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ドラマ「Good Omens season2」視聴感想

Amazonオリジナルドラマ「Good Omens」シーズン1に続き、シーズン2を視聴しましたので感想をば。
相変わらずネタバレ等々には配慮していないのでご注意ください。

ちなみに、シーズン1の感想はこちら。


■ざっくり作品情報

【原作】テリー・プラチェット、ニール・ゲイマン共著『グッド・オーメンズ』
【監督】ダグラス・マッキノン
【制作年】2023年
【言語】英語
【話数】全6話(各話1時間弱)

■ざっくりあらすじ

ハルマゲドンの回避に成功し、ロンドンで元の平和な生活を送っていたアジラフェルと悪魔のクロウリー。

ある日、アジラフェルの書店に何故か素っ裸の大天使ガブリエルが訪ねてくる。
アジラフェルはひとまず彼を店内に招き入れて話を聞こうとするも、ガブリエルは記憶を失っており、自分が誰で、なぜここに裸でいるのかも分からない状態だった。

ひとまず彼を保護したアジラフェルとクロウリーだったが、ガブリエルが天国からも地獄からも行方を探されていることを知る。
自分たちの平和な日常を壊されたくない2人は、ガブリエルを匿っていることを隠そうと画策する。

が、奇跡を使ったせいですぐに天国にも地獄にもバレてしまい、事態はどんどん悪い方向へ転がっていく。

なぜガブリエルは記憶を失っているのか、なぜ天国どころか地獄まで彼を追っているのか。
アジラフェルとクロウリーは平和な日々を取り戻すために奔走するのだった。

■ざっくり感想

・シーズン2はちょっと楽しみ方が違うのかも

シーズン1に比べると、なんとなくドタバタコメディ感は減ったという印象。多分、子どもたちというクッション材が出てこないのと、そもそも今回のメインテーマが恐らくアジラフェルとクロウリーとの関係性にあるからだと思います。

シーズン1の感想でアジラフェルとクロウリーの関係をブロマンスだと書きましたが、シーズン2では制作側としてはちょっと違うのかなぁとも感じました。
というのも、あからさまなほどに同性カップルを始めとした色々な形の恋愛模様が出てくるので……

要するに、そういう人間たちの恋愛のあり方を見せることで、人ならざるものたち(アジラフェルとクロウリー)の関係が変化していく様を描いているのだなぁという月並みな感想を抱きました。

ここまでの文章のテンションでお察しいただいたかもしれませんが、白状すると個人的にはシーズン1の方がエンターテイメント作品としては素直に楽しめました。

今シーズンが悪い訳ではなく、私が前シーズンとは楽しみ方がガラッと変わったことに気付くのが遅かったせいだと思います。
原作小説としてはシーズン1で全て映像化し終わっていて、今回は完全にドラマ用に書き下ろされた脚本のようなので、その辺りの影響もあるのかなとかも思いつつ。

恐らくシーズン1を大前提に、あくまでメイン2人の変化を見守るというのがシーズン2の楽しみ方なんじゃないかと思います。
そういうスイッチを入れておくべきだったのに、シーズン1のようにキリスト教をいじりまくったり、オカルトを面白がったり、みんながジタバタしてすれ違ってドタバタしちゃうみたいな方面を楽しむことを期待して見始めてしまったのが失敗でした。

ということで、ドラマとして面白くなかったとかそういうことでは無いってことは太字にしておきます。

・2人は恋愛的パートナーでは無いんじゃないかな

最初に今回はアジラフェルとクロウリーの関係がブロマンスの関係では無いのではないか、と書きましたが、かといってじゃあ2人の関係が単純な恋愛関係かと言われるとそれはちょっと違うんじゃないかなと思うんです。

ラストではクロウリーが極めて人間的な方法でアジラフェルに気持ちを伝えようとする訳ですけど、アレって別に気持ちが昂ってしちゃったとかいう訳じゃ無いと思うんですよね。

人間の営みに触れて、人間がどうやって他者と関わっていくかを見て、そして同じ立場だったはずなのに目の前で自分が辿り着きたいところに至れるという実例を見て、だからこそ、お前ならこれで分かってくれるはずだろバカっていうことなんじゃないかな。

