「ダンジョン飯」大人買い後の感想・レビュー
2024年1月からアニメもスタートするダンジョン飯、大人買いして一気に読んでしまいました。
これね、ガチですごい漫画でした。
■書籍情報
【タイトル】ダンジョン飯
【著者】九井諒子
【出版社】KADOKAWA
【発表期間】2014.2- 2023.9
【巻数】全14巻
■ざっくりあらすじ
迷宮に挑む冒険者ライオスとその一行は、探索中にレッドドラゴンと交戦し、壊滅状態に追い込まれる。
ライオスの妹ファリンの脱出魔法により一行は辛くも地上に脱出するが、皆をかばったファリンはドラゴンに食われてしまった。
肉体さえ回収できれば魔法による蘇生も可能ではあるが、再び迷宮を進むための物資も食料も無い状態。
そもそもレッドドラゴンとの戦いも、食料不足による空腹状態で挑まざるを得なかったことも敗因の一つだったのだから決して軽視はできない。
しかし、もはやドラゴンの消化時間との戦いの状況で悠長に体制を整えている時間は無い。
判断を迫られる中、ライオスはとんでもないことを口にする。
「魔物も食べる。とにかく食えそうなものはなんでも食う」
かくしてライオス一行は、迷宮内のモンスターを食べながらファリン救出に向かうことになったのだった。
■ざっくり感想
・まさかの飯テロ漫画
ファンタジーの世界観でモンスターを調理して食うグルメ漫画という、これだけ聞くと割ととんでも無い作品。
スライムやマンドラゴラ、バジリスクなどなど、ゲームなどでも定番のモンスターたちをしっかり生態を解説したうえでどう調理するかを検討してどんどん食べていく。
いやまぁ、言われてみればエビっぽいか……?とか、まぁ確かにイカかな……?って感じで、なんかいけそうと思わせてくるからすごい。
ちょっとでも料理をしたことがある人なら、「なるほどこうやって下処理するのか、つまりアレに近いんだな」みたいな感じで納得してしまうはず。
・緻密な世界設定と確かな画力
そもそもここまでぶっ飛んだ設定を最後までまとめあげられたのは、恐らく土台となる世界設定がとんでもなく緻密かつ膨大な量用意されていたからなのでは。
1つ1つに(あえてこう言わせていただくけれど)妙な説得力があるのは、例えばモンスター1つとってもものすごく細かく設定しているからだと思うんですよね。
どういう生態系で、身体の構造がどうなっていて、そうすると可食部がここで、そこから考えられる調理方法は……みたいな。
それってモンスターという架空の生物の前に、実在する動物についてもある程度調査しておかないと設定することすらできないはずなので、実はかなりの事前準備が必要だったはず。
どこまで設定を練り込んだんだろう。とんでもない仕事すぎて想像もつかないけれど。
なによりとんでもないのは画力!!!!!
省略がうますぎる。デフォルメがうますぎる。力の抜きどころがあまりに巧み。
これだけ人物を魅力的に描けて、キャラクターを描き分けられて、モンスターが描けて、ダンジョンが描けて戦闘シーンが描けて料理も描ける……!?
バケモンかよ。お絵描きモンスターすぎる。マジで。
コメディシーンとシリアスシーンのバランス感覚がとんでもなく優れていて、テーマと雰囲気が一貫していて、しかもラストも素晴らしい着地。
本当にお見事。漫画なのにスタンディングオベーションしたくなりました。
・食事と、生と、欲望と
実のところ、グルメやコメディに隠れて結構重たい内容を扱っていると思います。
生きるってどういうことだろうとか、欲求を満たすことって悪いことなのかとか。
誰かと生きることって実は同時に孤独への恐怖とも戦うことになるんだとか。
食べるって生きることなんだな、とか。
そういうことをあくまでふわっと、でも確かに問い続けた作品でした。
私は出会ったタイミングが完結後だったので一気に読めましたが、これを10年追い続けたファンの皆さま、大変なことだったなと思います。さぞかし待ちかねたことでしょう。
支え続けたファンもすごくえらい。
でもそれだけファンを魅了した作品自体も素晴らしい。
アニメ、楽しみだなーーー!!!!