ブルーロックにおける天才とはなんなのか
ブルーロック最新話277話「天才と秀才」、コレを見ている方はもう読んだだろうか。
今回のタイトルと内容が、個人的にかなり興味深いものであったため、コレを書くに至っている。
最新話の内容自体のネタバレは極力少なくして、単行本の内容の振り返りが中心ではあるのだが、気になる方は読んでからの方がいいと思う。
ブルーロック本誌最新話までの内容、エピ凪本誌最新話までの内容が含まれるので、単行本派の方は注意。
前置きとして私は、ブルーロックの好きなところを挙げるならその一つに「マンガ内における言葉の定義が明確であること」が挙がる。
「」や〝〟、『』の使い方も細かく分けられており、言葉一つにしてもそれを考えていく楽しさがブルーロックにはある。
だからこそ、今回は天才について考えていきたい。
今回更新された最新話のタイトルは「天才と秀才」だが、果たしてブルーロックにおける天才と秀才とはなんなのだろうか。
まずはGoogle検索を頼りに、本来の意味としての天才を見てみることにする。
なるほど。
天才に関しては、概ねその通りの意味合いで使われていると思う。
それを解説するために、ブルーロック作中で、天才と呼ばれた人物を1人ずつ見ていきたい。
天才と呼ばれた人物
①糸師冴
初めて作中で天才という言葉を使われたのが、糸師冴である。
コレを書くために天才と言う単語が出てくる度にスクショしていたのだが、冴に関してはあまりにも天才と呼ばれ過ぎていて(特に愛空が「天才ちゃん」と呼ぶため)、途中で放棄した。
本当に多かった。
そのくらい、冴を語る時には天才の単語が付いてくる。
それと同じく、凛を語るとなると天才の弟という肩書きが付いてまわるのだが。
8歳時点で冴は天才であったことが分かる。
②千切豹馬
次に天才という言葉が使われたのが個人的には意外だったのだが、千切であった。
厳密に言うと、天才と呼ばれたのは怪我をする前の頃の千切を指してであり、ブルーロックに来てからの千切は天才とは呼ばれていない。
千切の天才性に関しては特殊な筋肉のつき方をしているからこそスプリント能力があったというところに尽きるだろう。
まさに先天性のものである。
③凪誠士郎
サッカーどころかスポーツさえしたことのなかった凪こそ、天性の才能があったことが分かる最たる例なのではないだろうか。
初めて凪がブルーロック作中で天才と呼ばれたシーンはこちら。
怒られである。
ちなみになのだが、ブルーロック作中で玲王が凪を天才と呼んだのは一度だけである。
EPISODE凪の中では、凪へ天才とよく言っているのだが本編ではこのシーンのみであった。
……ほんまか??
見落としがあったら誰か教えてください。
また御影玲王に関しては、ブルーロック内では優秀とは言われても天才と呼ばれておらず、EPISODE凪で舐岡から天才と呼ばれた以外では誰も天才とは言っていない。
やはり天才である条件として、突出した才能があることは重要なことなのかもしれない。
④馬狼照英
次の天才は馬狼である。
馬狼とは一次選考で当たったものの、天才と呼ばれたのはこの奪敵決戦で成早が言ったのが初めてである。
この後、潔も馬狼を天才と認識しているシーンがあるのだが、馬狼の天才性に関しても詳しく説明してくれている。
一生努力しても手に入れられない能力、馬狼を王様にする唯一無二の才能のことである。
この〝天才〟について。
これまで見てきた人物の中でこの天才だけ、〝天才〟となっている。
コレに関しては後述したいため、一度保留。
馬狼の才能は、スナッフィーの発言から先天性の才能であることも分かる。
⑤潔世一
我らが主人公、潔世一もまた、天才と呼ばれたことが一度だけある。
しかし、他の天才が先天的な才能の持ち主であるのとは異なり、潔の『適応能力』の天才とは先天的なものというよりは〝青い監獄〟で強者と相対することで芽生えた力であるように思う。
天才と呼ばれた人物の中でも、潔は異質の天才であり、その根幹は秀才なのではないか。
ここは後述、秀才についてで触れていく。
⑥糸師凛
冴の天才から来る天才の弟とは別で、凛自身も天才と呼ばれる。
〝青い監獄〟No. 1の実力者である凛も、冴と同じで努力するタイプの天才のため、先天的な才能が明確にどこか明記するのは非常に難しい。
⑦士道龍聖
七星、五十嵐から凛と並列し天才と言われたのが士道である。No.2の実力は伊達じゃない。
でも天才より悪魔の方がしっくりくるのは、素行が悪い悪魔と呼ばれることの方が多いからだろう。
⑧オリヴァ・愛空
U-20日本代表の主将である愛空もまた、恵まれた体格という先天性の武器を持った天才である。
⑨ミヒャエル・カイザー
カイザーを天才たらしめる1番のものは、やはり彼の唯一無二の武器、皇帝衝撃波だろう。
