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日本理学療法士協会の新生涯学習制度について⑧ ~新制度における認定理学療法士について~

こんにちは、理学療法士いくちゃんです。

前回は登録理学療法士の更新についてまとめてみました。
今回は新制度における認定理学療法士についてまとめてみようと思います。

お時間があれば最後まで読んでいただけると幸いです。

新生涯学習制度イメージ図

1、認定理学療法士制度とは

 
 登録理学療法士を取得し、自らの専門性をさらに高めたい理学療法士に対する動機づけとして認定理学療法士制度があります。


 登録理学療法士が「ジェネラリスト」を目指すプログラムなのに対して、認定理学療法士制度は、より高い専門性を有する「スペシャリスト」、いわば個性の育成プラグラムのようです。


 分野は、「脳卒中」「運動器」「呼吸」「地域理学療法」「管理・運営」「介護予防」など全部で21分野あります。


 今後も時流に合わせて分野の数は増えていく可能性があるようです。


 認定理学療法士は、登録理学療法士取得後1年以上かけて必要要件を満たしたうえで認定試験に合格することで取得できます。


 もちろん認定理学療法士ともは、登録理学療法士と同様に5年ごとの更新制です。

 ちなみに、旧制度における認定理学療法士取得者数は、2021年度末時点で全領域合わせて延べ15,000人程度になる見込みのようです。
(2021年3月時点での認定理学療法士取得者と2021年度認定理学療法士試験合格者を合わせた推計)。


 認定理学療法士取得者は日本理学療法士協会会員のうち約10%強といったところでしょうか。

2、認定理学療法士に期待される役割


 認定理学療法士は高い専門性を有する「スペシャリスト」として位置づけられているため、それ相応に期待される役割というものがあります。
 

 下記の3つの役割の一部として挙げられています。


・特定の理学療法分野において、より水準の高い理学療法を安全かつ適切に実践し、最新で良質なサービスを提供する

・自施設や教育機関等において、水準の高い理学療法を指導・教育することができる

・先駆的な取り組みやその成果など、診療報酬や政策提言に結び付くエビデンスを蓄積する


 つまり、「自分自身だけができるのではなく、周囲のスタッフ等も高い水準の理学療法を対象者に安全に提供できるように、さらに政策提言できるくらいの取り組みも含めて頑張りなさい」ということなのかもしれませんね。

3、認定理学療法士取得のための要件


 認定理学療法士を取得するためには、登録理学療法士を取得して以降に下記のカリキュラム(40コマ以上60コマ以下)を修了し、認定試験に合格する必要があります。


 シラバスについては日本理学療法協会のホームページに掲載されていますが、かなり細かく作成されています。


 ちなみに受講料等は現在のところ未定のようです。

新生涯学習制度その3-2

 このカリキュラムで注目すべきは、臨床認定カリキュラム(必須・選択)がeラーニングだけでなく、対面でも行われることです。


 これは認定領域の教育体制が整っていると認められた教育機関(病院・施設含む)によって行われる研修のことです。


 一見すると、主催する教育機関の負担が大きいように見えますが、その教育機関がどの認定領域の研修を行うかによって、教育機関のブランディングを行うことができると同時に自施設職員に対する優遇等も設けることができる可能性があります。


 運営のやり方次第では、その教育機関の大きな武器になるということです。

4、認定試験について


 上記のカリキュラムを修了することで認定試験を受けることができるようになります。


 第1回の認定試験は2023年度を予定しているようです。


 ちなみに認定試験は旧制度のような会場に集まって書面・冊子を用いての筆記試験ではなく、CBT(Computer Based Testing)つまり試験センターなどでのパソコンを用いての試験を導入予定とのことです。


 日商簿記試験などではすでに導入されていますが、運営サイドの負担が大幅に軽減するだけでなく、採点もその場で行えることから受験者の負担軽減にもつながるシステムのようです。

5、旧制度との比較


 新制度における認定理学療法士制度ですが、私個人としては旧制度と比較すると、運営サイドの負担はやや軽減するが、試験の難易度と受験者の負担はやや増加するのではないかなと感じています。


 旧制度では症例レポート(1例1,000~1,200字程度)を10例提出する必要があり、受験者にとってそれが一番の難関でした。


 しかし、筆記試験の範囲である指定研修と必須研修はそれぞれ4コマ(6時間)程度であり、筆記試験の難易度は易しいレベルでした。


 運営サイドとしては筆記試験の運営よりも症例レポートの査読の負担が大きかったようです(5,000人受験するとすれば50,000例のレポート査読が必要)。


 一方、新制度では症例レポート提出の要件は無くなり認定試験もパソコン上で行えるようになり、試験の運営自体は試験センターが行ってくれるため運営サイドの負担はその分軽減できます。


 しかし、試験範囲であるカリキュラムは40コマ(60時間)から60コマ(90時間)あるため旧制度よりも範囲が広く受験者の負担や試験の難易度はその分上昇します。


 特に第1回の認定試験である2023年度の試験では合格率はあまり高くならないのではないかと思います(旧制度での合格率は例年90%強程度)。

6、まとめ


 今回は新制度における認定理学療法士制度について説明しました。


 旧制度と比べて大きく変わっており、新制度が始まってしばらくの間は、運営サイドも受験者サイドも様子を見ながら対応することになりそうですね。


 旧制度の時と同様に、年数がたつにしたがい攻略法みたいなものも出てくるかもしれませんね。


 ちなみに新制度における認定理学療法士制度のもとになっているのは認定看護師教育の仕組みだそうです。


 また、日本理学療法士協会としては、認定理学療法士は臨床実践分野において秀でている理学療法士であるとみなしているようです。


 私個人的には医療分野における先輩である看護師さんのあり方を取り入れつつ、理学療法士独自の進化を遂げていく一助に新制度がなればいいなと感じています。


 皆さんはどのように感じましたか。

 今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。