見出し画像

世にも奇妙なインハウスWebデザイナーのお仕事

こんにちは、インハウスWebデザイナーのいくらです。インハウスの仕事に移って早10年、今の会社に入社した当時は、世にも奇妙なお仕事がたくさんありました。今日はそんなお話。


インハウスWebデザイナーとは

会社内で自社Webサイトの制作・運用を担当する社内デザイナーを「インハウスWebデザイナー」といいます。デザインだけが業務ではないため「インハウスWeb担当」という場合もあります。

SEOに関する果てしなく地道なお仕事

SEO対策、大事ですよね。SEOといえば重要な指標のキーワード検索順位。すでに退職している前任者から引き継いだお仕事として
「毎日毎朝、キーワードリストを見ながら1つ1つ検索エンジンにキーワードを入力して順位をチェックしてExcelに記録していく」
というお仕事がありました。
私より先に入社していた派遣Web担当の方がそれを淡々とこなしており、作成したリストは毎月規定のフォルダに格納して月に1度上司に共有されていました。そして、上司はそれを見る気配はありません。

・・・。

「やってられーーーーん!!」
見るに見かねて「自動検索順位チェックツール」の導入を提案。たった年1万円そこそこで、これによってどれだけ人的リソースを削減できるか算出し資料を添付して稟議をだし、承認を得るのに1ヶ月かかりました。

イニシエの自社メディアサイト定期更新

昨今はBtoCビジネスではもちろん、BtoBビジネスでもオウンドメディアを持ち定期的にコンテンツを配信してますよね。当社でも複数のメディアサイトを運用しています。記事更新はインハウスWeb担当の重要なお仕事です。前任者から引き継いだ手順はこう。

ライターから原稿をもらって、記事のカテゴリーに適したディレクトリにある前回記事のhtmlファイルをクローンして、エディタで開きテキストを流し込む。写真は適切リサイズして、html内にimgタグで記述。ページタイトルとmeta情報も適宜入力。
それからカテゴリートップページの記事一覧に記事を追加し、サイトトップページindexファイルの新着記事一覧にも記事リンクを追加。そうそう、アイキャッチ用の画像もリサイズして用意を忘れないように。公開日にはFTPでサーバーに繋ぎ手作業で関連ファイルをアップロード。
え?レスポンシブ?対応してないっすね。

Photo by GROK

・・・まてまてまて。
世の中にはCMSという便利なツールがあってだな。
え?システム制作を外注する予算がない?
こんなんWordPressと既成テーマでまずは充分でしょ。レスポンシブ化も同時に実現できるしメリットしかない。1日あれば作れますけど。
イニシエの更新作業に耐えかねてCMS化の企画提案書を作って周りと上司を説得し、有料テーマ購入費用3万円だけなんとか稟議承認をもぎ取り、他の仕事と並行して短期間でサイトをリニューアル。
それから5年、今では記事更新をライター自身にやってもらって無駄な工数削減、効率化。アクセスも拡大。

Adobeが起動しない事務用パソコン

入社当日、ちゃんと自分専用のパソコンが完璧にセットアップされて用意されていました。情報システム部門で用意してくれたそうです。
しばらくしてデザイン業務が始まると、んん?Adobeの起動が遅いなぁ。あれ、イラレとフォトショが同時にたちあがらない?スペックどうなってる?メモリ4GB?インテルコアi3??
ぅおい!!そんな事務用マシンによくAdobeをぶっこんだな!
作業してても動かずイライライライライライラ・・・。
無理。
という事で、状況を丁寧に説明してこれまた稟議承認をもぎ取りハイスペックマシンに変えてもらったのは入社半年後でした。

だから、インハウスは楽しい

例えるなら荒野をクワ一本で開拓していく、そんなスタートだった中小企業のインハウスWebデザイナーのお仕事。

Photo by GROK

変な業務やWebサイトがすでにある状態なので、ゼロどころかマイナスからの出発ですが、なんにも完成してないから、可能性しかない。
この状況を諦めるでなく、嘆くでもなく、現状を開拓すべく周りに働きかけ自分の好きなように構築していく。それがインハウスWebデザイナーのやりがいでもあり、生き方なのである。


いいなと思ったら応援しよう!