カイザーは冴と同じく新世代世界11傑に選ばれており、恐らくメディアからも天才と認識されている可能性が高く、その為か多方面から天才と呼ばれている。
⑩ノエル・ノア
潔の憧れる世界一のストライカー、ノエル・ノアもまた、天才である。
その天才性は、『両利き』という天賦の才である。
⑪氷織羊
氷織羊は、先輩である烏旅人からユース時代に天才と評されている。
氷織もまた、先天性の才能、持って生まれた身体能力があることが烏の言葉から分かる。
キックセンスがエロいらしいことも分かる。
⑫ミック・ムーン
イタリアの指導者であるスナッフィーの親友、ミック・ムーンは、自身のことを神に選ばれた天才と言っている。
彼の天才性の詳細は不明ではあるが、恐らく速さを武器にプレーしていたのではないだろうか。
スナッフィーと共にヨーロッパ5大リーグの一つを優勝していることもあり、相当な実力者だったことがうかがえる。
コマ選びが最悪なのは、このコマしか天才と書かれているコマがなかったからである。泣いた。
⑬シャルル・シュヴァリエ
勉強のため、シャルルを〝青い監獄〟に連れてきたロキから天才的なパスセンスと言われている。
シャルルは15歳の大会最年少パサーでありながら、超越視界を持った人物でもある。
さて、枚挙出来たのでここまで見てきた天才たちの共通点を考える。
天才とは、突出した生まれ持った才能を持つ人物、他者に真似出来ない唯一無二の武器を持っている人物のことを指すのではないだろうか。
しかし、ブルーロックの総指揮である絵心が定義する〝天才〟はまた違うのである。
次はそれを見ていこうと思う。
絵心の定義する〝天才〟とはなにか
コレに関しては、それはもう分かりやすく絵心本人が説明してくれているだが、そもそもの話がある。
天才と呼ばれた人物たちの天才性に、私は持って生まれた才能だとか身体能力だとかを上げてきたのだが、あっさり絵心に否定されるわけである。
凡人の苦労なんてそんなものである。
絵心の答えとしてはこうだ。
絵心の言う天才とは「己の能力を世界に証明する人間」。
つまるところ、持つだけでは意味がなく、それを世界に知らしめてこそ天才というところだろうか。
実はコレは、EPISODE凪の冒頭にも似ている。
世界に証明しなければ、見つける者がいなければ、天才とは言えない。
絵心の定義する〝天才〟はそういうものなのだと思う。
だからこそ、潔が馬狼に思ったもったいない〝天才〟というのは、能力がありながらその力を十分に証明出来ていない状態を指しているのではないだろうか。
ちなみに、この〝天才〟については他にEPISODE凪25話「利害関係」で、烏が凪へ使っている。
先制点を奪り、自身の才能を自覚して「サッカーの天才?」と呟いた凪に対し、点を奪い返した後烏が告げたセリフなのだが、まだ凪は己の能力を証明するには至れていないということなのかもしれない。
秀才について
最後に、秀才について考える。
まず天才同様、Google先生に聞くことから始める。
辞書的な意味で言うならこの通りなのだが、秀才における学問的才能とはなんなのか。
ここからは私の考えにはなるが、学問的才能とは所謂学ぶ力のことではないかと思う。
例えば、一つの物事から、1を学ぶ人間がいれば100を学ぶ人間がいる。この100を学ぶ人間を、謂わば学問的才能のある人間というのではないか。
そう考えると、〝青い監獄〟で己の常識を破壊し、その都度創造してきた潔は紛れもなく秀才側だ。
また、潔は〝勝つべくして勝ち奪る〟の体現者でもある。
己の武器を使うために、まず90分走り続けるための肉体作りを行ったりと、「勝つために何を行うべきか」という目標設定、目的設定が、恐らく飛び抜けて上手いのではないかと思う。
それは『FLOW』に入る条件にも通ずるものがあり、だからこそ試合ごとに潔は〝最高表現〟に至れるのではないか。
なので、潔は確かに『適応能力』の天才ではあるのだが、天才だから適応出来たわけではない。
適応出来たから天才なのだ。
故に、絵心の言う通り天才になろうとするのは、果たして目標設定として最適か?という疑問が生まれるのである。
来週の更新も、とても楽しみだ。
そしてここからは完全な余談。
烏旅人の「非凡」を天才の意として扱うかやや悩んで、やめた。
でも悩んだ結果スクショは撮っているので載せておくことにする。
①凛
②千切姉
天才の意ではない良い例である。
③氷織
④シャルル
⑤潔
凡から非凡になった潔。感動。
ちなみにエピ凪では乙夜のことも非凡と呼んだことがある。
一部例外はあったが、天才と呼ばれた人物に、烏も「非凡」と使うことがやはり多いのかもしれない。
以上、天才のお話でした。
何かあれば是非コメントにて教えてください。