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頼まれたら、断らない


れんこんnote 016

「頼まれたら、断らない」という信条

 いつの頃からか、「頼まれたら、断らない」を信条とするようになりました。
 どうしてそんな信条を持つようになったのかと振り返ってみたら、高尚な理由はないことがわかりました。強いて理由を挙げるならば、楽になるためと言うしかありません。

 では、経緯を振り返ってみます。

「頼まれたら、断らない」という信条を持つに至った経緯

 30歳代後半の頃、「新聞や雑誌などにコラムや連載をしている教育関係者がいるけれど、どうしたら頼まれるようになるのだろう?」と思っていました。
 自分の周囲からでさえ頼まれることが少ないのに、新聞や雑誌の編集者から頼まれるなんてあり得ないことでした。
 ですから、簡単なことでも頼まれると、うれしかったものです。
 当然、断るなんて考えたこともありませんでした。

 校長や教育長になり、頼まれることが増えてきました。
 特に、教育長になってからは、執筆依頼だけではなく、様々な委員会等の委員などの依頼が増えました。教育長を終えてからは、講演の依頼も増えました(今は、ありません)。
 当初は、依頼があるたびに、引き受けるかどうかを判断していました。しかし、そのたびごとに判断するのは煩わしくなり、「頼まれたら、断らない」を信条としてしまいました。

 「頼まれたら、断らない」ことにすると、引き受けるかどうかを吟味する必要がなくなり、すぐに引き受けたことに対処し始めることができました。
 さっさと前に進むことだけに専念できるので、とても楽になりました。

 というわけで、「頼まれたら、断らない」を信条とするようになったのは、楽をするためだったのです。

「頼まれたら、断らない」という信条はいつまで続くか

 「頼まれたら、断らない」という信条は、頼まれることが増えたことで持つに至った信条です。
 ということは、頼まれることがなくなったら、いらなくなる信条ということでしょうか。

 頼まれているうちが華、必要とされているうちが華と言われます。
 必要とされなくても、役に立たなくても、生きていたいと思うのですが、頼まれることがなくなり、必要とされなくなったら、生きる気力をなくしてしまうのでしょうか。

 少し寂しくなりましたので、「頼まれたら、断らない」理由をもう一度探索してみることにしました。

「頼まれたら、断らない」理由

 「頼まれたら、断らない」理由を3つ作ってみました。

 1つ目は、「人助け」です。
 頼む側は、何らかの事情があって頼んでいます。ですから、多少大変であっても、人助けだと思えば、頑張ることができます。

 2つ目は、「好奇心」です。
 頼む側は、私と別の世界にいる人です。今、自分がいる世界とは異なる世界を知ることができるかもしれません。好奇心を刺激されます。

 3つ目は、「つながり」です。
 引き受けると、頼んできた人とのつながりが深まります。つながると、その人をもっと深く知ることができます。深くつながる人が増えたほうが、愉快です。

 「頼まれたら、断らない」理由を探索したら、頼まれなくなった時の対策が立てられそうに思えてきました。

頼まれなくなったら、頼む側に回る

 講演や委員を頼まれることは、もうなくなりましたが、執筆を頼まれることはまだあります。
 それもなくなり、頼まれることがまったくなくなる日も遠くない気がしています。

 頼まれなくなったら、どうしましょうか。

 頼まれなくなったら、頼む側に回ればよい、と思うのですが、どうでしょうか。
 理由は、上の3つの理由と同じです。

 「人助け」をする側から、される側に回ることにします。
 「好奇心」は、自分とは別の世界に住んでいる人に頼めば、刺激されます。
 「つながり」は、頼んで引き受けてもらうことでもたらされます。

頼み事を探してみよう

 頼む側に回ろうと決めたら、頼み事を探すことにしましょう。

 でも、頼み事探しって、意外と難しそうです。
 仕事をしていれば、仕事に関連する頼み事を探すことができます。仕事をしていないと、どこから頼み事を探せばよいでしょうか。
 頼み事づくりから始める必要がありそうです。

 頼もうにも、頼み事のできる人を探すのも苦労しそうです。
 頼み人づくりも必要です。

 「頼む側に回る」ことは、どうやらやり甲斐のある大仕事になりそうです。
 やり甲斐のある大仕事がこれからの人生で待っていると思うと、ワクワクしますね。

追伸

 頼まれることも、頼むことも、意味づくりですね。
 一生をかけて、意味づくりに励むことが、エントロピー増大に抗う人の使命なのかもしれません。

 頼まれなくなったらどうしよう、などと言っている場合ではありませんね。

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