなくなっているようにも思えます。
そもそも社会価値とは一体なんでしょうか?
そもそも企業における経済活動は、社会価値を創出するものではなかったのでしょうか?
なぜ日本企業は今さら、あえて「社会価値」を声高に宣言するのでしょうか?
そしてその、「社会価値創出」という文脈において、日本人のポジションはどこにあるのでしょうか?
近年世界中の若者と接してきた僕が考える結論から言うと、企業がわざわざ「社会価値創出」を提唱せずとも、日本/日本人の未来は明るい。
と考えています。
世界のビジネスの潮流を追ってみると、
「ロジカルシンキング」(論理的思考)から、共感をベースにイノベーションを起こす「デザイン思考」、そして、社会課題に対する自らの実現欲求を起点にイノベーションを起こす「アート思考」へと、世間の人々の意識に追随しながら変化してきた歴史があります。
昨今の世界のビジネスでは、”Art in Business”(ビジネスにアートを取り入れる)、”Business as Art”(アートとしてのビジネス)といった概念がポピュラーになってきています。
かつて良きとされていた「お金持ちになりたい」「出世したい」といった、利己的なモチベーションはもはや古いものとなり、昨今は優秀な若者ほど「誰かの役に立ちたい」「困っている人を助けたい」という利他的なモチベーション起点にシフトしています。
この文脈において、日本人が従来もつ、「責任感」「調和」「いたわり」といった精神的特徴は、大きな価値を創出する要素/新たな時代の国際競争力として大いに役立つものと僕は確信しています。
経済成長が著しいアジア以東諸国の多くの若者が未だに利己的なモチベーションを起点に労働に奮起するなかで、2011年の震災以降特に、ボランティアやソーシャルイノベーションに興味を持つ若者が増えた日本は、決して世界から遅れているとは、僕は思えないからです。
実際に、海外で成果を上げる日本人社会起業家も増えてきています。
世界を苦しめるコロナ禍が明ければ、おそらく新しい時代がやってくるはず。
そのアフターコロナの時代に、僕たちは新たな時代を担う重要な武器を持っていることに気付き始めるのではないかと思っています。
世界が豊かになり、人々の価値観のパラダイムが変わった今、日本人お得意の自虐謙遜思考を一旦脇に置き、日本人の可能性についてポジティブな未来予想図を描いてみるのはどうでしょうか?
本年も大変お世話になりました。
皆様どうぞ良いお年をお迎えください。