星暗し編①
このnoteは最後まで無料で読めます。日本は今、大変な事態となっております。嫌でも暇な時間を過ごしている人も、医療に携わり、その身を危険に冒しながらほっと一息ついた人にも、少しでもこのnoteが楽しめますように。幸せな物語ではありませんが、皆様にとってほんのちょっぴりでも意義のある時間になりますように。
第一話 まどか
「ありがとうございました。また明日お願いします」
そう言ってまどかはデイサービスの女性を見送り、再び病床につく祖母の前に立った。
「おばあちゃん、今日はご飯ちゃんと全部食べたんだね!えらいよ!デイサービスさんも喜んでた!」
喉が悪いまどかの祖母はにっこりと笑顔で返事をしてみせた。
まどかの祖母が倒れてもう半年が過ぎようとしていた。まどかがまだ中学生の頃に両親が離婚し、母親と祖母の手によって育てられたまどかは、誰が見てもしっかり者の長女で、わがまま1つ言わず、勉学に勤しみ、祖母と歳の近い弟の面倒を看るとても優れた少女だった。
父親と母親が喧嘩をしているところは1度も見たことがなかった。それどころか、父は自身が忙しいのにもかかわらず、毎日家族の朝ごはんを作っていた。夜中、酒に酔って帰ってくる母の介抱をして寝かしつけ、すぐに起きて朝食を作る父は、まどかから見ても理想を大きく飛び越す、優れた父親像だった。
母は私立大学の臨床心理学講師として勤め、日々学生達の勉学のフォローと、教授陣の懐刀としての役割を担っていた。宴会や接待に駆り出される事も多く。彼女は彼女なりにとても忙しく日々に追われていた。
家事全般をこなしながら仕事に勤しむ大黒柱の父と、奔放ながらもしっかりと家族の屋台骨となっていた母は水面下では多く衝突していたのかもしれない。それでも両親はけして不仲ではなかったのだが、双方が双方に対して疲れてしまった事が離婚の原因らしい。離婚後も家族で食事する事は多く、まどかや弟にとっては特に変わらない現代的な核家族の形を取っているように思えていた。
父は大手広告代理店に勤めていた。2ヶ月ほど前に父からの電話があった。
「まどか、父さん今すごい大きな案件を会社でこっそり進めてるんだ。これはすごいよ!一大ムーブメントになるよ!今日なんてお父さん、"いきものがかり"と会っちゃったんだから!まどか好きだったよね!この案件のヒントだけ出してあげるね。わかっても絶対みんなには言っちゃダメだよ?えっとねー、これ言っちゃったらカンの良いまどかなら気づいちゃうかなぁ?100日後に死ぬワ、、」
プツ
まどかは父の声を遮って電話を切った。
「もう!お父さんって本当にデリカシーがないんだから!あたし、だいぶワニに感情移入してたのに!お父さんの会社案件だったなんて、これじゃあ全く感情移入できないし楽しめないよ。お父さんって、ほんとバカ。カンが良くなくてもあそこまで言っちゃったら誰でもわかっちゃうよ。でも、いきものがかりと?ワニ?なんなんだろう?」
両親の前向きな離婚や、祖母の介護、少しだけ登校状況に不安がある弟の面倒をみながらも、まどかは聡明で賢く、小さな幸せを感じながら生きれる子だった。
まどかは、喉だけではなく、目も白内障によって見えなくなってきた祖母の回復を、毎日手を合わせて願っている。
医者からは祖母の目はしばらくすればほぼ見えなくなると宣告を受けている。祖母とまどかの家族は、最後の希望にかけて手術に踏み切ろうとしていた。今もうすでに祖母の目は光と輪郭しか感じられていないようだった。幸いにも耳は不自由なく聞こえているが、再び祖母の目に光が宿るようにと、まどかは今夜も奇跡を祈って手を合わせていた。
©️ブラック熊野
親への負担を考える事が出来たまどかは、しっかりと勉学に励み、春から国立大学に進学が決めていた。進学する前のこの期間、祖母達の世話をしながらアルバイトを始める事になった。幸いにも自宅から通うことができる大学に合格したまどかは、大学と自宅の中間地点のパチンコ店でアルバイトをする事にした。祖母と母はパチンコ店などという如何わしく煙たい場所でアルバイトなどしては、元々肺が弱いまどかには耐えられないと強く反対した。
