遅筆だった会社員のおたくがジェスチャードローイングで推し現場のレポ絵30枚描けるようになった話
※本記事はこちらの続編・補章になります。
この記事ではもともと絵一枚かくのに1日かかってたしがないおたくがジェスチャードローイング(以下ジェスドロ)を中心とする3つ勉・8つ勉というセミナーを受講した結果、その4か月後には推しの公演3公演分で翌日には9枚もレポ絵を描けたよ!自分でもびっくり!ということを描いたのですが、その後も公演があり気が付けばレポ絵だけで総計30枚描いていました。(もちろんフルタイムで働きながら。)
そこで今回の記事では
・具体的に自分がジェスドロを軸にどんな風にどれぐらいの時間を使ってレポ絵を描いたのか
・受講したセミナーや参考にした本の紹介
について書きます。
1時間の使い方:準備運動25分+本番35分
準備運動①線を引く(5分)
机の前に向かったらまずipadのアプリ(私はprocreate)の新規キャンバスを開いて、いつも使うブラシで5分くらい線を引く練習をします。横にまっすぐと縦にまっすぐ。自分の引きたい場所にむかって真っすぐ線を引くのは意外と難しい。常に絵を描いている人で手が温まっている人は不要かもしれませんが、私はだいたいこの時間の中でしか絵を描かないので、手に線を引く感覚を思い出してもらうイメージで5分やります。
準備運動②「じぇすどろパーティー」で手慣らし(20分)
youtubeの「じぇすどろパーティ」チャンネルにはモデルさんが全身映った状態で1分×5ポーズ、2分×4ポーズ、5分×1ポーズを1セットとしてタイマー付きの動画にしてるものが90本近くアップされています(毎週木曜更新中)
急いでいるときは最後の5分も自分で2分に短縮し、10体書きます。ここまででだいたい25分。
絵に使う時間が1時間しかない日は半分くらい準備運動してるんですが、これをやっておくとその後の本番の絵がスムーズに、より出したいイメージに近く描けるようになるので結果的に効率よくストレス少なく描けている気がします。
本番:ラフの上にちょっとだけ清書する(35分)
今回公演のメモはipadにとっていました。マチソワ間のカフェなどで今あったことを思い出してラフにばーーっと書きとめる。これは前の記事の「カフェスケッチ」を参考に、棒人間でも文字でもなんでもありのメモ。
ただ、今回は手が慣れてきたのかメモの時点でもジェスチャードローイング1分の要領で描けたので、そのままラフとして採用しました。
そうして無秩序につめこまれたラフを、選択、コピペ、拡大縮小ツールあたりを使って適当な大きさで配置しその上に1枚新しいレイヤーを作ったらここに清書します。あまりにもラフがラフすぎて豆もやし棒人間すぎていきなり清書しにくいなと思ったものは一工程増えますが、ラフに加筆してからさらに清書しました。
ラフ(公演後すぐ書いたメモ)
清書
色塗りはしないので「背景色」を適当なくすみ系の薄い色に変えて、その上(線画の下)に1枚レイヤーを作って人物だけ白くぬりつぶします。ラフのレイヤーは非表示にしてPNG形式で写真に保存して出来上がりです。密度や下書きにしてるラフの出来によりますがだいたい1枚描くのに30分~1時間くらい。1公演分のレポ2~4枚を書き溜めておいて、たまったところでツイッターに投稿していました。これを毎日繰り返して、10日で約20枚。先月の分も合わせて計30枚のレポ絵ができました。こだわろうと思えばもっと筋肉の描き方とか、服の描き方とか、パースとか色塗りとかこだわれるポイントは無限にあるのですが、私はとにかく記憶が新鮮なうちにメモを形にしてあのときの公演の雰囲気、ここがよかった!の場面、印象を伝える(主に自分に)ことが目的なので、どうしても思ったように描けない時だけ本を参考にして体のパーツを描くことはありましたがだいたいはジェスドロで手が覚えた体のパターンをちょこっと応用するだけで描いていました。レポは刺身。
気づき
・9月の時よりも今回のほうが楽に筆を進められた気がしました。9月の時点でジェスドロ累計で人間1000体くらい書いていたのですがその後も毎日じぇすどろパーティーを見て最低10体書いてたので、10月末には累計1400体くらい。書けば書くほど手が覚えて、体感では1200体くらいからグンっと描きやすくなった気がします。
・あとレポ絵でもたくさん人間を描いたので、数えてないですが実質+500体くらい描いてるのかもしれない。専門的な技術も特になく、画業でもなく、ファンアート1枚描くのに5時間かかる、遅筆だった今年の春までを考えると本当に成長というより”異常事態”。上記で「1200体くらいからグンっと描きやすく~」とかさらっと振り返ってますが昔の自分が聞いたら「は?1200体とかバケモン?努力の鬼?時間のない私には関係のない世界の話ですね…」になると思います。
・つまり、自分は遅筆だから…専門的な技術もないから…時間ないから…と思っている人も全然ある日突然お絵描き量産マンになる可能性があるということ。自分の経験を通して、私はそう思いました。
ジェスチャードローイングはじめてみたい!と思った方へ
最初は講座(有料)を受けたほうがいい
