CLIP STUDIO ASSETSで素材を公開してみて考えたこと
デジタルお絵描きマンの皆さま、どんなツールを使っていますか?
SAI、Photoshop、procreate、MediBang Paint、ibis Paintなどなど。
いわゆるお絵描きソフトは数あれど、やっぱりイラスト制作においてはCLIP STUDIO(クリスタ)を使っている方が多いんじゃないかと思います。
かく言う私もクリスタユーザーです。
で、この度そのクリスタで使用できる素材を作って公開してみました。
公開までの手順などは詳しく書いてくださっている方が他にいるのでそちらにお任せするとして、実際に公開してみて思ったことなんかを書いてみようかなぁなどと思った次第でして。
というわけで、ほぼ日記です。
■CLIP STUDIO ASSETSとは
お絵描きマン以外の方が読んでくださっているかもしれないので一応簡単にご説明をば。
CLIP STUDIOといういわゆるお絵描きソフトがあるんですが、そのソフトで利用可能なイラスト用の素材(ブラシや3Dモデル、画像素材など)を扱うメーカー公式のサービスサイトがCLIP STUDIO ASSETSです。
ユーザーは気に入った素材をダウンロードして使うことはもちろん、自分で作った素材をアップロードして無料、あるいは有料で販売することが可能です。
・素材の販売
有料で販売する際は2通りの方法があります。
1つはクリッピーで販売価格を設定する方法です。
クリッピーというのはいわゆるポイントのようなもので、要するにクリッピーを消費して自分の素材をダウンロードしてもらう訳です。そして公開している側にとっては、コンテンツに対してダウンロードされた分のポイントが溜まっていくという仕組みです。
基本的にはサイト内で色々なアクションを起こすとクリッピーが貰えるんですが、一般ユーザーでもキャンペーン期間中のログインボーナスなどで貰えたりするので意外と多くのクリッピーを所持しているユーザーは多いです。なので、クリッピーで販売している素材は結構ダウンロードされている印象です。
とはいえクリッピーはあくまでサイト内で使用可能なポイントとしての性質が強いので、よほどの数をダウンロードされない限りは条件を満たせないらしく、換金するというのはなかなか難しいみたいです。
もう1つはゴールドで販売価格を設定する方法です。
ゴールドというのはチャージして使うサイト内通貨のようなもので、ガンガン有料素材を買って使う方や、ちまちまクリッピーを貯めるのがまどろっこしい方なんかはこちらの方が都合が良いみたいです。
購入されて溜まったゴールドは円に換金することが可能なので、素材販売で収益を上げようという方はゴールド販売をする必要があります。
ただ、ゴールド販売ができるようになるまでに様々な条件や手続きを経る必要があるので、そもそもスタート地点に立つまでになかなか根気とやる気が必要そうです。
■元々は自分用だった
今回公開した素材はこちら。
なんでもいいからとりあえず余白を埋めたい!というときに、適当に華やかにしてくれそうな素材というコンセプトで公開しました。そう、自分用に。
結構イラストの背景で1色ドーン!みたいな感じって好きなんですけど、いざ自分がやると技量不足で手を抜いたようにしか見えないというか、ぶっちゃけそれができるのってメインが魅力的だからこそっていうのが大前提なわけなので、仕方なしに打開策としてこういう小賢しいことを考えるわけです。
画面の密度を上げるとなんか良い雰囲気になるっていう魔法です。
あとはデザインの勉強として色々あしらいなんかを見るようにしていた時期がありまして、自分ならどうデザインするかなぁというのを考えたりだとか。
で、せっかく考えたのでそれをどうデータにしようか、それは実現できるのかを試してみたいなぁだとか。
いざ作ったからには実際に使ってみたいし使ってみてもらいたいよね、だとか。
そんな流れで素材公開に至りました。
せっかくAdobeの勉強もしたので、手習いとしてもちょうどいい気がしています。こういうのを作ろう!とイメージが浮かんだとして、いざデータとして綺麗に作ろうとすると思わぬところで突っかかったりするものだなぁというのも実感しました。
単純な繰り返しって、ちょっとでもズレてるとめちゃくちゃ気持ち悪いんですね……。
でもまぁ、ひとまず今できることをできるところまでやってみようの精神でやってみました。
小さな一歩も後の百歩ってやつです。
■市場を理解していなかった
さて、ここからは実際に公開してみての話。
とりあえず私としては「無料で公開するし、100人くらいダウンロードしてくれたらうれしいな〜」くらいに思っていました。
が、予想に反して公開直後から通知が鳴り初めまして。
2日で4,000DL到達しました。やったー!
勢いを見るに恐らく3〜4日目あたりで新着一覧で目に止まる範囲から消えたのかなと思っているんですが、今のところじわじわとDL数を伸ばしつつも一旦落ち着いた感があります。
やっぱりこうして数字で確認できると分かりやすく達成感を得られますね!
このうち何人の方に「こいつは使えるぞ」と思っていただけたかは分かりませんが、いつか自分の素材を使ってくださっているイラストに出会いたいなぁと密かな野望を抱いています。
■もうちょっと続けてみよー!