その反対を押し切らせたのがこの春から施行されることとなる『受動喫煙防止法』だった。
「パチンコ屋さんも春から全面禁煙になるんだよ。一応中に簡易的な喫煙ブースがあってそこで喫煙することになるの。従業員さん達も指定の喫煙ブースで吸うことになるから私には煙は来ないんだよ」
煙の心配が無いという事と、まどかが初めてのアルバイト面接に受かったことが、あまりにも嬉しそうだったので母親と祖母は仕方なくアルバイトを了承した。
それが運命の分岐になっていた事には後で気がつくこととなる。そう、それが全ての間違いで、惨劇の始まりだったのだ。
「まどか」
声をかけられた。女性の声だ。
後ろを振り向くと髪の長い綺麗な女の子が声をかけてきていた。その女の子の容姿はとても美しく、風に揺られる髪はどんな厳粛な空気すらも華やかに彩ってしまうほど艶やかで、まどかは一瞬にして心と目を奪われた。
「まどか、あなたは絶対にあのパチ屋でアルバイトをしてはダメ。久部の声に耳を傾けないで。お願い」
目が覚めた。
とてもリアリティのある夢だった。
起きてしばらく経つと夢の内容は忘れてしまった。
続
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第二話 車と露
「それでは朝礼を始めます。まず始めに、今日から入ってくれた金田まどかさんです。みなさん、しっかりmagiaの仕事を教えてあげてください。未経験です。では、金田さん、ご挨拶お願いします」
「は、はい、金田まどかです。パチンコ屋さんは入った事もなければもちろん遊んだ事もありません。一生懸命覚えていきますので、みなさんよろしくお願いします」
パチパチと拍手で迎えられて、店長からの連絡事項を聞いた後、その日の業務がスタートした。
その日与えられた仕事は、とにかくホール内を歩く事だった。歩いて、呼び出しランプが点いたら向かって、客が何を求めているのか確認して、他のスタッフを呼ぶ。その繰り返しだった。
パチンコ店『magia』は商店街に位置する地域密着型の中型店で、パチンコ150台、スロット150台。まだ一発台しかない時代から地域に根付く歴史の長いホール。ここぞという時に出玉を作るメリハリ営業が魅力で、県外からも多数のお客さんを迎える古豪ホールである。
音と光で頭が痛くなってきた。まだ三月なので喫煙可能なホールの中は副流煙が充満し、それもまどかの頭痛を強めた。
「金田さん、5分休憩どうぞ。これ、私からの入店祝いだよ。金田さん、紅茶は好き?嫌い?かな?かな」
「ありがとうございます!紅茶大好きです!あの、今日たくさん呼んじゃってすみません、迷惑ばっかりかけて」
「何も迷惑じゃないわよ。金田さんならきっとすぐ一人前のホールスタッフになれるわ。あれだけきちんとした挨拶ができるんですもの。私なんてどもっちゃって大変だったのよ。あ、私、戸山マミ、よろしくね」
「マミさん、テキパキ動くマミさんすごいなぁ素敵だなぁって思ってました。私もそうなれるようにがんばります。金田まどかです。よろしくお願いします」
「嬉しい事言ってくれるわね。困ったことや、わからないこと、相談したいことがあったら何でも言ってね。さぁ、5分休憩いってらっしゃい」
簡易休憩室に入ると、まどかはほっと胸を撫で下ろしていた。それだけまどかにとって初めてのアルバイトは緊張を伴うものだった。マミからもらった温かい紅茶が頭痛を和らげていく。甘いロイヤルミルクティーは今のまどかの心を落ち着かせて安心させる。
休憩が終わって再びホールを周回していると、また呼び出しランプが点いた。
台に駆け寄ってランプを消して様子を伺った。
