デストロイヤーになってみましょう!
れんこんnote 023
デストロイヤーと呼ばれた頃
昔、私はデストロイヤーと呼ばれていたことがあります。
30歳代の数学教諭の頃です。
私は、何かを壊した覚えはなく、ただ好きなことをやっているだけでした。
県立浦和高校という進学校で、プリント教材を作って授業をしたり、誤答訂正ノートや小テスト&追試、演習プリントなどを始めたりしただけです。
ですから、私は自分がデストロイヤーだという自覚はまったくありませんでした。
しかし、年配の先生方にとっては、私はデストロイヤーだったようです。
初任校が新設校だった私は、懇切丁寧な授業や補習、小テストなどを行うことは当たり前のことでした。しかし、進学校で長く教鞭をとられてきた年配の先生方は「自主的に予習や復習を行い、自分で学ぶことが大事で、手取り足取りの補習なんてとんでもない」という考えでした。
年配の先生方の言うことを聞かず、わが道を行く私は、デストロイヤーだったのでしょう。
デストロイヤーとして活躍(?)した頃
私がデストロイヤーとして活躍(?)したのは、教育局に入ってからです。
元々、管理職になりたいわけではなくて、「来ないか」と誘われて入った教育局でしたから、やろうと思ったことをやって左遷され、教諭に戻されたら、それもいいと思っていました。
ですから、最初から怖いものなしでした。
デストロイヤー歴のいくつかを紹介しましょう。
人事担当の係長のとき、高校教諭採用試験の1つである「運動能力検査」を廃止しました。採用試験の受験年齢上限を35歳から50歳に引き上げた頃でした。高齢の受験生の運動能力検査は危険ですし、そもそも必要かという議論もあり、廃止に取り組みました。
指導課長のとき、前現指導主事会を廃止しました。小中高特のOB・OGと現職の指導主事が全員集まる盛大な会でしたが、現職の負担が大きいので廃止しました。
指導課長のとき、高校入試における推薦入試を廃止し、受検生全員に学力検査を課すことにしました。学力低下が叫ばれていた頃で、学力向上策の一環でした。義務教育を終えるときの通過儀礼として、存在感のある高校入試であってほしいとの願いもありました。
校長のとき、その学校に在職したことのある管理職経験者が集まる会を廃止しました。教頭と事務長の負担が極めて大きいので廃止しました。
教育長のとき、答弁審査で想定質問を作成することを廃止しました。答弁審査で職員を夜遅く(終電後)まで拘束するのは無駄なので廃止しました。基本的に午後6時までには答弁審査を終えることにしました。
これらの他にも様々なことを止めたはずですが、忘れました。
スクラップに大反対する人が必ずいます
デストロイヤーと呼ばれましたが、闇雲に破壊するだけの人は好きではありません。
スクラップ&ビルドが大事だと思っています。
ところで、「スクラップ&ビルド」が大事なことは誰もが知っているはずなのに、ビルドばかりでスクラップできないことが多いと思いませんか。
不思議ですね。どうしてでしょうか。
スクラップしようとすると、必ず大反対する人が出てくるからです。
どうしてでしょうか。
理由は簡単です。
スクラップしようとすることにも、意味や意義があるからです。
そもそも実施されていることには、すべて意味や意義があります。学校や教育委員会で実施されていることで意味のないものは一つもないのです。
それでも、軽重や負担を考え、より意味や意義のあることに注力するために、スクラップに取り組むのです。
そのとき、軽重の判断が人それぞれに異なるので、スクラップに大反対する人が出てくるのです。
どうしたら良いでしょうか。
なぜデストロイヤーになれたか
私は、いくつかのスクラップを実現しました。
私がデストロイヤーになれた理由は、あきらめなかったことと反対する人に恵まれたことにあります。
運動能力検査廃止のときには、スポーツマンの部長が大反対でした。部長は、教員は体力がなければ務まらない、教員はスーパーマンであるべし、という信念をお持ちの方でした。
決済をいただくために、毎日のように部長室に通いました。
説得する理由を考え、反論されたら反論の反論を考え、ときには教師論にまで挑みました。
1か月後、部長は「もういい、お前の好きなようにしろ」と言って、決裁印を押してくれました。
管理職OB会を廃止したときには、大物校長が大反対でした。電話で教頭に「教頭が校長を説得しろ」と命じる、とても押しの強い方でした。
教頭には「校長の私が対応するから、心配しないでいい」と言って、他のOB校長お一人お一人に電話をかけ、OB会を廃止する理由を説明し、納得してもらいました。その上で、件の大物校長に電話をかけ、説明しました。外堀を全部埋める作戦です。
すると、大物校長は「当面、中止ということだな」と折れてくれました。
前現指導主事会を廃止したときも、この大物校長がOBでしたので、最難関だと考えていました。
そこで、課職員に「この大物校長から電話があったら、すぐに課長に回しなさい」と厳戒態勢を敷きました。ところが、電話は来ませんでした。このとき、大物校長は入院していたそうです。
その後、上記の管理職OB会廃止で対決することになりました。
推薦入試の廃止では、専門高校の校長先生方に大反対されました。粘り強く説明し、納得はしなかったでしょうが、認めてもらいました。
「あきらめなければ、スクラップできる」というわけではないでしょう。
しかし、「あきらめたら、スクラップはできない」は事実です。
あきらめずに、スクラップ&ビルドを楽しみましょう。
あきらめなければ、道は開かれると思います。
スクラップ&ビルドを楽しみましょう!
スクラップはビルド以上に抵抗勢力が強いので、根気が必要です。
根気が必要ですが、根気は栄養や水分を補給しないと、すぐに枯れます。
根気を枯れさせないためには、仲間が大切です。
まずは、仲間を2人作りましょう。
仲間3人で、根気よく、愉快に頑張り続けるのです。
3人というのは、仲間割れしやすい人数ですが、強力にタッグを組めれば、どんどん仲間を増やすことができる人数です。
スクラップ&ビルドを仲間と一緒に楽しんでしまいましょう。
追伸
私の場合、デストロイヤーとして頑張っているときに、仲間が支えてくれたり、スクラップの後のビルドをしたり、一緒に楽しんでくれました。
私自身は、自分のことをデストロイヤーというより、種蒔き人ではないかと思っています。
種を蒔くために、スクラップに取り組んでいた気がします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?