大前提として、無料公開だったのが一番の強みだったと思います。
加えて、シンプルで特に個性の無い素材ゆえに試していただけたんじゃないかなぁと。
まぁとにもかくにも。
これで収益をあげようとかを考えて始めたわけでは無いので、ひとまずデビュー戦としては大成功と言って良いはず。
今後はどういった素材が使いやすいのか、どういうものが大衆的に好まれるのかという感覚を養うためにも、もうしばらく続けてみたいなと考えています。
鋭い個性を持っていることって未だに憧れはあるんですけど、その土台にはみんなが好きなものを分かっておくってことあると思うんですよね。
恐らくですが、素材のことを考えているうちは良いものを探す習慣やトレンドを確認する気がしていて、それが自分にとっては色んな方向に良い影響があるんじゃないかと期待している自分もいます。
■今後の野望と展望
・今後も無料で
引き続き素材を作り溜めてはいるんですが、今のところはクリスタ素材に関しては基本的に無料で公開しようと考えています。
手習いの一環でやっているというのが一番の理由で、練習がてら自分で使うものを作ったついでに公開しているという感覚があるので、有料で販売しようというのが気持ち的にどうも馴染まないんですよね。
あと最近ちょっと考えていることとして、なんだか世の中のお絵描きを趣味にするということに対するハードルが上がってる気がするっていうのがありまして。
現在私はメインではないものの、絵を発表する場の1つとしてART Streetというイラスト系のSNSを利用しているんですが。
これはMediBang Paintというお絵描きソフトの会社が運営しているサービスなんですが、どうやらユーザーの年齢層がかなり若めな気がしています。
恐らくMediBang Paintが基本無料のアプリであること、加えてスマホでも使えることなどが理由だと思います。
それもあってかどうやら年齢制限的にXを使えない子たちがコミュニティを作って活動しているらしく、タイムラインというnoteにおけるつぶやきみたいな機能では受験や塾に定期テスト、委員会や部活などで苦しんでいる様子が伺えます。
いつぞやは「誕生日がきたのでART Streetを卒業してXにいきます!先に行ってみんなのこと待ってるね!」みたいなことを投稿している子がいて、あまりの可愛さに悶絶しました。Xって進学先なんだ。おもろすぎ。最高に可愛いしめちゃくちゃ良い子そう。
さすがに私も良い大人ですからそういうコミュニティに踏み入る気は無いので、フォローしてくれたらお返ししつつ、少し離れた位置からそっと見守らせてもらっています。
で、そういう子たちが時々「高校(中学)に受かったらiPad買ってもらえるかな」とか言ってるのを見るとちょっと苦しい気持ちになるし、なんだか悲しくなるんです。
お絵描きって別にデジタルでやる必要は無いんですけど、今イラストを趣味にしたいってなったらさすがに不可避じゃないですか。描いたら見て見て!したいし、今目にするイラストってほぼデジタルなんだから自分もデジタルで描きたいってなるのは当たり前でしょう。
アナログかつ1人でも絵を描き続けられる子って、そもそも相当お絵描きが好きな子たちであって、ほっといても描くんですよ。
でも楽しくネットで友だちを作りつつお絵描きしたいっていう、ちょっとお絵描きが好きなだけっていう子たちが、ツールが揃わなかったからそこで辞めちゃうっていう可能性もあるんだよなぁって。
いつか辞める趣味かもしれないけど、条件が揃えばずっと続けられる趣味だったかもしれないのに。なんだか悲しいことだなぁと。
そういうことを考えていたときに、例えば思い切ってクリスタを買った人がいざ素材を使ってどんどん機能を試すぞ!という時を迎えたとして。
そこで使える素材があんまり無いのって、つまんないだろうなと思ったんです。
私も初めてパソコンでお絵描きしたのは小学生の頃でしたけど、もう大興奮しましたからね。かっけーーー!!!って。
ちょっと初期機能で加工したり、標準ブラシでサッとなぞっただけでキラキラしたりして、なんか自分めっちゃお絵描き上手なのでは!?!?!? みたいな勘違いをしたまま、まんまとここまで来てますから。
私の素材なんて所詮素人が作った程度のものですから、そんな大層な素材では無いんですけど。
でももし、誰かの楽しいお絵描きのお手伝いがちょっとでもできたら。
これまで楽しくお絵描きを続けられてきた幸運な1人として、1つ恩返しができる気がしました。
いや、誰に? まぁ知らんけど、なんだかそんな気持ちになったんです。
ちょっと落書きして、パッと手軽に私の素材で余白を埋めて、なんか良い感じになったぜって楽しい気持ちになってくれる人が1人でもいてくれたら。
それだけで素材を公開した意味が生まれて、それってすごく幸せなことだなぁと思っています。
・とか偉そうに語ってますけど
とは言いつつ、あとあと自分の首を絞めずに済むよう一応書いておくんですが。
例えばいつか「こいつは会心の出来だ!」「めっちゃ手がかかったから少し報われたいぜ」と自分で思える素材を作ることができたとしたら。その時は恐らく有料での販売を検討すると思います。
そこはちゃんとしないとそのときの自分がかわいそうなので、先回りして言っておきます。
と、いうわけで。
今はアレはどうかなコレはどうかなと色々計画をするのが楽しい時期を迎えました。いつ飽きるか、あるいは満足するかは分かりませんが。
とにかく負担にはならない程度に楽しんで制作していきたいと思います。