「ねーねー?新しいスタッフさん?どこから来たの?今日初めて?かわいいなぁ、やっぱりここはかわいい子ばっかりだけど、群を抜いてかわいいよ。モデルさんとかやってるのかな?君にはその資格があるよ」
「えっと、あの、その」
「君、名前は?名前はなんていうの?学生さん?かなり若いよね?」
「あ、あの、金田まどかです。春から大学生になります」
マミが急いで駆け寄ってきた。
「ちょっと!久部さん!今日入った新人ちゃんナンパしないでよ!ほんとにデリカシーないんだから!」
「いや、ちょっと声かけただけじゃん、それなのにナンパとか厳しいなぁマミちゃんは、困っちゃうよ〜」
「ほら!しっし!」
「まどかちゃん、またね、気軽に声かけてね、おれ毎日いるからさぁ」
マミの腰に手を回しながら、マミの大きな胸の横を手が触れて、マミはそれをパチンっと手で払った。
呆気に取られていたまどかは、久部に愛想笑いを振りまいて再び周回業務に励んだ。
まどかは、その日の業務を終えて更衣室で着替えていた。そこへマミが足早に入ってきた。
「おつかれさまー!どうだった?続けていけそう?見る限りでは大丈夫そうだったね。なんかあったら言ってね」
「マミさんのおかげで大丈夫でした。でも接客が私には難しくて、あの」
「ああ、久部さん?あれでなかなか優しい人でいつも気さくに声かけてくれてね、店長とかみんな仲良くしてて、みんなで飲みに行ったりもするんだよ。うちの店、わりとお客さんと接触するのには寛容でさ。地域密着店だから常連さんとはそういう付き合いもあるんだよ。でも気にしないでね、変な事はないからさ」
ブラウスのボタンをとめながらマミは話す。マミのとても大きな胸はボタンの糸をきりきりと引っ張っていた。
「そうなんですね」
「久部さん、あれでなかなか金払い良くてね、なんの仕事してるのかとかは聞いてないんだけど、けっこうお金持ってたりするんだよね。専業くらいお店に来るんだけど、専業ではないって本人は言ってるんだけどね」
「専業?」
「ああ、パチプロのこと。パチンコパチスロで生計をたててる人も世の中にはいて、その人たちの事を専業って呼んだりするんだよ。専業にもいろんな人がいて、打ち子って呼ばれる代わりに打つアルバイトみたいなの雇ってる人もいれば、朝の抽選あるじゃない?あれにホームレスとか並ばせて抽選引かせて良い番号で入場する輩もいるのよ。困ったものよね」
「そ、そうなんですね」
「あ、でも、安心して!みんな良い人たちだし、困ったら私とか店長や社員さんがなんとかするからね。うちは客層も良いからやりやすいはずだよ。じゃあね!金田さん!また明日!急いでるから私は帰るね!」
マミはそう言ってまた足早に更衣室を後にした。
店の裏口から出ると、外はどっぷりと暗闇が支配し、辺りは閑散としていた。店の正面口がある商店街側に出ても人はまばらであった。
駅の方に歩いていくと、商店街の切れ目に一台の黒いワンボックスが停まっていた。
車内は湿度が高いようで露でガラスは覆われているが、エンジンはついていないようだった。
車の横を通ると先ほどまで聞いていた声が車内から漏れ出していた。
「ちょっと、久部さん、ダメ、ダメだって、ちょ、ダメ、ちょっとダメ、ああ、あ、あ、ダメ、あ、ら、め、らめ、あっ、あああっ、あうふ、ふ、ん、んん、ん、ダメ、あっ」
マミの声だった。
車の後方、リアガラスはまだ露が付いておらず、中の様子を伺える事ができた。
まどかは引き寄せられるようにリアガラスに張り付いた。助手席のシートをフラットに倒されていて、そこにはマミが先ほどとめたばかりのブラウスのボタンを一つ一つ弾くように久部にはずされていた。
大きな黄色いブラジャーをずらされ、マミのハンドボールほどの大きさはあろうかという乳房があらわになり、久部はそれにむしゃぶりつく。マミの声がどんどんと大きくなる。仰向けに寝ていても、マミの乳房と乳首はワンボックスのルーフを目指していた。
