シンデレラはシンデレラシンドロームだった?/童話「シンデレラ」
れんこんnote 061
シンデレラはシンデレラシンドロームだった?
シンデレラが主体的に行動したことは?
「昔話童話童謡の王国(http://www.douwa-douyou.jp/)にある童話「シンデレラ」を用いて、「シンデレラが主体的に行動したこと」と「シンデレラがやらされた、あるいは、してもらったこと」を数えてみました。
「シンデレラが主体的に行動したこと」は「王子様のお使いに『私にもクツをはかせていただけませんか』と頼んだこと」だけです。
「魔法使いとの約束を思い出し、駆け出した」こともありますが、約束ですから主体的とは言えません。
「シンデレラがやらされた、あるいは、してもらったこと」は、継母と2人の義理の姉から「掃除、洗濯、食事の支度などすべて」をやらされていたこと、魔法使いから「美しいドレス、かぼちゃから作った豪華な馬車、きらめくガラスの靴」を用意してもらったことがありました。
シンデレラが主体的に行動したのは、ガラスの靴を履かせてほしいと進み出たときだけでした。
たった一度の主体的行動で、シンデレラは王子さまと結婚するという幸運を掴むことができたのです。
シンデレラシンドローム
「シンデレラシンドローム」という言葉があります。「シンデレラ症候群」、「シンデレラコンプレックス」ともいわれます。
シンデレラコンプレックス(英: Cinderella complex)は、1981年に米国の女流作家コレット・ダウリングが提唱した概念です。
コレット・ダウリングは著書の中で「他人に面倒を見てもらいたい」という潜在的願望によって、女性が「精神と創造性」とを十分に発揮できずにいる状態を「シンデレラ・コンプレックス」と表現しました。
童話『シンデレラ』のように、女性は今日もなお、外からくる何かが自分の人生を変えてくれるのを待ち続けている、として名付けられた言葉です。
女性は心のどこかで「いつか白馬の王子様があらわれて、自分を救い出してくれる」という願望があると言われます。
シンデレラシンドロームとは、そういった気持ちが強すぎて依存的になり、自主性を見失ってしまう状態のことを言うそうです。
女性が男性よりも従属意識が強いのは、幼い頃に周りの大人から女の子は危険を避けることを教えられ、女の子とは守られるもので、男の子は守るもの、と教えられることが原因の一つとされています。
そういった経験から、女の子は知らず知らずの内に自分自身が弱い存在なのだと感じ、自分の能力に疑いをもってしまうらしいのですが…。
また、「結婚は女の幸せ」「結婚すれば安心」という言葉を親や周囲の人、あちこちから聞くことで、『結婚』=『安全地帯』とインプットされるそうです。
そうしたことから「女の幸せは男次第」と、男性に理想を追い求めてしまう傾向があると言うのですが、本当でしょうか。
最近は、シンデレラシンドロームに罹患していない女性が増えているように思いますが、いかがでしょうか。
シンデレラコンプレックスの人は、自分に自信がないので、結婚後は、夫に自分が必要な存在であることをアピールするそうです。
「手がかかってしょうがないのよ~」「もう子どもみたいなんだから~」と、夫を子ども扱いすることで、自分自身の必要性を感じ、満足するのだというのです。
確かにそうした言動をする女性がいたような気がします。
女子学生の場合、今のところ多様な人生の展望があるので、その時点ではシンデレラコンプレックスは独立と依存の二重性を持つことが明らかになっているそうです。
このような無意識の依存欲求は、裕福な家庭で育てられた女性や高学歴の女性に多く見られるとか。有能で仕事ができ、社会的に自立している反面、他人に依存したいという潜在的な欲求が強いのだそうです。
シンデレラコンプレックスは女性なら誰でもなりうるもので、実際よくある現象だと言われていますが、私は、かなり昔の話のような気がしています。
無意識の依存欲求があること自体が悪いことなのではないと思います。
無意識の依存欲求があっても、それを自覚して依存するだけにならないようにすればよいのはないでしょうか。
依存により、主体性を失うところに問題があるのです。
自立とは、自分にできることは自分でやろうとしつつ、必要なときには助けてもらい、相手が必要とするときには助けてあげ、自立心と助け合いで生きていけることを言います。
シンデレラコンプレックスがある人は、それを乗り越え、自立した人間になって行けば良いと思います。
ピーターパン‐シンドローム
大人になることを拒み、現実から逃避する傾向のある現代男性の症候群です。米国の心理学者ダン=カイリーが1983年刊の同名著書で定義しました。