でもアジラフェルは分かってくれなかった。
あるいは分かったかもしれないのに、応えてくれなかった。
S1でも同じように叫んでいて、クロウリーはずっとずっと同じことをアジラフェルに乞い続けているのに、アジラフェルはそれに応えなかった。

恋愛がどうとかじゃなくて、単に盛大にすれ違っちゃったよってことなんじゃないかなーと思ったんですけど、どうなんだろう。
それぞれが意思の伝え方を間違えちゃったなって印象なんですよね。

まぁ、なんとなく恋愛と言われてしまうと性愛的なニュアンスがついてきてしまってしっくりこないんだよなって話なんですけどね。要は。

・天使という装置

ラストに至るまでですごい仕掛けだなと思ったのが、アジラフェルとガブリエルとの対比なんですけど。

S1から続けて、天使たちってめちゃくちゃ情が無いってことを強調し続けてると思うんです。
これは多分ちょっと宗教いじりの面もあるのであまり触れたくは無いんですけど、とりあえず、天使たちはあくまで上位存在の計画を遂行するための装置のように描かれています。
そこに感情とか、思想とかっていうのは介入することは基本的に無いんです。恐らくですけど、それって堕天に近づくことなんですよね。
ある意味で思考を放棄して、明確な優先順位のもとにただ”意思”に従えばいいっていうのが天使の正しい在り方なんじゃないかと。多分。知らんけど。

だからヨブのくだりでも、神の計画のために一旦今いる子どもは失うけど、まぁ全部終わったら倍の数の新しい子どもあげるからOKでしょ(^▽^)b みたいなこと平気で言う。
いや今の子どもたちは返して貰えないんですか!?って言われても、え、なんかダメ?みたいな顔する。

分からないんですよ、天使だから。
ていうか、本来は分からないはずなんですよ、天使には。

だからこそ、この時点でヨブにめちゃくちゃ同情してなんとかしてやろうとするアジラフェル(と、もちろんクロウリーも)が異質な存在だよっていうことをこれでもかと強調しているってことだと思うんです。
アジラフェルって天使っぽくない天使なんだよ〜っていう丁寧なフラグをここで立てました、と。

で、反対にガブリエルがどんなに傲慢で完璧な「究極の大天使」であるかを何度も何度も強調してきたからこそ、彼が最終的にとった選択への衝撃が強くなる。
そうすると反対に、そのガブリエルでさえできたことをアジラフェルにはできなかったということになる。
ここでフラグ回収。

つまり、アジラフェルが実は下界を好んで、そして人間の文化を楽しんでいるだけで実際には全く染まっていなくて、根本では未だに天国に囚われた天使のままだってことが露呈しちゃったんだよってことを描いたのがS2なんじゃないでしょうか。
だから土壇場で「君を許すよ」とか口走っちゃうんですよ。とても天使らしく、傲慢にも。

どうすんの、こんなんしちゃって……S3作るよね? 作るんだよね?

・ちょっとグロ注意

そういえば、もしかして視聴前に感想文をご覧になっている方がいないとも限らないので書いておこうと思ったことが一つ。

今回、特にep.4はグロ注意でした。
ゾンビが出てくるので、ゾンビあるあるの腕もげる系のギャグとか捕食ネタとかが出てくるし、地獄の刑罰のシーンが結構ちゃんとグロくてちゃんと不快なので気をつけてください。ちょっとオエッてしました。

ep.4以外も墓荒らしの話とかが出てくるので、全体的に軽めのグロ表現がそれなりに出てくるんですよね。
S1ってここまで怖い表現はあったっけなぁ……。

平気な人は屁でも無い程度だとは思うんですけど、絶対そういうのを期待して観る人がいるタイプのドラマでは無いので一応。

■まとめ

ということで、S1と違ってストーリーなどではなくてメイン2人の関係性についての感想になってしまいました。

だってさー、このままじゃクロウリーがあまりに報われないし切なすぎて可哀想すぎるよーーー!!
最後のじっとアジラフェルを見つめるところとかさぁ……なんでそこまで……。

もうほんと、これから先2人がどこに至るにせよ、絶対S3を作って幸せにしてくださいお願いします。


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