くちゅくちゅとした音は車外まで聞こえるほどの大きさだった。まどかは、高速で動く久部の舌に目が離せなかった。その音の大きさがもっとはっきり聞こえるほど大きくなった。
久部の細く長い指がマミの陰部を弄り、膣の奥深くまでクエストしていた。
©️アミーバ
「そんな、ダメ、久部さん、そんな奥まで中指で中押しそんな、あ、あ、んふ、ああああ!」
©️お嬢
既にマミは何度も果てていた。経験の浅いまどかでも、それは容易にわかる事だった。
久部が手を休めると、マミは狂ったように久部のパンツを剥いで、中から久部のイチモツをあらわにした。
マミは一心不乱にそのイチモツをまた狂ったようにねぶりまわした。車外に聞こえるマミのバキューム音。
マミは舐めてはそのイチモツのぬめりを自分の乳首にあてて擦り回し、舐めてはまた乳首を擦り、自身を刺激していた。
そのまま久部は何も言わずにマミの円環に槍ほどもあろうイチモツを正常位で突き刺した。
マミの大きな声が漏れた、さすがに声が大きかったのか、マミは自分で自分の口を両手で塞いだ。
ワンボックスが激しく揺れる。それに呼応するように腕の枷が取られたマミの乳房が前後左右に大きく揺れた。まるで大荒れの海に漂う小さな浮き輪のように、久部の波打つ腰の動きに揺られて弾け飛んでいた。
車の中の久部と何度も目が合っているような気がしたが、まどかは目が離せなかった。
久部はまどかに伝えるように、まどかの息遣いに合わせて槍を奥深く中心部に突き刺した。
©️ショッカー
ここへきての中段攻めにマミは悲鳴をあげた。ワンボックスの中は燃え盛る豪炎と2人が撒き散らす火花でクライマックスを迎えていた。
表情は見えないがマミの紅潮がわかる。
車内の温度が急激に上がり、ついにリアガラスが結露で覆われ、車内が全く見えなくなった。
まどかの股間も露でいっぱいに溢れ出していた。それに気づいたまどかはワンボックスを後にし、駅まで顔を赤らめながら走った。
駅までの道を走るまどか。股はぬるぬると滑り、まどかから出る穢れは股をつうっと伝い、靴下が吸収した。
どんよりと大きな雲に覆われた空は、少しの星の光も通さず、風がただゆっくりと雲を流していて、不穏な空気だけを醸し出していた。
翌朝、昨日のワンボックスの件からまどかはアルバイトに行くのが億劫になっていた。だが、母と祖母がアルバイトを許可してくれた手前、1日で行かなくなる事はさすがに難しく、重い腰をあげて向かわざるをえなかった。
朝礼が始まると、いるはずのマミの姿はそこにはなかった。
「金田さん、今日は昨日と同じようにまたホール内を周回してください。今日は自分でできるトラブルは処理できるようにお願いしますね」
「あの、マミさんは、、、」
店長に尋ねようとしたが、まどかはそれ以上声を発する事ができなかった。
店がオープンする。オープン時にかかるいつもの音楽が鳴り響いた。
音楽は"Fatboy Slim"の"because we can"
抽選入場者に台確保券を渡す役割がまどかには与えられていた。笑顔でいらっしゃいませと確保券を渡していく。
久部だ。
久部は台確保券を渡す時にまどかに聞こえるか聞こえないかの声を発しながら店内に消えた。
まどかはそれをはっきりと聞き逃さなかった。
「みんなには内緒だよ」
続
サムネイル画像提供
©️すぐるん
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今後のモチベーションに繋がります。
ハート押してってくださいね❣️
この長い文章を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
感謝します。
ウイルス禍で大変な時間を過ごしている皆様、どうかお気をつけて、心を強く、がんばりましょう。
元気にまたお会いしましょうね。