見出し画像

Blurred’’close my eyes#2

初個展『close my eyes』が終了しました。来てくれた人、見たいと言ってくれた人、zineを買ってくれた人、ありがとうございました。
では、個展のまとめを。


準備のこと

先日のこのnoteにも準備のことは書いているが、その補足と詳細。

展示のセレクトは今までの写真を全て見返して、雰囲気に合ったものをピックアップする形で行った。数千枚を毎日何度も見返すのでややノイローゼぎみになったり、段々とセレクトの軸がぶれてしまったり気合を入れるほど難航した。
仮セレクトは70枚ほどで、それを全て同じ大きさに印刷して机に並べ、起承転結を意識しながら展示を構成しつつzineの制作と本セレクトをした。

zineは2枚組で心地いいものを探っていく
展示構成決定
左から右の流れ

展示構成はかなり映像的に考えながら組んでいた。架空のBGMをイメージしながら緩急や見せるスピード感を決めて写真を当てはめていく。感想の中に「映像でも見たい」とあったので伝えられたのが嬉しかった。
写真にはそれぞれ番号を振っていて、プリントや搬入の時に管理しやすいようにした。最終的に残ったのは56枚で、これは入るだろうと思っていたものが外されていたり、プリント段階だとすごい枚数に感じたり何かと新鮮だった。

配置とプリントサイズを決めている紙。展示の設計図

搬入は同期から後輩、実習助手、先生にも手伝ってもらってプリントと並行しつつ進めた。途中プリンターが沈黙したり、配置場所が左右逆だったりてんやわんやだったが、タイムリミットにちゃんと間に合うように終わった。

展示のこと

会場がデカすぎるので空間を区切ってセクションを作りつつボリューム感があるように見せるのを目標に展示空間を作った。
昨年『はざま展』で布を使った展示空間作りをしたのでそれを応用した。予算の関係で布の種類を統一できなかったが白布は場所の仕切り、不織布は展示の支持体兼雰囲気で使い分けがうまく行ったので良かったと思っている。また、ギャラリーの指定でつけていた扇風機が布を揺らし続けてくれて想定外の雰囲気作りになっていたのが面白かった。

展示解説をちょびっとだけ…

白昼夢、あたたかさ、やわらかさ、それらの影
一瞬で過ぎ去っていく世界を写真に収め、忘れないようにそっと集めた展示です。

この展示では7つの章で構成されています。
夢の始まりのような浮遊感のある写真から、不穏さ、休息を経て、加速してゆきます。終わりにかけて徐々に目を覚ましていきましょう。

会場案内より
1章

具体性が少なく、ぼんやりしている写真
構成段階で絶対布にプリントしようと決めていたパート。透ける布でプリントしてくれるサービスがあったので利用した。会場手前の窓から太陽光がギリギリ入る部分なので時間帯にもよるがふわふわした感じが上手く作れた。

2章

少し不安定で影のある写真
プリントサイズによって鑑賞距離が変わるように情報量が多いものほど小さいプリントにした。動きながら見ることで不安定さが体感できるはず。

3章

休息の写真
同一サイズで淡々と並べることで安定感と息継ぎになるようにした。右から影りを減らすように並んでいる。

4章

スピード感のある写真
休息から盛り上がる感じで視界いっぱいに入る大きさでギュインと配置。

5章

メインの写真
画面のエネルギーと浮遊感のどちらもが大きいものを選んだ。この写真の前にベンチがあるのでしばらくぼんやりしてもらうように余白も広め。

6章

段々と意識が遠のく写真
画面外に広がりを想像できるものを中心に右から具体性を減らしている。ゆったりしたリズムで揺れる感じの並び。

7章

目が覚める。
close my eyesの締め。

会場に置いていた、友人の写真解説。
読んだ人全員が面白いと言っていた傑作で、写真を撮ってる本人も分かっていなかったり自覚のない部分が的確に言語化されている。ぜひ読んで欲しい。

感想でも指摘されたが、展示方法に関してはまだやりようがあるし、不完全燃焼な部分もある。同じシリーズでまた展示するときは万全の状態で挑みたい。

zineのこと

以前作った『close your eyes』が個人的にかなり完成しているなとは思っていて、新しい写真も交えてちゃんとまとめられるかはずっと不安だった。
製本はイニュニックで発注して、close your eyesに倣った作りにした。

製本詳細】
 大きさ:280mm×190mm
 ページ:表紙+本文34P
  紙 :表紙 ヴァンヌーボVホワイト(195K) 
     本文 上質紙(90K)/トレーシングペーパー(82K)
 製 本:無線綴じ
 その他:遊び紙にトレーシングペーパー、折り込みページ

折り込みページは縦写真をどうしても入れたくて利用した。納期もギリギリでややこしい注文にも関わらず展示に間に合わせてくれたイニュニックさんには頭が上がらない。
zineは買うと思っていない人が買って行ったり、オンラインではほとんどの人がプリントと買ってくれて驚いた。

会期中のこと

体調不良、の一言に尽きる。在廊中は咳で話せず、夜は熱で眠れなかった。10月はずっと微妙な体調だったが、搬入初日に完全に風邪になり、安静にするわけにもいかないので動き続けた結果長引いた。自己管理をちゃんとしようと思う。

初日はフォロワーさんと学内の人がちらほら、といったところで直前まで準備をしていたのでソワソワしながら受付にいたがゆったり見てくれる人が多かったので嬉しかった。お花もいただいて初個展なんだなと実感がじわじわ来ていた。
二日目は土曜日だったので色々な人が来てくれた。高校の友人たちや知り合いの知り合いなど色々な人が来てくれた。入れ替わり立ち替わりで数人がいるような感じでベンチに座ってゆっくりzineを見てもらえたり、直接感想を伝えてくれたり天気も良くいい一日だった。
最終日は同じ学科の人が多くて先生にも直接感想をもらえたり、祖父母が来てくれて嬉しかった。この日が一番zineが売れてちょっとびっくり。体調も回復してきて来場者の人と話せたので満足感のある日だった。

喋れないことを見越して会場案内の紙に感想シートをくっつけたのは我ながらナイス判断だと思っている。同時に複数人とは話せないので来場者のほぼ全員からの意見をもらえるのは嬉しい。人によって見ているところが違うのが分かるし、人が途切れたタイミングで読み返すことができた。

初めて会う人や、遠方から来てくれる人もいたのがすごく嬉しかった。

展示を終えて

あっという間に終わってしまったな、と感じている。
搬出は3人で数十分で終わってしまったし、空っぽのギャラリーを見てもぼうっとするだけだった。3年通っている大学なので場所に対して新鮮さが無い、というのは大きいのかもしれない。

なんの感想も残さないまま帰っていく人もいて寂しかったが、フラッときた人が「良かったっす」とグッジョブしてくれたのは胸熱だった。

zineを展示に変換する、というのが大まかな個展の軸にはなるが写真の出力場所が変わるだけで考えることが全然違うのが難しかった。自分の想定していない見方もされるだろうし、かといって分かりやすすぎるものも違うのでバランスが取りづらい。

個展として一つ開催できたのは経験値になったが、満足感は薄いのでまた近いうちに個展はすると思う。違うテーマでの展示になると思うのでよければまた来て下さい。

zineを販売してます。50部限定なのでよければ。



ありがとうございました。

zine制作や展示に使わせていただきます! よろしければサポートお願いします!