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日本理学療法士協会の新生涯学習制度について⑤ ~後期研修E領域別研修(事例)~

 こんにちは、理学療法士いくちゃんです。

 前回は後期研修(登録理学療法士制度)についてまとめてみました。

 今回は後期研修の中のE領域別研修(事例)についてまとめてみようと思います。

 お時間があれば最後まで読んでいただけると幸いです。

新生涯学習制度イメージ図

1、E領域別研修(事例)とは

 E領域別研修(事例)というのは、一言で表すと『症例検討会』のことです。

 理学療法士となり日々の臨床において様々な対象者の方と接する中で学んだことを、1人の症例についてまとめることを通して自分自身の中で昇華し、さらに人前で発表することで聴講者からの意見やアドバイスを受け、新たな視点を学んでいく場として設けられるのが『症例検討会』です。

 2011年度以前の日本理学療法士協会の新人教育プログラムでは、症例検討会での発表が新人教育プログラムの修了必須要件でしたが、「症例発表」のハードルの高さのためか当時の新人教育プログラムの修了率はあまり高くない状態だったようです。

 そのため、2012年度~2021年度での旧制度では、症例検討会での発表は必須要件ではなくなり、症例検討会に参加しなくても新人教育プログラムを修了することが可能となりました。

 それが今回新制度の後期研修において、症例検討会が再び履修項目として挙げられることになりました。

 また、以前のように症例発表をしなければ後期研修を修了することができなくなってしまったのでしょうか。

 結論から言うと、症例検討会において症例発表を行わなくても、聴講することで修了することは可能となります。

 また症例検討会の開催方法も、以前のような都道府県士会主催の症例検討会のみが対象となるわけではないようです。

 詳しくは、下記の概要にて説明します。

2、E領域別研修(事例)(症例検討会)の概要

新生涯学習制度その6-2

 新制度における症例検討会の開催方法には大きく分けて2つの方法があります。

 それが、『士会主催症例検討会』『士会承認症例検討会』です。
 
士会主催症例検討会』は今まで開催されていた都道府県士会主催の症例検討会と同じように、士会が座長・発表者・聴講者を取りまとめて運営する形のものです。
 
 一方、『士会承認症例検討会』というのは、普段私たちが働いている施設内での症例検討会などのことを指し、座長が都道府県士会に開催申請を行い、それを都道府県士会が承認することで開催することができる症例検討会のことです。

 どちらの症例検討会で発表もしくは聴講しても履修要件を満たすことができるというわけです。

 また、『士会承認症例検討会』は都道府県士会の承認のもと開催しますが、承認要件の細かい規定については都道府県士会ごとに決められるようです。

 ちなみに私が所属している都道府県士会の理事の方に問い合わせをしてみたところ、私が所属している都道府県士会では、「自施設の理学療法士だけでなく、他施設の理学療法士も希望すれば発表もしくは聴講できるような形で開催すること」が承認要件のひとつとして検討されているようです。

 承認要件については都道府県士会ごとに異なる見解になる可能性が高いので、直接問い合わせてみることをお勧めします。

3、E領域別研修(事例)(症例検討会)の開催要件

 症例検討会の開催要件には以下のようなものが挙げられます。


 開催時間:1回の開催は30分以上を推奨

 発表時間:1症例の発表(質疑含む)は、30分以上を推奨

 座長要件:登録理学療法士

 履修管理:1回の開催(1症例ごと)に、領域別で発表者・聴講者の履修管理を行う


 ここで注目すべきは、発表時間が質疑含むとはいえ30分以上を推奨されているということです。

 今までの症例検討会だと、発表7分・質疑応答3~5分程度の時間で行っていました。

 これは一般的な学術大会での演題発表の時間を踏襲したものと思われます。

 それを今回、日本理学療法士協会は思い切って1症例あたり30分以上という大幅な時間拡大を図りました。

 その意図としては、おそらく一つの症例を通して単なる発表者と聴講者との質疑応答だけではなく、発表者・座長・複数の聴講者などより多くの人が参加しての議論や発表者に対するアドバイスなどを通して、参加者全員がより深く症例について考える機会を作ろうとしているのではないでしょうか。

 しかし、日本理学療法士協会としては上記の要件を提示しただけで、実際の運用について細かいことは指示していません

 そのため、実際にどのように運用して現場に落とし込んでいくかについて都道府県士会の腕の見せ所といえるでしょう。

4、履修付与数

 E領域別研修(事例)を修了するためには、神経系2コマ・運動器系2コマ・内部障害系2コマをそれぞれ履修する必要があります。

 どのコマについても、『1症例の発表=1コマ』『3症例の聴講=1コマ』となるようです。

 日本理学療法士協会としては1症例の発表を努力義務としているようですが、仮に1度も発表しなかったとしても、18症例分聴講することでE領域別研修(事例)を修了することは可能ということです。

 また、離島などで参加困難な場合に限り、テレビ会議システム等を用いての症例検討会への聴講参加でも履修が認められるようです。

5、読み替え

 また、日本理学療法士協会は上記に挙げた症例検討会の開催要件を満たしてさえいれば、症例検討会という形だけではなく、ブロック学会都道府県学会においてもE領域別研修(事例)も履修を認めるようです。

 私が所属する都道府県士会では次回の都道府県学会において、E領域別研修(事例)の要件を満たした症例検討会の枠も設けようとしているようです。

6、まとめ

 今回は後期研修のうちE領域別研修(事例)について説明しました。

 E領域別研修(事例)症例検討会のことであり、1症例あたり30分以上という時間配分をされているという特徴がありました。

 また、都道府県主催症例検討会だけではなく、開催要件を満たして座長が申請し都道府県士会の承認を得られれば、私たちが普段勤務している施設内の症例検討会でも履修要件を満たすことができるという特徴もありました。

 私としては1症例あたり30分以上という時間的に長い症例検討をどのように運営していくのか、怖くもあり勉強にもなるなと感じました。

 皆さんはどんな感想を持ちましたか。

 今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。