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二冊読めば元が取れるKindle Unlimited⑩


はじめに

Kindle Unlimited月額980円。ろくに本を読まないからと、課金し始めてから三年目。

最近また書くようになって、言葉が出なかったり、表現的な差し引きの加減が分からなかったりと不自由さが歯痒い。
実情アウトプットが圧倒的に弱いからだろうけど、インプットやインスピレーションも足りている気がしない。

英語で言うところのカーペンターズで綺麗な英語を知れ、みたいなのが書き方にもあれば良いのだけれど、無意識に何かしら影響を受けているだろうし、日本語を使って生きている以上、どう足掻いても完全なオリジナル文体なんてものは不可能であって、それこそ何言っているか分からない文章になる。

だから煮詰まったり、思い返した今に、何でも良いから本読むか、と手を伸ばしてみたのだ。
そして目についた二冊の感想を今回も書いていく。



Ai 愛なんて 大っ嫌い

正真正銘のスーパーモデル、冨永愛による自伝である。

発売時から内容が壮絶と聞いていた為に、読んで良いものか躊躇していたが
Kindle Unlimitedで見つけてしまった今になってダウンロード。
また感想文書こうかな、というきっかけに。

例えば芋っぽい田舎娘が努力によってスターだとかに成長する話は美しいだろう。
しかし素質を持ってして生まれた人間に敵うことは無い。
モデルは努力でも才能でもなく素材だ、と本人も豪語していたが、
そんな持ってした人間がランウェイやカメラに向かって抱いていた感情は、殺意だ。

とにかく殺気がすごい。殺意ととれる気迫による緊張感が、あの風格を生んだのだろうか。
素質を持った本人にしか分からない苦しみや、母或いは母としての葛藤が痛ましく、その感情の剥き出し具合が、なんだかもうかっこいい。

この本を長渕剛がプロデュースしている(!?)シナジー効果なのか。
これはAIには書けない。



永遠も半ばを過ぎて

「電算写植機」という聴き慣れない言葉から始まり、
今のように全てパソコン作業による印刷が普及する前の印刷機材らしいが
検索してみれば、タイプライターともコピー機とも似つかないような機械で
これを扱うにプログラミング言語のようなコマンド入力が必要と、難解な物体である。

そんな「電算写植機」にロマンを感じ始めているが、要は文字起こしであり、しがない文字起こし屋と、うだつの上がらない詐欺師が出てくる話だ。

詐欺師というと昨今、スタイリッシュで隙のない人物像が描かれがちだが、
この昭和から平成初期の雰囲気、ヤクザに痛い目みそうな展開が入っているドラマ、というような、どうしようもない人間らしさや、ウィットに富んでると言えなくもない狡猾さが漂っていて良い。

もっともらしい事を言うあたりが中嶋らもの文体とも相まって
なんだ?と聞き返したくなる。

『現れた銀行マンは、育ちの良さそうな、胃の悪そうな男だった。』
どんな男だろうか、しばらく考え込んでしまった。
『僕は自慢じゃないが、画には暗い。ゴッホとゴーギャンは名前に「ゴ」がついてるところが共通している』
おう。あとゴヤもいるぞ!

印刷関係の話が沢山聞ける体感があって、色々と得るものがあった。


最後に

ミーハー心丸出しで選んだけれど、読み終わった今かなり充足感がある。

最近気がついたことがある。
読書は良いし、勉強もまあ良い。
試験、これが駄目だ。QOLが下がる。

実りある読書が一番、精神衛生に良い。


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