ピーターパンシンドロームとは、1983年にアメリカ合衆国の心理学者ダン・カイリーが著した『ピーターパン症候群』(原題:Peter Pan Syndrome)で提唱されたパーソナリティ障害です。
大人という年齢に達しているにもかかわらず、精神的に大人にならない男性を指す言葉として使われています。
カイリーは著書の中で、ピーターパン症候群は「成長する事を拒む男性」として定義しています。
ピーターパン症候群患者は、言動が「子供っぽい」という代表的な特徴をはじめ、精神的・社会的・性的な部分に関連して問題を引き起こし易いという事が挙げられています。
この症候群は男性にのみ訪れるという特色があります。
カイリーは著書の中で、ピーターパン症候群患者を「ピーターパン」と綴ってその症状・特徴を述べています。
「ピーターパン」は人間的に未熟でナルシズムに走る傾向を持っており、『自己中心的』・『無責任』・『反抗的』・『依存的』・『怒り易い』・『ずる賢い』というまさに子供同等の水準に意識が停滞してしまう大人を指します。
その人物の価値観は、「大人」の見識が支配する世間一般の常識や法律を蔑ろにしてしまうこともあり、社会生活への適応は困難になり易く必然的に孤立してしまうことが多いのです。
また、「ピーターパン」は、年齢的には大人の男性である「少年」で、母親に甘えている時や甘えたいと欲している時に、母性の必要を演じる傾向も持ち合わせています。
いわゆる幼児回帰の要素も含んでいます。
ウェンディ・ジレンマ
ウェンディは、ピーターパンによってネバーランドに連れてこられ、しばらく、そこの子供たちの母親的役割を果たします。
彼女はとても責任感が強く、何でも頑張ってしまう女の子です。
カイリーは、「ピーターパン」と付き合ったときに、女性側に、ある傾向が表れやすいことを指摘し、その心理状態を「ウェンディ・ジレンマ」と名付けました。
わかりやすく言うと、ピーターパンタイプの男性と付き合うと、真面目さから男性のペースに巻き込まれてしまい、尽くさなくてはと無理して頑張ってしまう女性が、「ウェンディ」なのです。
「ウェンディ・ジレンマ」に陥った女性は、男性の世話を焼いたり、ご機嫌をとったりしつつ、内心では嫌われたり傷ついたりするのを怖れます。
相手に傷つけられても、不快な思いをさせられても、「自分がダメな女だからだろう」と落ち込んだり、「男性がいなければ、自分はここで生きていけない」と思い込んでしまうこともあります。
元々しっかりした性格だったのに、ワンマンで夢見がちな男性と付き合うようになって、尽くすタイプになったり、精神的に不安定になっている女性が多いようです。
物語では、ウェンディは結局ネバーランドを去り、現実世界に帰りますが、「ウェンディ・ジレンマ」の状態から脱するには、同様に、「ピーターパン」と別れるのが、最良の選択です。
しかし、もう1つ、ティンカーベルタイプの女性に変身する、という選択肢もあります。
ティンカーベルタイプ
ティンカーベルタイプの女性とは、適度に柔軟で、奔放さのある女性です。
何かトラブルがあっても、優先順位をつけることができ、解決しなくてもいい問題だと思えば、それを放っておくこともできます。
なんでもかんでも、「自分が悪かったのかも」と反省したりはせず、「面倒だな、疲れるな」と思うことがあれば、気ままにプイっと飛んでいってしまうこともあります。
こうしたタイプの女性になれるのであれば、一生、夢見がちな男性と一緒にネバーランドで生きていくこともできるかもしれません。
夢見がちな男性と生きるのは、楽しい一面もあります。
しかし、ウェンディのように真面目で責任感の強い性格では、一生、その男性とネバーランドにいることは、相当に大変なことです。
どんなに好きでも、「彼といると自分らしくいられない、無理をしてしまうかも」と気付いたときは、現実世界に戻る(=別れて地に足のついた男性を探す)選択が必要です。
どうしても離れたくないというのであれば、ティンカーベルタイプになるとよいかもしれません。
シンデレラ、ウェンディ、ティンカーベルのどのタイプ?
昔、女子大学の授業で、以上のような話をした後、次のような【問い】を出し、話し合ってもらったことがあります。
【問い】
シンデレラ、ウェンディ、ティンカーベルの3つのタイプのうち、自分に近いタイプはどのタイプか。
そのタイプの人に、どんなアドバイスをしてあげるとよいか。
女子大生たちの回答では、3つのタイプのどれかに偏ることはありませんでした。
シンデレラタイプは少なくなっていると思っていたので、少し意外でした。
男は、ピーターパンタイプだけですが、他にどんなタイプがあるでしょうか。
「カチカチ山」のタヌキタイプは、少なからずいそうですね。
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