ジェスチャードローイングといえば、ツイッターでは今は「砂糖ふくろう」さんという方が有名だと思います。(私も最初はこの方の講座を受けました)砂糖ふくろうさんは今秋、「はじめてのジェスチャードローイング」という入門書を出してさらに内容をご自分のツイッターで全文公開しています。
また、ジェスチャードローイングで検索すると「ふるり」さんのこちらの記事もかなりわかりやすくジェスドロについて書いてあります。(参考書の紹介もこちらの記事のほうが詳しくて良い)
このような記事を活用することで初期投資ゼロでも始められるのですが、私は最初はこの砂糖ふくろうさんが講師をしている有料の講座を受けるのが一番良いと思います。
書いてあることを読んでも「要するに速く描くのをたくさんやれってことか」みたいな解釈になりやすかったり(部分的には正解ですが本質はそこじゃない)「感じたものを描く」ということが具体的にどうすることなのかは本や記事を読むだけでは掴みづらく、それで毎日10体描く~を継続するのはちょっとモチベを保ちづらいかも。あと、自己流でやっていて後で講座を受けたときに「もっと早く受けときゃよかった~」って思う(私です)なら、最初に受けてしまったほうが絶対いいなと思ったので。
おすすめは3つ勉or8つ勉
一番おすすめなのは「8つ勉」もしくは「3つ勉」というお絵描きセミナーです。ライブ配信(アーカイブあり)でリアタイ参加すればチャットで質問もできるのでおすすめ。講座は長時間になりますが(5時間とか)オンライン授業うけている気持ちで集中できる利点もあります。
ただし不定期開催なので、自分で情報収集する必要あり。(*次回の8つ勉は2022年 12月 24,25日の2日間開催決定しています)
また、砂糖ふくろうさんのboothから講座の動画を購入することもできます。
↑私はお絵かきワークショップ動画を購入…というかセミナーの受講者特典でいただきました。作業用BGMとして何度も見返すのに良い。準備運動の「線を引く」もこのワークショップをきっかけにはじめました。
ジェスチャードローイングをする前の「絵で伝えるって何だろう」「イメージを出力するにはどうすればいいんだろう」という土台の部分の講義は、理論と感情がほどよくミックスされてストンと腑に落ちる内容ですし、
「感じたものを描く」「短時間で、全身の、印象をとらえる」というのがどういうことなのか、講義だけでなく実際に1分ドローイングを砂糖さんのデモを見ながら一緒に自分も手を動かして学べます。お絵描き経験の有無にかかわらずこの講座を最初に受けておくとあとは独学で無料コンテンツなどを駆使しつつ、自分でどんどん経験を重ねていつのまにかお絵描き量産マンになっています。しかもつらくなく、たのしい。
初期投資としての価値ありだと思います。
また、講座の中でジェスドロを続けていくうえで活用できる大助かり資料の紹介などもたくさんあり、活用方法も教えてくれます。
おわりに
絵の描き方、お絵描きとの向き合い方には様々なものがあり、当たり前ですが描く人によって違いますし、何が正しい、といったものはありません。
その中の一例として、私は「絵で伝えたいことがあるけどイメージ通りに出せない・出すのに時間がかかる・技術もない・そして時間もない」という需要と「見たまま描くのではなく、感じたものを描く(短時間で)」といったジェスチャードローイングのやり方が嚙み合って夢中になり、思いついたもの、感じたものをどんどん楽しく出力できるようになっていきました。ジェスドロを知る前の今年3月ころの自分から見ると本当にありえない変わり方でした。
これは自分が特殊なわけでなく、誰でもいつでもきっかけがあれば気軽に楽しくお絵描き量産マンになれるんだと思います。
このnoteがどこかの誰かのきっかけの一助になれば、幸いです。
(2022/12/12 追記)
今年5月から自分がやっているジェスドロの記録をPIXIVFANBOX(無料全体公開)にまとめて載せました。何年も趣味でイラストやってるくせに笑っちゃうほどガッチガチで何描けばいいのかもよくわかってない最初の1体からのせてます。実際どんな感じのもの描いているのか、続けるとどう変わっていくのかご参考とか絵を練習している人の励み(?)になれば嬉しいです。↓
おまけ:参考にしている本
ジェスドロを軸に絵を描くようになってから参考にしている本です。
原文が英語なのとかなり「感覚」寄りの表現が多いですが、生きてる人間を生き生きと描く基本が詰まってる本。理屈というより付属の動画を見ながらなるほど?なるほど!と一緒に楽しみながら描くと手になじみやすい。
ジェスドロを続けて「もっと…背中とか…足とか…なんとかならんか」と思い始めたときに読みました。筋肉はどう動くのか、リズムとフォースの作者の本なので、生き生きしたポーズを作り出しているアナトミーってどうなってるの??というところがわかって、かゆいところに手が届く感じ。これをトレスとか模写とかたくさんするとさらに絵に説得力が出そう。
基本はジェスチャードローイングから始まり、途中の章で「球を描いてから顔を描く」方法とパーツの比率の話が詳しく、論理的な解説で載っています。これを読んで参考にして描くと、どんなキャラでも顔のパーツをバランス大崩壊させることなく自分の絵柄で試行錯誤できるようになっていくので、楽しい&精神衛生上良い。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?