人生のゴールは何か/イソップ童話「ウサギとカメ」
れんこんnote 075
人生のゴールは何か
童話「ウサギとカメ」の教え
競争するときには、
①目的と目標を明確にしなければならない
②努力を怠ってはならない
という教えが、童話「ウサギとカメ」には込められていると、以前、お話ししました。
努力するウサギばかりの世界
ところが、現実のビジネスの世界では、努力するウサギばかりです。
努力するウサギは、怠けて寝てしまうウサギを相手にすることはありません。
カメを競争相手にすることもありません。
しかも、努力するウサギは、目的と目標を明確に持っています。
こうした努力するウサギばかりの世界では、童話「ウサギとカメ」から学ぶことはないのでしょうか。
いえ、あります。
次のようなことを学ぶことができそうです。
競争するときには、
①正しい目的と目標を持つ必要がある
②目的と目標が正しいかどうか、絶えず確認する努力を怠ってはならない
出世競争に勝つことを目的にしていると、出世競争に勝つことができても、顧客から見放されてしまうかもしれません。
ビジネスの世界では、顧客にとっていい仕事をすることが一番大事です。
それを忘れると、顧客から見放され、儲からなくなってしまいます。
ですから、絶えず、目的と目標を確認し、正しい方向へ修正し続けなければなりません。
ビジネスのゴールは、顧客満足なのです。
ビジネスのゴール
ところで、顧客満足には、現在の顧客の満足と未来の顧客の満足という2種類の顧客満足があります。
この違いを見誤ると、これからのビジネスはやっていけなくなるのではないかと感じています。
より性能が良いもの、より廉価なもの、より美しいもの、より高いブランドとされるもの…と、顧客が求めるものを追求する風潮が蔓延しています。
こうした顧客満足を追求していった先には、どんな世界が待っているのでしょうか。
不安になるのは、私だけではないと思っています。
現在の顧客が求めるものではなく、未来の顧客が求めるものを提供するビジネスが大事になっていくのではないかと、私は感じています。
山口周著「クリティカル・ビジネス・パラダイム 社会運動とビジネスの交わるところ」(プレジデント社)を読むと、「修理する権利を取り戻す」社会運動としてビジネスを展開するスマトフォンのスタートアップ「フェアフォン」の話や、「Think Small」キャンペーンを展開したフォルクスワーゲン社の話、グラミン銀行の話など、クリティカル・ビジネスを展開する企業の話がたくさん紹介されています。
現在の顧客ではなく、未来の顧客が求める価値を提供する企業が出てきています。
このような流れが強まっていくのではないかと期待しています。
ビジネスのゴールは変化していくでしょう。
競争と棲み分け
昔話「ウサギとカメ」は、ウサギとカメが競争するお話です。
でも、現実の世界では、ウサギとカメが競争することはありません。
競争好きな人間が、ウサギとカメを競争させたのです。
でも、どうして人間は競争して勝つことが好きなのでしょうか。
狩猟採集時代の人間は、競争しなかったようです。
農耕時代になり、富を蓄えることができるようになり、競争が始まったそうです。
とすると、競争は人間の本性というわけではなさそうです。
産業社会となり、資本主義が広まり、競争が激化していきました。
これからも、競争は激化し続けるのでしょうか。
競争により、文明が発達し、生活が豊かになったことは確かです。
豊かな生活を手放して、貧しい生活に戻りたくありませんが、競争をやめて棲み分けできないものかと考えてしまいます。
人生のゴール
昔話「ウサギとカメ」は、「周囲に惑わされずに、ゴールをしっかり見つめて努力し続けなさい」「目的と目標を意識することが大事なんだよ」と教えるお話である、と解釈する人が多いようです。
「人生というレースを考えたとき、人生のゴールを意識せずに生きるのは、目的地がないのに大海原にこぎ出すようなものだ。その先に待ち受けているのは、漂流か難破である」という人がいます。
人生をレースという競争だと考える人は、そう思うのかもしれません。
でも、人生はレースでしょうか。
人生にゴールは必要でしょうか。
私は、人生は競争ではないし、人生に目的や目標はいらないと思っています。
一時的にレースや競争を楽しんでもいいと思いますし、短期的な目的や目標を定めてもいいと思います。
でも、人生全体は競争ではないし、人生に目的や目標はないほうがいいと思っています。
人生の善し悪しを測る基準や物差しはありませんし、人生には到達点もありません。
それでいい、それがいいと思っています。
これは、あくまでも私の個人的な考えです。
こんな考え方もあるんだなあと思っていただけたら、綴った甲斐があります。