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「こぶとり爺さん」のその後/昔話「こぶとり爺さん」
れんこんnote 073
「こぶとり爺さん」のその後
踊りが上手い爺さんがいい爺さんではなく、欲ぶかい爺さんとされていた爺さんが真面目な爺さんだとしたら、昔話「こぶとり爺さん」の話には、知られていない事情がありそうです。
その事情を探ろうと、昔話「こぶとり爺さん」のその後を探ってみました。
昔話「こぶとり爺さん」のその後のお話
左右ふたこぶになってしまった爺さんには、孫がいました。
八吉という名の15歳の若者です。
八吉は悔しくてなりませんでした。
五助爺さんは踊りも話しも下手でしたが、真面目な人でした。
なのに、世間の人は「欲張りだから罰が当たったんだ」と噂します。
お爺さんが可哀想でなりません。
2つのこぶがなくなれば、悪い噂をする人もいなくなるだろうと考え、鬼に頼みにいくことにしました。
鬼が住む2つ向こうの山へ行ってみると、鬼が宴会をしています。
八吉は怖くて近寄れませんでした。
とても頼むことができずに家に帰ってきました。
帰ってきた八吉は疑問を持ちます。
「爺さんは踊りが下手なのに、あんな怖い鬼のところへなぜ出かけていったのだろうか。」
爺さんに尋ねると、爺さんは「自分もこぶを取ってもらおうと思ったんじゃよ」とニコニコしながら言います。
実際に鬼の宴会を見てきた八吉は信じられません。
何度も爺さんに尋ねましたが、答えは同じでした。
八吉は爺さんことをよく知っている人に尋ねて回りました。
すると、お寺の住職さんからこんな話を聞きことができました。
「五助爺さんは子供のころ、隣の爺さんと仲良しだったんだよ。
一緒に山へキノコ取りに出かけていたよ。
一度だけ、2人は鬼に出会ったことがあったそうな。
それくらいしか知らんなあ。
鬼に聞いたらわかるかもしれんが、八吉、鬼のところへ行くんじゃないぞ。」
疑問をどうしても明らかにしたい八吉は鬼に聞いてみることにしました。
住職さんからは「鬼に聞くのは勇気とは言わん。蛮勇と言うんじゃ」と言われていましたが、八吉は思い切って出かけていきました。
その夜の鬼は、たまたまとても機嫌がよく、八吉に昔の話を聞かせてくれました。
「昔、子どもが二人、ワシの住み家に落ちてきやがった。
泣き叫ぶので、食ってやろうとした。
一人は足をくじいていたが、もう一人は元気でな。
元気な奴が面白く踊るんで、許してやった。
ただ、ワシの住み家を誰にも教えるなと約束させた。」
「10年ぐらいたって、一人にまた山で会った。
踊りをやらせたら、うまかったので『次の日もまた来い』と言って、こぶを約束代わりにもらったのさ。
そのとき、『約束を忘れていないだろうな。約束を破った者を食うのは鬼族の掟じゃ。忘れるなよ』と念を押したら、次の日もきやがった。
ただ、その日はあまりに踊りが下手だったので、こぶを付けて追い返した。」
鬼の話から、八吉は、五助爺さんがなぜ鬼のところへ出かけていったかがわかりました。
あの夜の次の夜、隣の踊り上手な爺さんが鬼の宴会に行かなければ、鬼との約束を破ったことになって食われてしまいます。
それを知った五助爺さんは、隣の爺さんが鬼に食われてしまうのを助けるため、代わりに出かけていったのです。
五助爺さんが来たので、鬼は約束を破ったとは思わなかったようです。
これが、こぶとり爺さんの本当のお話です。
さて、真実を知った八吉はどうしたでしょうか。
真実を鬼に話せば、約束を破ったと隣の爺さんを食べてしまうでしょう。
でも、このままでは五助爺さんのこぶは2つのままです。
皆さん、いいアイデアはありませんか。
ところで、今回のお話は、鬼に他言しないと約束した話ですので、誰にも話してはいけません。
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